診療報酬・診療報酬改定

耳鼻咽喉科

2022.08.09

補聴器適合検査とは?【2024年6月更新】

本記事は耳鼻咽喉科にて算定される「補聴器適合検査」について、クレドメディカルの志賀が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

<目次>

  1. 補聴器適合検査とは?
  2. 補聴器適合検査の施設基準
  3. 補聴器適合検査の算定要件
  4. まとめ

 

従来は病院のみでの算定が多かった補聴器適合検査ですが、最近では耳鼻咽喉科の診療所(医院)においても算定する機会が増加してきました。
まだまだどのように算定して良いかわからない、といったお声が多いためこちらにて解説いたします。

 

⒈ 補聴器適合検査とは?

 

検査名の通り、対象となる患者さんに補聴器が適合しているか?音場において実際に補聴器を装着してもらい、検査を行うものです。

 

■補聴器適合検査の診療報酬点数 

1. 1回目  1,300点(月1回に限り)
2. 2回目以降 700点

注 1と2を併せて患者1人につき月2回まで算定可能です。

 

2.補聴器適合検査の施設基準

 

[施設基準]
(1) 耳鼻咽喉科を標榜している保険医療機関であり、厚生労働省主催補聴器適合判定医師研修会を修了した耳鼻咽喉科を担当する常勤の医師が1名以上配置されていること。なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週 22 時間以上の勤務を行っている耳鼻咽喉科を担当する非常勤医師(厚生労働省主催補聴器適合判定医師研修会を修了した医師に限る。)を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該基準を満たしていることとみなすことができる。

 

(2) 当該検査を行うために必要な次に掲げる装置・器具を常時備えていること。
ア 音場での補聴器装着実耳検査に必要な機器並びに装置(スピーカー法による聴覚検査が可能なオージオメータ等)
イ 騒音・環境音・雑音などの検査用音源又は発生装置
ウ 補聴器周波数特性測定装置

2024年6月時点において、厚生労働省主催の補聴器適合判定医師研修会は年に1度、所沢の国立障害者リハビリテーションセンター学院にて開催されています。

 

(国立障害者リハビリテーションセンター学院の研修部門の案内ページ)

 

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会より「補聴器相談医」の認定を受けていても、上記の「補聴器適合判定医師研修会」を修了していなければ施設基準を満たさないため、補聴器適合検査は算定できませんので注意が必要です。

 

また、施設基準(2)にある必要な装置・器具についてはア~ウまでを個別に揃えることもできますが、最近ではオールインワンで様々な測定が行える、機能が充実した複合機も普及しつつあります。

 

補聴器適合検査を算定の際は(1)(2)共に満たしている旨、先生方の医院を管轄する厚生局への届け出が必要となります。

 

3.補聴器適合検査の算定要件

 

[算定要件]
(1) 補聴器適合検査は、聴力像に対し電気音響的に適応と思われる補聴器を選択の上、音場での補聴器装着実耳検査を実施した場合に算定する。
(2) 植込型骨導補聴器の植え込み及び接合子付骨導端子又は骨導端子を交換した後、補聴器適合検査を実施した場合は、「2」の2回目以降により算定する。

上記の算定要件について、(2)はそれほど理解に難くないですが、(1)については「それではどのような検査を行えばよいのか?」疑問に思われる先生方もいらっしゃることでしょう。

 

都道府県において「補聴器適合検査」の基準が定められているところもありますが、そうではないエリアが多いのが現状です。その場合には日本聴覚医学会が定めておられる「補聴器適合検査の指針(2010)」が参考になるかと思います。

 

(日本聴覚医学会の補聴器適合検査の指針(2010)の掲載ページ)

 

上記に定められた検査法のうち、各院が検査者のレベルや設備を考慮しつつ実施可能なものを行っていく、というのが現実的なところかと思います。

 

一方で、同指針は資料内の「はじめに」に下記のように記載されている通り

 

「本指針は、健康保険診療における特掲診療料「補聴器適合検査」の内容を定めることではなく、医療として補聴器の適合を行う際に必要な適合検査を学問的見地から示したものである。」

 

必ずしも保険診療における補聴器適合検査の内容を定めるものではない、ということになります。
そのため、やはり各都道府県の通達等に従いながら、同指針を参考にしつつ、各院ごとで実施可能な検査を進めていく形になります。

 

4.まとめ

 

補聴器適合検査をこれから開始しようとされている先生方は、

1)始めるにあたっては
①補聴器適合判定医師研修会を修了しており施設基準の(1)を満たしていること
②施設基準の(2)を満たす機器を常時備えておく。(最近では新しい様々な機能をもった複合機なども出ているため、機種を吟味して選定をおこなう)

2)算定していくにあたっては
各都道府県において基準が定められている場合にはそちらを遵守する。また、日本聴覚医学会が定めた「補聴器適合検査の指針(2010)」も参考にしながら、自医院の検査者の能力や経験、設備に応じて実施できる検査をおこなう。

上記をご参考いただければ幸いです。

 

弊社のクライアントにおいても、「補聴器専門店に全てまかせきりの従来型の補聴器外来」ではなく、自院の中でフィッティングや適合検査を行い、補聴器販売~アフターフォローまでも自院にて行う「新時代型の補聴器外来」を立ち上げる耳鼻咽喉科医院がここ数年で増加してきています。

 

そのような先生方が口を揃えておっしゃるのは「補聴器外来を利用された患者さんの満足度が高く、大変感謝される」ということです。また、補聴器適合検査を実施し、補聴器を自院にて販売することで、ボランティアとならず適正な収益性も確保することができます。

 

貴院においても新しい診療の柱として「新時代型の補聴器外来」にチャレンジしてみてください。

 

「新時代型の補聴器外来」の立ち上げ方をお知りになりたい場合は下記コラムをご参考ください。
https://www.credo-m.co.jp/jibika/jibika-consul/1442/