ロイヤルティは英語表記ではloyaltyとなり「忠誠」などの意味を指します。

マーケティングでロイヤルティと言われる場合、ブランドや企業、店舗などへの愛着を意味する言葉となります。
似た言葉にロイヤリティがありますが、こちらは英語表記でroyaltyとなり、「特許使用料」や「著作権使用料」を指します。

患者ロイヤルティが患者数の維持・増加に繋がる理由としては
「患者ロイヤルティの高さが患者維持率の高さに繋がるから」です。

 

患者維持率は今来院されている患者さんの内、1年後も来院されている患者さんの比率のことです。

例えば患者維持率が90%の場合と50%の場合を比較すると

・90%の場合、その時点で来院している患者さんの内、今来院している患者さんが占める割合は

1年後90%、2年後81%、3年後72.9%

となります。

・50%の場合は、その時点で来院している患者さんの内今来院している患者さんが占める割合は

1年後50%、2年後25%、3年後12.5%

となります。

 

患者維持率が低い状態はお風呂の栓を抜いたままお湯を入れる行為に例えることができます。

仮に患者維持率が50%の状態が5年続いた場合今いる患者さんの内、約3%しか来院されていないこととなります。

この場合5年後も今の患者数と同数の患者数を維持するためには、今来院している患者数の97%分の新規患者を獲得しなければいけないということです。

これからも人口が減少していく中、新規患者さんの獲得競争は厳しくなると考えられます。
ですから今後もクリニックを安定的に経営していくためには「今来院している患者さん」を維持することが重要となります。

今来院している患者さんの維持率を見直す際に患者数の減少が著しい場合は、既存患者の掘り起こしを先にされることをお勧めいたします。

既存患者さんの掘り起こし策としては過去来院していた患者さんの内、直近数カ月来院されていない患者に対しクリニックからお知らせを送ると良いでしょう。

具体的な方法としては

・公式LINEやハガキ等でお知らせを送付する
・予約システムのお知らせ機能を活用する

などが考えられます。

内容としては夏に向けて水遊び前にお子様の耳垢チェックを促す内容や、シニアの方には聞こえのチェックを促す内容などが良いでしょう。
昨年と同程度の患者数まで回復した後は患者維持率を調査し上昇させましょう。

 

患者維持率を調べるためにはアンケートが有効です。

アンケートを活用し患者ロイヤルティを調べることで患者さんを継続して通院する意思を確認できます。
アンケートは紙媒体で実施していただいても良いですし、GoogleフォームなどのWEBツールを活用していただいても良いでしょう。
例えばGoogleフォームであれば無料で活用できる上、集計も自動で行ってくれるのでスタッフさんに負担をかけずに実施することができます。

アンケートでは患者ロイヤルティや患者満足度の他に自院の改善点や医師の接遇、スタッフの接遇についても確認していただくと良いでしょう。

無記名のアンケートにしていただくことで自院の改善点について忌憚のない意見を集めることができます。
患者さんから集めた改善点を改善していくことで患者ロイヤルティが高まります。

体調が悪くなった際に再び通院してくれるようになるので、継続的にクリニックに収益をもたらしてくれることは勿論、患者ロイヤルティが高い患者さんは口コミなどで新規患者さんを連れて来てくれますのでクリニックにとって非常に重要です。

さらに既存患者さんからの口コミで来院した患者さんは来院前からクリニックの雰囲気や院長先生の診療方針などを知った状態で来院してくれるので、他院へのスイッチの可能性が低いという特徴があります。

 

耳鼻咽喉科においては誰もが季節性で通院する可能性があるかぜや、花粉症、場合によっては長く付き合う必要のある耳鳴やめまいなどの疾患があるため、口コミでの集患は経営において重要な位置を占めます。

また、耳鼻咽喉科領域は、幅広い年代の方が対象となるため、家族から新しい患者さんを紹介してもらう仕組みを構築されているクリニックがあることからも口コミの重要性がわかります。

 

このように患者ロイヤルティを高めることは、患者数の増加、収益力強化に効果的ですので新規患者の獲得が難しくなっている現状においては

1.既存患者さんを掘り返す

2.患者ロイヤルティを調べる

3.患者ロイヤルティを高める

の順でクリニックの経営基盤を強化していただければと思います。