<SMARTゴール>
自院で目標を設定するとき、あるいはスタッフに目標を立てさせるときに先生方の医院ではどのように目標を設定されていますでしょうか。

「接遇を良くして患者満足度を上げる」
など漠然とした目標になっていないでしょうか。

もちろんこれは大切なことですが、この目標では具体的にどのように行動していいか分かりづらいです。
目標の設定は、明確なロードマップを描くことができて、そこから具体的な行動に移せる目標であることが重要になります。

そこで、目標を明確にするためのフレームワークである『SMARTゴール』についてご紹介します。
SMARTゴールというのは、目標設定時に押さえておくべき5つのポイントの頭文字をとったものになります。

 

5つの頭文字は下記のとおりです。

【S】:Specific:具体的である
【M】:Measurable:測定可能である
【A】:Achievable:達成可能である
【R】:Relevant:関連性のある
【T】:Time:期限付きである

これらを一つずつ解説していきます。

<Specific:具体的である>
これはゴール(目標)を曖昧にせず確で具体的なものに設定することです。
例えば、『月間の舌下免疫療法の管理数を9月までに200件以上、継続率を95%以上にする』などです。

ここで重要なことは、『舌下免疫療法の管理数を200件以上、継続率を95%以上にする』だけでは不十分であるということです。

「誰が」「いつ」「どのように」などより具体的に設定することがポイントです。

5W1Hを意識すると良いでしょう。

<Measurable:測定可能である>
次は、「測定可能である」ということです。
上記の具体的な目標に対して、進捗が管理できるようになっているかがポイントです。

例えば、上記の『月間の舌下免疫療法の管理数を9月までに200件以上、継続率を95%以上にする』という目標に対して、7月時点で、管理者数が150件、継続率が80%であれば、今後の目標に対するアプローチ方法を変えることで少しでも目標に近づくことができるかもしれません。

<Achievable:達成可能である>
こちらは、設定した目標が達成可能であるかということです。

目標が高すぎると「達成不可能だ」という意識が働き努力することを諦めてしまいかねません。
また、努力せずに達成できるような低すぎる目標設定であってもモチベーションが上がりにくいと言えます。

努力した結果、達成できそうな設定にすることが重要です。

<Relevant:関連性のある>
こちらは後半に説明する内容になりますが、「目標自体が適切であるか」「組織の理念や方向性と関連がある内容になっているか」ということです。

先に挙げた例で言えば、自院の方針として高齢者の来院者数が多いため、老人性難聴や耳鳴り、めまいなどを強化するという方向性なのであれば高齢者は舌下免疫療法の治療効果が弱まる可能性があることからもそもそもこの目標は適切とは言えないということです。

<Time:期限付きである>
最後は、期限が適切に設定されているということです。

上記の目標で言えば「9月までに」と設定しておりますが、これが「夏までに」と曖昧であれば、取り組みが遅くなったり適切に行動ができなくなる可能性があります。

これらが『SMARTゴール』の詳細です。

これらの5つのポイントをしっかり抑え、目標に向けての道筋が明確になり適切なアクションが取れることで、目標達成の確率と達成スピードが上がるようになります。

では、次からはMVVについて見ていきたいと思います。

こちらは目標というより「理念」や「方針」など企業(医院)の方向性を設定するうえでのフレームワークになります。
なぜここで触れるかと言うと目標設定を行ううえでは医院の理念や方針に沿うことが重要だからです。

<MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)>
MVVとは、ピーター・ドラッカーが提唱したもので、以下のそれぞれの頭文字を取ったものです。

【M】:Mission:使命
【V】:Vision:理想像
【V】:Value:価値観

ドラッカーは企業経営において、これらのフレームを経営の中心に置くことが重要としています。
すでにこれらを策定されている医院もあるかと思いますが、先に記した目標設定は、MVVに基づいた目標であることが大切なポイントになります。

<Mission:使命>
ミッションとは企業(医院)の使命を指し、「自社(自院)が何のために業を成しているのか」「自社(自院)の存在理由は何か」という問いに対する答えを明確に表したものになります。

例えば、日本を代表する会社の1つであるソフトバンクグループのミッションは、
『情報革命で人々を幸せに』(2025年時点)
です。

耳鼻咽喉科医院でいえば、
『耳・鼻・喉でお悩みの全ての方のQOLを向上させる』
といった具合です。

耳鼻咽喉科医院として、その地域でどういうものを提供したいか、地域での存在理由は何かという問いの答えという形です。

<Vision:理想像>
ビジョンは、企業(医院)の将来あるべき姿や中長期的に目指す目標像を、自院に関わる誰もがイメージが湧くように表現したものです。

先ほども挙げたソフトバンクグループのビジョンは
『世界の人々から最も必要とされる企業グループ』(2025年時点)
になります。

耳鼻咽喉科医院でいえば、
『地域のお子様から高齢者の方まで最も信頼される耳鼻咽喉科クリニック』
といった形です。

<Value:価値観>
バリューはそれぞれの企業(医院)の価値観を表したもので、ミッションを果たし、ビジョンにたどり着くための企業の行動指針を固める基本要素となり得るものです。

この価値観は一つでなくても複数あっても構いません。

例としてソフトバンクグループのバリューは
「No.1」「挑戦」「逆算」「スピード」「執念」(2025年時点)
です。

耳鼻咽喉科医院でいえば、
『患者様への思いやりと最新の医療品質の両立』
などが価値観になります。

先に挙げたミッション・ビジョンを達成するために自院独自の価値観・行動指針をここで掲げるとよいでしょう。

以上が、MVVについての解説です。

ここではMVVの策定方法については触れませんが、既にMVVを策定されている医院であっても策定をして終わりではなく、職員に浸透させる必要があり、医院全体がそれに基づいた行動を取れていることが非常に重要です。

そして、目標設定においてもMVVに沿うことで医院全体が同じ方向を向くことができ、且つ個々が目標達成をすることで医院全体の成長がより加速できるというわけです。

医院全体の目標、個々の職員の目標のいずれにおいても

・MVVに基づいているか
・SMARTゴールで設定されているか

ということを留意していただければと思います。

新たに目標設定をするうえで今回の内容が少しでも医院経営のお役に立てれば幸いです。

弊社では、耳鼻咽喉科クリニックにあわせた目標設定やMVV設定の策定についてもお手伝いが可能ですので、ご関心のある先生方はお気軽にお問い合わせください。