そこで今回は、今まさに新社会人となっている「Z世代」の方々について理解を深めていただくため、世代の変遷と「Z世代」の特徴を基に、現在のクリニックに求められるマネジメントについてお話します。

■世代の遷移■
※年代には諸説あります。

<X世代:1965年~1980年頃生まれ>
もともとアメリカで1965年~1980年頃に生まれた世代が「ジェネレーションX(X世代)」と呼ばれており、「Z世代」という呼称も「X世代」を生み出したカナダの作家ダグラス・クープランドの著書『ジェネレーションX』に由来しています。

X世代は高度経済成長期後に生まれた世代で、現在の年齢としては40~50代半ばです。
「団塊世代」の子どもにあたる世代であることから、「団塊ジュニア世代」「ポスト団塊ジュニア」と呼ばれています。

この世代には、
・競争意識が強い
・現実的で責任感が強い
・消費に堅実で貯金好き
といった特徴があります。

また、携帯電話やインターネット環境が整い始めた時代であることから、「デジタルイミグラント(デジタル移民、デジタル入植者)」と呼ばれることもあります。

<Y世代 1980年~1995年生まれ>
この世代の年齢は20代半ば~40代前半です。
バブル崩壊後の景気低迷期で就職難となり、経済的に厳しい経験をしており、「氷河期世代」と呼ばれました。

この世代の特徴は、
・安定性を求め保守的
・自我が強く個人主義
・モノ消費よりコト消費
などが挙げられます。

またこの世代は「ミレニアル世代」とも呼ばれ、X世代よりも情報リテラシーが高い傾向にあります。

<Z世代 1990年後半~2010年頃>
10代~20代前半の、まさに今から社会になっていく世代です。

時代背景としては、リーマンショックなど経済不況に見舞われたものの、インターネットが急激に普及し、デジタル社会に変化しました。
デジタル製品の利用が当たり前となったことで、ミレニアム世代よりさらにデジタルに強くなっています。
インターネット検索よりSNSによる情報収集を多用し、購買の判断も十分納得して行う傾向にあります。

新社会人であるZ世代の方々がクリニックの一員として活躍するためには、特徴をしっかり理解した上でマネジメントする必要があります。

■Z世代のマネジメント■
ポイント1:ソーシャルネイティブ
Z世代はスマートフォンの操作に長けており、SNSでは情報収集を行うだけでなく、自身について発信することにも抵抗がありません。また、医院のマーケティングにおいても、今やホームページだけでなく、LINEやinstagramなどSNSで医院の情報を発信されているところが増えつつあります。
耳鼻咽喉科医院であれば、LINE公式アカウントやTwitterによる花粉症初期療法や飛散情報の告知、連休前後の混雑状況、最近では感染対策や発熱外来のアナウンスを行われている場合もあります。
上記のような発信をZ世代の方々に任せてみてはいかがでしょうか。

Z世代の方々はSNSでの発信に慣れており、お友達登録やフォロワーの数を増やす対策にはこれ以上ない適材と言えます。
そして、役割を与えることは、若いスタッフのモチベーションアップにも繋がります。

ポイント2:社会問題への関心が強い

Z世代は、SNSやインターネットで世界中のニュースや情報に触れていることから、社会問題への関心が高い傾向にあります。
そして、自身が「誰に」「どのように」役立っているのかという視点を重視しています。

これは仕事に対しても同様です。
「自分が何を目的として仕事をしているのか」ということをしっかり理解させてあげる必要があります。

耳鼻咽喉科医院であれば…
ただ診療を行うだけでなく、診療を行うことでつらい症状から解放されたり、「癌ではないか?」と心配してこられた方が検査をして安心して帰っていただけたり、受診された方々の健康と暮らしを守り人生を豊かなものにしていただく。
そのような医院としての価値観を共有することも大切です。

先生方を始め、リーダーや先輩スタッフの方から働くことや貢献することへの意識や考え方を伝えてあげてください。

ポイント3:多様性を受け入れる

Z世代は若い頃からインターネットを介して海外や様々な立場の人たちの考えに触れているため、年齢、性別、国などで差別することなく、様々な価値観を受け入れることができます。
仕事においても、ミーティングなどで自身の意見を発信したり、折衝したりする場面での活躍が期待できます。

しかし、ハラスメントなどの問題にも特に関心が高いため、マネジメントする側もハラスメントに当たる言動には今まで以上の注意が必要です。

ポイント4:自分らしく働きたい

Z世代は多様な価値観を認めるため、自身の個性も尊重します。
自身の価値観に合った仕事、職場で働きたいと考えており、「仕事だからしなければならない」という考えを嫌います。
また、出世より「ワークライフバランス」が大切であると考えており、プライベートの時間を重視することから、残業などを極端に嫌う傾向もあります。

そのため、医院全体でコミュニケーションの一環として飲み会などに参加させたいという場合も、この価値観の違いを理解したうえで働きかける必要があります。

■まとめ■
採用難と言われる昨今、先生方の医院でもスタッフ採用の難しさを実感されているのではないでしょうか。
だからこそ、若いスタッフの考えを少しでも理解し、活躍の場を与え、将来貴院にとって無くてはならない存在として育てていくこともご検討ください。

我々コンサルタントも、貴院に合った方を見極める採用や、若いスタッフさんに対する研修について全力でお手伝いさせていただいております。
本コラムが先生方のお役に立てば幸いです。