では、実際に耳鼻咽喉科はどのような広告をするべきでしょうか?
答えは、“その医院に合った広告”をすることが大切です。

医院に合う広告とは

“その医院に合った広告”を考える上で、「どうやって患者さんを呼ぶか、よりも、どうやって患者さんが来ているか。」を知ることが重要です。
これは一般のマーケティングにも通じることですが、マーケティングを行う際に最も重要なのは、現状を把握すると言うことです。

例えばカスタマーが全く新聞を読まない層にも関わらず、現状把握をせずに新聞広告ばかりを出していたらどうでしょうか?
恐らく費用ばかりかかってしまい、カスタマーは増えないでしょう。
このことからわかるように、“自院に来ている患者さんがどのように自院を知って来院しているのか”を知ることがマーケティングの第一歩となります。

では次に、現状把握の重要性に気づきしっかりと現状把握をした後に行うことは何でしょうか?
それは、“費用対効果を考える”ことです。

広告の費用対効果を考える

媒体で費用対効果が合っていない場合、その媒体を利用して集患すればするほど利益を圧迫するため費用対効果の検討も重要となります。
例えば1回1000円利益500円のサービスを提供している企業が、10万円かけて100名のお客さんを集めたとしましょう。
一人あたりの集客単価は10万円÷100人ですので、1000円となります。
この場合の損益を考えると、一人あたり500円の赤字ということになります。
耳鼻咽喉科医院の経営において、集患単価が1人あたりの保険点数を上回ることはそうそうありませんが、費用対効果を計算しないと上記のような事に成りかねません。

具体的には、
(媒体毎の年間投入費用)÷(その媒体経由での新規患者来院数)を計算し、それが凡そレセプト単価の範囲内に収まっていれば優良な広告(続けて掲載すべき)であると言えます。
以上のことからわかるようにマーケティングを行う上で重要な事は、
現状把握
費用対効果
の2点です。

耳鼻咽喉科経営における適切な広告戦略とは

さて、本題の耳鼻咽喉科経営における適切な広告戦略を考えていきましょう。
耳鼻咽喉科医院において考えられる広告とその特徴について説明致します。

0.紹介媒介物(ポケットティッシュ、紹介カード、医院案内)
見落としてしまいがちですが、良い患者さんになって頂ける一番確率の高い方は、「既存患者さんからの紹介、口コミ」です。紹介を誘発するためのポケットティッシュや医院案内などは費用対効果の観点からすれば群を抜いて高いものであるといえます。

1.道路看板
道路看板は特に開業5年以内の医院の場合は高い効果を発揮する可能性があります。(とりわけ車移動が前提となっている郊外立地の場合)一方で、開業年次や看板の位置や大きさなどから費用対効果に大きく差が出る媒体でもあります。

2.院前看板
院前看板は初期コストこそかかるものの、一部のテナントでの有料パターンを除いて、作ってしまえばその後はランニングコストがかからない貴重な媒体です。

3.電柱看板
電柱看板はトラディショナルな広告媒体で、最近は利用される医院も減少しましたが、しっかりと費用対効果を測定すれば、数は少ないですが、採算の取れる媒体となる可能性があります。

4.PC/タブレット/スマートフォンホームページ
現在の医院の集患媒体において最も注力すべきはやはりホームページでしょう。ホームページについてもリース方式などではなく、制作会社に発注をして作ってもらいサーバーは先生ご自身で契約してその中に格納する形をとれば、初期コストはかかるものの、その後は極めて低いコストで24時間せっせと情報を発信してくれます。

5.フィーチャーフォン用ホームページ
フィーチャーフォンは日本独自のインターネットエリアを形成(iモードなど)し、5年ほど前まではフィーチャーフォン専用の携帯サイトを作る、ということがマーケティング上でも大きな成果をもたらしてくれました。

6.医療機関検索ホームページ
「お医者さんガイド」や「ウィメンズパーク」などに代表される医療機関を集めて掲載を行っているホームページです。一時ほどの影響力はなくなりましたが、まだまだ検索時には上位に出てくるため、立地の良い医院の場合はホームページのリンクを貼ってもらうなど、検討されても良いかと思います。

7.電話帳(タウンページ)
電話帳は以前は広告媒体の主役でしたが、そもそも固定電話を引かない家庭も増えています。そのような中で原則としてNTT回線の契約者にしか配布されないタウンページは、配布数の面でも、情報の収集力の面でも以前よりも明らかに弱まってきています。

8. iタウンページ
iタウンページはインターネット上でのタウンページですが、規模は小さいものの一定の効果があります。

9.子育て便利帳、地域回覧板、地域地図
これらはエリアによって大きく費用対効果が異なる媒体です。開業されてまだ間もない医院の場合は一度検討して頂く価値があります。

10.新聞折り込みチラシ
乱発すると医師会に加入されている先生方は注意を受ける場合がありますが、法律的には医療広告規制の範囲を守れば開業時だけに限らず何度でも折込チラシは配布することが可能です。

11.ポスティングチラシ
新聞折り込みチラシの欠点をカバーする広告媒体の1つがポスティングチラシです。1世帯当たり配布コストがやや高いのが難点ですが、新聞を購読していない世帯にも届けることができます。

12.配達地域指定郵便
新聞折り込みやポスティングの欠点をカバーする媒体のもう1つが配達地域指定郵便です。他の媒体に比べて配布コストが高いですが、「ほぼ確実に届けてくれる」と言う点では、セキュリティが厳しいタワーマンションなどには適した媒体であるといえます。

これらの媒体の中から「費用対効果を毎年しっかりと測定すること」を心がけて、時代に即応した広告媒体を取捨選択するようにして頂きたいと思います。