1.スタッフさんからの悩みを院長先生が吸い上げられていない。
2.整理・整頓を行う時間が業務内で確保されていない。
3.捨てる物と置いておく物の区別がついていない。

上記の中でも特に業務時間内における整理・整頓の時間確保と捨てる物の区別においては、
スタッフさんに任せていても実施されないことが多いようです。

では実際どのように整理・整頓を始めていけばいいか、整理・整頓を行うメリットと
整理・整頓を行わないデメリットも交えてご説明します。

 

<整理・整頓をするメリット>
整理・整頓をすることで得られる経営視点でのメリットは大きく2つあります。

まず1つ目は物を探している時間が削減できることです。
それぞれの置き場所が明確に決まってなかったり全員が決まった場所に物品を戻せて
いない場合、労働時間のうち探し物に当てている時間が相当数かかっているはずです。

仮に1日5回探し物があり、毎回30秒探している場合トータルで2分30秒のロスになります。これが1年で200日診療を行っていれば年間で500分も探す時間に費やされていることになりいかにもったいない時間が発生しているかわかります。

次に2つ目ですが新人スタッフさんの育成がスムーズになることです。

整理・整頓され物の配置が決まっていると、検査のための試薬や器具の予備の場所を
記載した院内マップを渡すだけで物の配置を覚えることができます。

入職直後の新人スタッフさんは「先輩に質問をしにくい」という悩みを持つことが多いです。
整理・整頓がされていないクリニックの場合は、新人スタッフさんにとって物を探す作業が1つ増えるだけで、「周りに迷惑をかけるのではないか」というストレスを与えることにつながります。

このようにメリットがある一方で、整理・整頓ができていない場合は

・残業の発生
・診療効率の悪化
・スタッフさんのストレス

といった「診療の非効率」「人の問題」におけるデメリットの原因になります。

世界的企業のトヨタも5Sといった整理・整頓の考え方を徹底することで業務の生産性を上げ成長を遂げており、整理・整頓による職場環境の改善は経営と密接に関っているといえます。

 

<整理・整頓の進め方>
それでは実際に整理・整頓を始める際の流れをご説明します。

●ステップ1
まずは、院長先生から方針を伝えることが大切です。
その際には、「皆が気持ちよく働ける環境を作ることが目的」という共通認識をスタッフさんと持つことが第一歩です。

●ステップ2
次にミーティングを開催し現場の困りごとをスタッフさんから吸い上げます。

ミーティング運用の一例としては、まず、受付や診察室など場所毎に分けた整理・整頓箇所を一覧できるボードを用意しポストイットなどの付箋を使いながらスタッフさん各自が不便に感じていることやこうしたら良いというようなアイデアを自由に貼ってもらうという方法があります。

上記の運用方法を採ることで問題点をスムーズに発見できる他、スタッフさんから意見が出やすくなり院内の整理・整頓における当事者意識も育むことができます。

●ステップ3
問題点を洗い出した後は「誰が、どこを、いつまで、どのように、どれくらいの予算で行うのか」といったような実行に移す際の具体的な事柄を決め勤務時間内で作業を行う計画を立てます。

●ステップ4
実際に作業が始まると「捨てる物を選別する」作業が大切になります。
選別の際は色の違うテープを使い分け、迷わず捨てたい物と捨てるかどうかを迷う物にそれぞれ違う色のテープを貼り、色分けして集めることで効率良く処分していくことが可能です。

処分時のポイントとして、捨てるか迷った物の中で捨てないという判断をした物には、シールを貼ったままにしておくことをお勧めします。

シールがそのまま貼ってある物は一度捨てるか迷った物です。

定期的な整理・整頓作業を行う際に「残した結果、実際に何回使ったのか」新しく必要な物を置く場所はあるか」などより明確に判断することができますので作業の効率化につながります。

上記4ステップをご参考いただき、クリニックの整理・整頓を始めていただければ幸いです。

 

<受付の整理・整頓で使えるテクニック例>

最後にすぐにでも使える受付の整理・整頓テクニック例をご紹介します。
受付の整理・整頓ではルール作りも大切です。

・右利きの方が多いクリニックでは電話は左手で取り、右手でパソコンを入力するので左に電話、右にパソコンで固定する。

・引き出しの物は文具も含めて一瞬で取り出せるよう重ねて置かない。

・机の上に置く物の定位置を決め他の物は机の上に置かないようにする。

上記のようなルールを作り、徹底することでスタッフさんが入れ替わっても職場の環境を保ちやすくなります。

さらに100円均一等で購入できるアイテムを駆使しながら、

・お金のミスを減らすために受け取り用とお釣り用のトレーを別にする。

・足元にある電子機器のコードを書類ケースに入れてまとめる。

・保険証の返却忘れを防ぐために、診察券と一緒にクリップ付きマグネットでひとまとめにする。

といった整理・整頓テクニックや収納のアイデアを加えることで受付を快適に働きやすい場所に進化させることができます。