大前提として先生方お一人お一人によってマネジメントのスタイルが異なると思います。

例えば、ご自身で医院の方向性や取り組みを決定し、スタッフさんにそれらを示して引っ張っていくようなスタイルや、スタッフさんと相談しながら方向性を決定し、一緒にクリニックを作り上げていくスタイル。

あるいは2つの間のようなタイプで方向性は先生で決めながらそれをスタッフさんに納得させ具体的な取り組みについてはスタッフさんと一緒になって考えるスタイル。

これら以外にも現場はスタッフさんに任せる、方向性もある程度スタッフさんに任せる…

といった具合にたくさんのマネジメントスタイルがあります。

今回はどのようなマネジメントスタイルでもお使いいただけるスタッフを動かすための共通の考え方についてお話しします。

 

先生方の中で

「この人と働いているとやる気が出ないな」

「この人から言われるとやらなければいけないとわかっていても行動に移せないな」

とお感じになられたことはありませんか?

この現象こそが今回お伝えをしたい内容で、具体的に言語化しますと「礼節」です。

 

クリスティーン・ポラスが、著書「Think CIVILITY」で無礼な人が会社に与える損害を調査した結果を書いてくれているのですが、職場で誰かから無礼な態度を取られた場合

48%の人が仕事にかける“労力”を意図的に減らす

47%の人が仕事にかける“時間”を意図的に減らす

66%の人が自分の業績が低下していると感じる

78%の人が組織への忠誠心が低下したと感じる

というような結果になったようです。

 

これらのことからわかるように、先生方が働かれている時に感じられたことがある「やる気が出ない」というものは周りの方から無礼な態度を取られたということです。

このことは逆もまた然りで、先生のスタッフさんに対する態度によってはやる気を削いでしまい、スタッフさんが仕事にかける労力や時間を減らしてしまうということです。

この無礼な態度というものは非常にやっかいで自分では気づかない内にそのような態度を取ってしまっていることがあります。

ですからそのような態度の改め方の前に自分自身が無礼な態度になっていないかチェックをしてみましょう。

 

方法としては周りの方に確認してもらうと簡単で取り組みやすいでしょう。

その際に聞きたく無い話を聞かされることがあるかもしれません。しかしそれは将来に渡ってスタッフさんの労働力を低下させる可能性が高いため素直に受け止めていただき、改善を図っていただくと良いでしょう。

 

また一対一では無く、360度フィードバックを実施しても良いでしょう。

これは様々な立場の方から評価をもらうことによりその方の様々な面を浮き彫りにする評価方法です。

テンプレートや関連するサービスがWEBに公開されていますので気になった方は目を通していただくと良いでしょう。

 

ご自身の態度を周りの方に評価してもらった結果、スタッフさんの労働力を低下させる内容があった場合は改善が必要です。

改善にあたっては、自分ができること、周りの方に助けてもらうこと、それぞれ分けて考えてみましょう。

 

まず、自分でできることとしては改善したい行動をどのように改善するかを宣言します

さらにその宣言が守れなかった場合の罰則まで決めると良いでしょう。

例えば瞬間的にカッとなってしまってスタッフさんに怒鳴ってしまう方であれば「怒鳴ってしまったら〇〇をする」というような具合です。

こうすることで自然と自分自身の行動に相手の労働力を低下させる行動が無いか振り返るようになります。

 

次に周りの方の力を借りる方法としては好ましくない行動、態度を取った際に指摘してもらう方法です。

この方法で注意が必要なのは面と向かって口頭で指摘をされるとつい反論したくなってしまうので言葉では無く、「合図」を決めておきそれで指摘するということです。

例えば診察室に小さな人形を置いておき院長先生が好ましくない行動をしてしまった時はスタッフさんがそれをそっと見えるところに置く、などです。

そうすることでその人形が見えた際には周りにとって好ましくない行動をとっているということが自覚でき、改めることができます。

 

ただし、先生方にお伝えしなければいけない点は、先生方に変わる意思が無いとそれらの取り組みはしない方が良い、ということです。

例えば変わる意思が無ければスタッフさんを叱っている途中に人形を出されても余計に怒りが強くなるでしょうから返って逆効果になります。

ですから今回の内容について取り組んでみようと思っていただいた場合は

 

1.本当にスタッフさんの労働力を高めたいのか

2.自分は周りの労働力を下げる無礼な態度を取っていないか

3.どのようにすればそのような態度を取らずに済むか

 

の順で考えていただくと良いでしょう。

日々のマネジメントの参考にしていただければ幸いです。