これは「灯台下暗し」のいい例ではないでしょうか。

遠くの商圏を意識しすぎた店は負け、身近な商圏を大切にした店が勝利したという笑い話です。

 


 

友人や知人の耳鼻咽喉科医が流行っている。

負けじと遠くのライバルを意識して、
新しい治療を取り入れてみたものの、
自院の診療圏に住む患者さんの年齢層を考慮しなかったり、
同じ商圏内の競合医院を見落としていたりすると足元をすくわれかねない結果になるわけです。

 

あるマーケッターがラーメン屋の店長に尋ねました。

「あなたはどのようなお客さんに来て欲しいですか」

「そりゃあ、あらゆるラーメン屋の中でうちのラーメンが美味しいと言ってくれるお客さんだよ」

 

マーケッターの答えは違いました。

「私がラーメン屋の店長だったら、腹を空かしているお客さんに来て欲しい」

 

これは、

ラーメン屋のライバルはラーメン屋だけではなく、近隣の飲食店全てである。

ということを意味しています。

 

同様に、
航空会社のANAのライバルはJALなどの航空会社だけではなく、
新幹線やバス、乗船などを含めた移動手段を業とする業界がライバルということになります。

 

このようにお客さんのニーズを満たすことができるサービスや目的が同じであったり、代替可能であれば、ライバルに成り得るということです。

 

耳鼻咽喉科業界においての競合医院は耳鼻咽喉科医院だけではないということになります。

 

例:ハナ風邪の場合

この場合は年齢層を軸に考えると15歳未満のお子さんにとっては小児科、15歳以上の患者さんにとっては内科がライバルです。

待ち時間や立地の面から考えると薬店やドラッグストアまでもがライバルと考えてもよいでしょう。

大手ドラッグストアチェーン店でのセールストーク集には以下のようなものがあります。

「病院での待ち時間や薬局へ行く手間を考えるとドラッグストアで購入した方が楽ですよ。」

「病院で処方されるお薬はその時の症状に合った単剤をいくつか処方されますが市販薬はその他の症状が出たときでも対応できるように風邪の11症状に効くように作られています」

ネガティブキャンペーンというわけではないですが、ライバルになる業種の欠点を考え自分たちが優位性を保てるようにマーケティングを行っています。

 

では、我々はどの様に差別化をするかが求められます。

内科、小児科、ドラッグストアと比較し耳鼻咽喉科が圧倒的に優れている点はやはり処置をしているという点です。

 

鼻処置や耳処置にシズル感を意識することも一つです。

シズル感とは本来は揚げ物などがジュージューいっていることを表す擬音語で、美味しそうな感じが良く出ているものがシズル感があると表現されます。

そこで最近では食品だけではなく、他の商品やサービスでも、「そのものらしさ」が出ているかを、シズル感という言葉で表現されるようになりました。

鼻処置や耳処置にシズル感とは、
鼻吸引をしている「ジュルジュル」という音であったり、
耳垢を受け取られたティッシュを患者さんにさりげなく見てもらうような処置中の演出が差別化に成り得るわけです。

 

最後に、近隣の隣のライバルを想像してみてください。

 

近隣のライバルより優位性をどのように出すかを意識しなければなりません。

医院案内やホームページでの情報発信で先手を打ったり、
処置という優位性をどう活かすかを考え作戦を立てることがライバルに勝つために必要不可欠だということです。