耳鼻咽喉科医院に於ける補聴器外来は外部の補聴器販売店の方が週に数回医院に出張してきて相談室や場合によっては昼休みの空いた時間で補聴器のフィッティングを行う、そして補聴器の販売も補聴器販売店が行い、補聴器そのものには医院側はほぼ関与しない。というものが一般的でした。ただし、この方式は患者さんが補聴器の質や価格に不満や疑問を抱いても医院側にその情報が伝わりづらかったり、あるいは補聴器販売店との関係から不満があっても無理を言いづらい、というデメリットがありました。

そうしたデメリットを克服し、患者さん本位の補聴器外来を実現するため、この数年で補聴器の適合検査は勿論、フィッティングから販売、そして購入後のアフターフォローまでを自院スタッフで行う耳鼻咽喉科が増えてきています。

※「医療機関が補聴器を販売してはいけないのではないか?」というお声がありますが、平成27年6月16日付、保医発0606第7号「保険医療機関におけるコンタクトレンズ等の医療機器やサプリメント等の食品の販売について」の通知にて、(補聴器を含む)コンタクトレンズ等の医療機器を医療機関が販売することについて、「療養の向上を目的として行われるものである場合に限り可能」である旨が明確化されました。

販売やフィッティングを自院で行うことで、患者さんが望まなければ無理に補聴器を販売する必要性もなく、あるいは過度に高額な補聴器を販売する必要もありません。時間をかけて試聴を行っていただくこともでき、また適正な装用を続けるために、耳鼻咽喉科医院であれば耳の状態を医師が確認、必要に応じて加療ができます。
そのため、立ち上げた耳鼻咽喉科医院は患者さんの満足度の高さに一様に驚かれています。
また、補聴器そのものを販売することで、新時代型補聴器外来の為の設備投資や人材投資に見合った適切な収益も確保できます。
患者さんに喜ばれる新時代型補聴器外来を貴院でも始めてみませんか?

立ち上げのための5STEPS

【step1】補聴器外来開設のための要件を満たす
補聴器外来開設のためには、下記の要件を満たす必要があります。

1)院内の常勤医(主に院長)が厚生労働省主催補聴器適合判定医師研修を終了していること
2)補聴器適合検査を実施するために下記の装置・器具を備えていること
①音場での補聴器装着実耳検査に必要な機器並びに装置
②騒音・環境音・雑音などの検査用音源又は発生装置 ③補聴器周波数特性測定装置
3)補聴器の適合検査かつフィッティングを行うための部屋を確保すること

・・・1)と2)については
補聴器適合検査の算定上の要件となります。(※同検査の施設基準について詳細を確認されたい場合は下記のページもご覧ください。)
https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/9073/
3)については物理的なスペースが必要です。遮音性が優れていることが望ましいですが、必ずしも完全防音である必要はありません。現状のクリニックで適合検査・フィッティングを行うスペースが取れない、という医院においてもテナント型、戸建て型問わず、拡張などを行うことでスペースを確保できる可能性があります。スペースの拡張でお悩みの際は一度ご相談ください。

【step2】言語聴覚士・認定補聴器技能者の採用
新時代型補聴器外来を立ち上げる上で最も難易度が高いのがこのSTEPとなります。様々な媒体や人脈を使って補聴器外来を担っていただける方を探す必要があります。一般診療をサポートするスタッフとは異なり。補聴器外来は原則としてその方にお任せする比重が高くなります。そのため、人間性を重視した採用を行うことをお勧め致します。
スキルは勿論あるに越したことはありませんが、認定補聴器技能者であれば補聴器の取り扱いに慣れている方は多いものの、言語聴覚士(ST)については聴覚業務に従事経験のある方は非常に少ないため、0から教える前提での採用となります。
弊社では豊富な採用ノウハウで言語聴覚士や認定補聴器技能者の採用のお手伝いも行っております。

【step3】言語聴覚士・認定補聴器技能者の教育
認定補聴器技能者であれば、補聴器の取り扱いに慣れている方が多いため、比較的すぐに新時代型補聴器外来の立ち上げが可能です。ただし、販売のプロではありますが、新時代型補聴器外来の真の目的は「難聴の患者さんのQOLを医療と補聴器を通じて向上させる」ことです。そのため、患者さんの意向に沿った補聴器外来を行っていただくようあらかじめ心構えについてしっかりと伝えておくようにしてください。
言語聴覚士については補聴器の取り扱いに関してスキルの無い方も多いため、既に補聴器外来を実施している医院にて見学に活かせたり、あるいは期間限定で補聴器販売店からのサポートを受けて補聴器のフィッティングや販売、フォローが出来るまでその方を育てていくことが必要です。

【step4】新時代型補聴器外来の広報戦略
自院の既存の患者さんで十分補聴器外来の患者数を賄える、という医院もあるかも知れませんが、むしろそれは少数でしょう。適切な告知を院内、院外に向けて行う必要があります。
高齢者が自らネットで検索をする時代ですが、それよりもむしろご家族がその方の聴こえを心配して情報収集を行い、その結果ネット検索の後にご家族と共に来院されるケースが多いです。
従来の診療圏よりも広い範囲から患者さんに来院してもらうための補聴器外来専門サイトの作成が重要となります。