そこで今回は、新規患者の重要性について、改めてお伝えいたします。

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※以下文章での「新規患者」とは、今まで一度も来院したことがなく、
新しくカルテを作成する患者さんのことを示します。
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新規患者に対する考え方において、重要なポイントを3つに分けてお伝えいたします。

 

その1
新規患者を来院経路ごとに数を把握しているか

来院経路とは、自院に来院するきっかけの分類を示します。

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・紹介による来院
・ホームページによる来院
・SNSによる来院
・看板による来院 ※どこの看板かも詳細に把握できることが望ましい。
・近所、通りがかり
・地域紙 etc.
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まず、新規の患者を把握されていない場合は問診票に来院経路の項目を挿入し、
来院経路を月ごとに集計していただくことが必須です。
広告費を掛けているものは特に「その媒体から何名来院しているのか」といった
費用対効果をしっかりと測定しなければいけません。

そして、前年と比較した際に、
どこからの項目が増減しているのかを把握することで対策がとりやすくなります。

例えば、
「今年は去年と比較しても、新規患者の数は増えたのに、
ホームページ経由の来院数は減っているな…」といった場合、
「(地域名)耳鼻科」で表示順位が下がっている、
もしくはネット広告を出していたが広告規制の対象となり、
表示されていない状況に陥っているなど、
来院経路を集計することで様々な原因を把握できます。

また、現在でも新規開業が続いている状況があり、近隣に競合ができた場合には、

1)ホームページからの来院が減ったのか?
2)紹介患者の来院が減ったのか?
3)満遍なく減ったのか?

といった、それぞれの理由により、対策の取り方が全く異なります。

1)ホームページからの来院が減っている場合
表示順位が負けていないか確認を行った上で、掲載コンテンツの見直し・作りこむことで
表示順位を上げることができます。

2)紹介患者の来院が減っている場合
自院の診療コンテンツが他院と比較された際に弱い可能性があるので、その点を見直しましょう。

3)満遍なく減っている場合
これらの対策を全て打つことが理想的ですが、優先順位をつけながら、確実且つ早めに取り組むことです。

 

その2
ひと月あたりの新規患者の目安人数は120名を超えているか

立地や開業からの経過年月といった条件によって変動しますが、
弊社では、安定的な耳鼻咽喉科経営を行うにあたって、
ひと月あたり最低120名は必要であると提唱しております。
必要な対策は現時点での患者数や新規患者数などを含めた詳細な条件によって異なりますが、
以下の点に注意して、対策を検討することが重要です。

1)ひと月あたり新規患者が120名以上の場合
新規患者を集める為に現在支払っている各種媒体の費用対効果を把握し、
費用対効果の高い媒体に費用対効果の低い媒体の予算を回すことで費用対効果の高い方法を検討します。
10年前に設置した看板も最初は効果があったが、現在では10年前程の集患に繋がっていないなど
新規患者の経路を確認して見直すことで、適切な広告費運用に繋げることができます。

2)ひと月あたり新規患者が120名未満の場合
・認知度が低い
・口コミが起きにくくなっている
に対する対策を打たなければ、改善できないケースがよく見られます。

・認知度が低い場合の対策
広告費を十分に掛けていないまたは、無駄な広告費がある可能性があります。
近隣の患者への周知ができていない場合、自院の売上に対して、3%を広告費用の目安として予算に組み込み、
積極的に認知度アップに努めた方が良いでしょう。

・口コミが起きにくくなっている場合
待ち時間が長い、診察への満足度が低いなど複数のネガティブな条件が重なっている場合には
口コミは起こりにくくなっています。
※120名未満の場合は、一度自院が抱えている「マイナス」の側面を患者数の少ないこの時期に
振り返ってみることはとても重要です。

 

その3
前年比で「新規患者の3カ月連続減少は黄色信号」「新規患者の6カ月連続減少は赤色信号」

競合医院の出現の有無に関わらず、新規患者の減少は自院の経営のバロメーターにもなります。
ただし、ここで挙げている新規患者の3カ月(6カ月)連続減少とは、
2019年以前と、2020年以降の各月を分けて比較するように、
新型コロナウイルス感染症流行の以前と以後で分けて考えることが必要です。
2020年に入ってからの各月推移はどうなっているのか、
また2021年と2020年を比較した時にはどうなっているのか、
外的要因による大きな影響をできるだけ取り除いて検討するようにしてください。

花粉の飛散量や感染症の流行するタイミングによって、
ひと月ごとの比較では前年よりも減少することは経営状態の良い診療所でもよくあります。
ただ、新規患者の減少が数カ月連続するということは少なく、
減少が連続する際には何らかの外部要因もしくは内部要因が発生していることが多いです。

実際に6カ月以上連続して減少している場合には、
その数か月後から1年後には、レセプトが減少する傾向にあります。
レセプト枚数やレセプト単価、医業収入といった、会計士さんの報告であがってくる内容以外にも
自院の経営状況を先読みするのに有益な情報が新規患者の数とその推移です。

 

新規患者の積み重ねが現在の、そして未来の患者数になります。
新型コロナウイルスの影響に負けないよう、自院の状況をしっかりと把握し、
未来に対して備えるために今やるべきことを見極めることが大切です。

まずは、新規患者の意味を理解し、是非対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。