忙しい時こそ医院に来られる患者さんが多くなるので、自院をPRする格好の場にも関わらず、ついつい「忙しいからしょうがない・・・」と諦めてしまっている医院さんがあります。
では繁忙期でも患者満足度の高いサービスを提供できる医院と提供しきれていない医院との違いとは何でしょうか。

これは個々人の「行動力」の違いです。

患者満足度の高いサービスを提供できる医院は一つひとつの行動においてスタッフの方が「達成感」にあふれており、主体的な行動が生まれています。

一方、患者満足度の高いサービスを提供しきれていない医院はスタッフの方が「やらされ感」に満ちており、行動力が高まらないという状況に陥っています。

つまり、患者満足度の高い医院となるためには各スタッフの行動力を養成する必要があるのです。

行動力を養成する方法の1つは「褒める」ことです。
「褒める」ことで経営者たる院長がスタッフに対してどのような行動を求めているのかを明らかにし、行動のモデルを示すことができます。

もう1つは「叱る」ことです。
「叱る」ことでどのような行動がダメなのかを教えて、制限を加えることで望ましくない行動を抑制できます。

ただし、「褒める」にも「叱る」にもそれぞれ弱点があります。

褒めることの弱点は「褒めてくれる人がいなくなると行動を起こさなくなる」ことであり、
叱ることの弱点は「叱りすぎてしまうと、萎縮してしまい、言われたことしか実行しなくなる」ことです。

「褒める」や「叱る」はあくまでも教育の本来の目的であるスタッフ各人の成長を促進するための手段であったり、切磋琢磨し合える風土構築のための手段です。

つまり、「褒める」や「叱る」は教育の過程における手段であって、目的ではありません。

ただ、ついつい
「褒めてあげたほうが伸びる」
「このようなことをしたから叱る」というように
手段が目的になってしまうため、弱点に陥った時にうまく使い分けることができなくなってしまうのです。

そのため、まず「褒めること」や「叱ること」を目的とせず、『あること』を目的とすることでスタッフの方への対応が変わります。

『あること』とは「貢献感」を刺激してあげるということです。
貢献感とは「役に立っているという実感」のことであり、この心理は「人の役にたちたい」という老若男女の誰もが持ち合わせていると言われています。
そして、「人の役に立てた」と実感したとき、つまり貢献感を得た後は、積極的にその行動を繰り返すと言われています。

皆様の医院にも、忙しくても患者さんに個別の対応ができているスタッフさんがいるかも知れません。
このようなスタッフの方たちは自発的に何らかの形で「貢献感」を自分自身に対して
抱いているのです。

何度伝えても、教育しても患者さんへの対応が成長しないスタッフさんは自発的に「貢献感」を得ることができないので、「貢献感」を抱かせてあげることが大事なのです。

ではどうすればいいのか。それは極めてシンプルです。
貢献感を与える言葉で伝えてあげるのです。

「ありがとう」
「助かる」
「うれしい」
といったハッピーワードです。

例えば、
「●●さんが診察室に入る前に患者さんに上着を脱ぐように声掛けをしてくれていたから今日の診療はスムーズで助かったよ!ありがとう!繁忙期には疎かになりがちだから改めて気遣ってくれて嬉しかったよ!」と伝えると、この方は次回以降も実施してくださるでしょう。

また、貢献感とは「自分の居場所もしくは役割を見つけられた実感」だとも解釈できます。

もしも院長先生が
「何をやっている?!」
「前にも言ったけどなんでできない?!」
などと言い続けると、スタッフの方は
「自分には向いていないかもしれない」と
自信をなくし、居場所をなくしてしまいます。

これを繰り返してしまうと、本当に「患者満足度の高い医院」は作ることができません。

たとえスタッフの方が教えていたことができていなかったとしても、「できた部分」や「得意なこと」に対して「ありがとう」「助かる」「うれしい」を続けることでスタッフの主体的な行動を引き出しましょう。

スタッフの方を勇気づけて、自信を持って行動していただくことが患者満足度の向上と直結すると言っても過言ではありません。

「忙しい時こそ、伝えるべきハッピーワード」

忙しい時期こそ、疎かにせず、全員が幸せになる言葉を発信しましょう。