例えば、診察中、患者様に記入いただいた問診票を見て即座に先生ご自身の考えで判断されてはいませんでしょうか?
言い換えると、患者様の生の声を上手く引き出すことができていますか?ということです。

「第7回 日本の医療に関する意識調査」によると患者様が医療機関を受診した際に感じたことのある不満として、以下の内容が上位に挙がっています。

「待ち時間が長い」
「説明が分かりにくい」
「医師の態度や言葉遣い」

このうち「待ち時間が長い」という点においては、診療オペレーションや予約システム等の見直しが必要になるため、即時の改善は難しい場合があります。
しかし「説明が分かりにくい」「医師の態度や言葉遣い」は、先生方の診察中の意識を変えていただくだけで改善が可能なのです。

そこで、今回は“患者様に少しでも満足を感じてもらうための対応方法”についてお伝えします。

 

■テクニックその①【聞き方を改善する】

患者様との対話において重要なのは、話の受け止め方。つまりは“聞き方”です。
患者様が診察に対して不満を持つ理由の一つに「自分の言ったことが理解されない」というものがあります。
具体的にイメージしていただくために、よくある事例をご紹介します。

<パターン1>
患者様:「1週間前から鼻水が止まらなくて、とても苦しいです」
先生:「苦しいなんて大げさだな。確認してみるので、じっとしていてくださいね」

<パターン2>
患者様:「喉が痛くて、ネットで調べてみたところ、おそらく咽頭炎だと思うのですが…」
先生:「いや、この症状だとおそらく急性扁桃炎の可能性が高いです。一度診せてください」

このように、患者様の言ったことに対して否定から入っていませんか?
先生方にとっては何気ない一言だとしても、患者様からすると、あまり気持ちは良くないものです。
また、「この先生は話をしても分かってもらえなさそうだな」と感じてしまわれる恐れもあります。
そうなると先生の話が耳に入らなくなり、患者様は心を閉ざしてしまうでしょう。

そのような事態を防ぐためにも、まずは「相手の気持ちをきちんと受け止めてあげること」が大切になります。

具体的には、患者様のお話を聞いた後、一言目に「そうなんですね」「分かります」というようなクッション言葉を挟むことが有効です。
患者様が「この先生にはきちんと話を聞いてもらえる」と感じ、安心されることによって、その後に反対意見を伝えた場合も客観的に理解する姿勢を持っていただきやすくなり、その後の診療もスムーズに進むでしょう。

 

■テクニックその②【話す量と間を意識する】

普段の患者様との会話の中で、当たり前のように専門用語で説明されていませんか?
また、伝えたいという想いに熱が入り、ついつい長すぎる説明になってはいませんでしょうか?

患者様は医療に関しては素人ですので、治療や検査のメカニズムなどを専門用語で説明してしまうと、理解が困難になります。
そのため、患者様の視点に立ち、知りたいことを端的に伝えてあげることが重要なのです。

患者様が診療において特に知りたい内容は「状態の良し悪し」「症状の原因」「治療方法」でしょう。
これらを簡潔に伝えた上で、患者様から追加で質問があれば、補足説明をしてあげると良いでしょう。

また、話の“間”を意識することも大切です。
人の脳の構造上、新しい情報を与えられた時に頭の中で整理することには時間がかかります。
そのため、間をとらなければ理解が追い付かず、患者様は話を聞くことをやめてしまう恐れがあります。

具体的には、患者様に言葉を投げかけてから1~3秒ほど間を取ることをお勧めします。
その際、患者様が先生から視線を外された場合は間のテンポが合っていない可能性があるため、調整する必要があるでしょう。

 

■テクニックその③【言葉だけで説明することをやめる】

疾患や治療に関する情報を、短時間で、言葉だけで患者様に理解してもらうことには限界があります。
だからといって、長く話し続けてしまうと診察時間が長引いてしまったり、患者様側も話に飽きてしまったり、新たな問題が発生しかねません。

そのため、患者様への説明の際は、標本模型や画像を見せながら説明すると良いでしょう。
もしくは、弊社セミナー等でもお伝えしている治療カードのように、疾患の説明が要約されたツールを活用することもお勧めです。

そうすることで、患者様は言葉だけで説明を受けるよりも理解が深まり、「丁寧な説明をしてくれる良い先生だ」という印象を持たれることでしょう。

いかがでしたでしょうか。先生方が実際に普段から実践できていることはいくつありましたでしょうか。
本コラムでお伝えした内容のように、患者様への対応を少しずつ見直していくことで、確実に患者満足度は向上します。
そうして、クリニックに定着した患者様は、将来的に医院経営を支えてくれる大きな糧となってくれるでしょう。

 

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