『コーチング』とは「ヒトの能力とやる気を引き出すコミュニケーション」という意味です。

「コーチ」という言葉は「馬車」という意味があり、「大切な人を望むところまで送り届ける」という意味が含まれています。

つまり、野球やサッカーなどのスポーツにいる「コーチ」のように、一人ひとりの能力を引き出し、目標達成をサポートするということです。

医院においても、スタッフ一人ひとりが目標を持って業務にあたることはモチベーションの維持において非常に重要です。

その上で目標を達成するためにサポートする存在(コーチ)がいることも成果をあげるにはとても大切となります。

 

では実際にコーチングを行うには、次の3つの心構えを意識しなければなりません。

1.信じる

2.認める

3.任せる

 

「信じる」は、人間には無限の可能性があるということを信じることです。

「ダメな人はいない」という考えを持つことです。

一見ダメなように見えても良く見れば輝けるものがあるはずだ、と信じることがコーチングの基本です。

 

そして「認めるというのは相手の良い所を見つけて、認めてあげることです。

誰にでも長所や可能性があり、日々学び、成長します。

その進歩を見逃さず認めることがコーチングをする上では大切なことです。

 

そして最後に「任せる」ですが、スタッフ一人ひとりの適性を見極めた上で何かを任せてみるということです。

また、任せっきりにせずフォローすることも大切です。

任せたことに対して現状と心情をしっかり把握することで信頼を得ることができます。

 

これらの心構えを基にコーチングを行うことが重要となります。

そしてコーチングをいざ実践するにあたって、これらの心構えを基にして基本的な進め方というものもあります。

それが「GROWモデル」です。

 

GROWとは、以下の5つです。

  • G(Goal)…目標の明確化
  • R(Reality)…現状の把握
     (Resource)…資源の発見
  • O(Options)…選択肢の創造
  • W(Will)…目標達成の意志

 

Goal(目標の明確化)は、大雑把な目標ではなく、数値化するなど分かりやすい目標を立てることです。

例えば、受付であれば「今日は声掛けをしましょう」ではなく「今日は10人に声掛けをしましょう」といった形で、具体的な目標があることで、スタッフは行動に移しやすくなります。

 

Reality(現状の把握)は、現在、相手(教えられる側)にはどういう課題があって、今後どうするべきかという状況を随時把握し、認識を共有することです。

例えば「1年後にリーダーになる」という目標があれば、そうなるために「現在〇〇という課題があって□□という能力を身につけなければいけないので△△を毎日行いましょう」という具合に定期的に現在の状況をお互いに擦り合わせることが大切です。

 

Resource(資源の発見)の資源とはヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源のことです。

相手が課題を解決する際に、新たに利用できる経営資源を見つける手助けをしてあげることを意味します。

 

Options(選択肢の創造)は、目標を達成する、課題を解決する際に同じやり方を繰り返すのではなくベストな方法がないかを相手と一緒に考えることです。

ここでは、できるだけ相手が出したアイデアは否定をせず、受け止めてあげることが大切です。

 

最後にWill(目標達成の意志)は、目標を達成するためのやる気を確認し、行動を促すことです。

ただ「やる気」があるといっても行動が伴わなければいけませんので、「いつするのか」「いつまでにするのか」ということを定めて確実に行動できるようサポートしてあげることが大切です。

 

これらのようにコーチングには基本的な心構えと進め方があります。

院長先生や教える側の立場のスタッフには是非知っておいていただきたい内容になります。

たとえしっかりとしたマニュアルがあったとしても、教え方次第で部下の成長スピードは変わります。

目標の達成度についてもそうです。特に新しいスタッフが目標を達成するためには上司のサポートが重要です。

是非、新年度を迎える際など新たに目標を立てる医院があれば、このコーチングの技術を少しでもご参考いただければ幸いです。