Amazonでは、顧客満足度を低下させないために、「顧客の欲しがる情報を提供する」ということを大切にしています。

 

商品が到着するまでに多くの顧客が不安に思うことは、「自分が注文した商品がしっかり手元に届くのか?」とAmazonは考え、顧客が気にする配送状況を常に確認できるようにすることで、顧客の不安を解消しています。

 

Amazonの例のように、顧客のニーズに応えるには患者さんの気持ち(ニーズ)を想像し、ニーズを知った上で行動に移すことが大切です。

 

では患者さんのニーズに気づくには、何に気を付ければよいのでしょうか?

 

患者さんのニーズに気づくには、「判断基準」を持ち関心を持つことで問題に気づき、「判断基準」に即して仮説を立てることで、患者さんのニーズを見つけやすくなります。

 

例えば新幹線の自動改札機に切符と特急券を入れると、出口では特急券が上になって出てくる機械があるそうです。

 

乗客は自動改札機を通過した直後、

  • 乗り場はどこか?
  • 何号車の何番席か?
  • 発車時刻は何時か?

と考える人が多いと思います。

 

特急券には新幹線番号や号車番号・席番号・乗車時間などが記載されているので、特急券が上に出てくる理由は、乗客が荷物で手が塞がっていても特急券を上に入れ替える作業をせず、次の行動が取りやすいように情報を見やすくするためです。

 

この例では「乗客が自動改札機においてどうすれば便利になるか?」ということに関心を持ち「自動改札機通過後に何を考えるか?」と仮説を立てることで、特急券が上になって出てくるという顧客満足を向上させる行動に移せたというわけです。

 

つまり

「どうすれば顧客が常に便利か?」
「どうすれば顧客が常に心地よいか?」
「どうすれば顧客が安心できるか?」

などの「判断基準」を持って常に関心を持ち、「判断基準」に即した仮説を立てることで顧客ニーズを見つけやすくなります。

 

クリニックにおいては「患者さんが何を求めているか?」というような「判断基準」で物事に焦点を当てることが大切です。

 

例えば一部のクリニックではクリニックの床の衛生面を保つために、来院患者さんにスリッパを履いていただくことがあるかと思います。

 

しかしこれは感染症予防対策の観点からは、クリニックで患者同士がスリッパを共有することを嫌がる患者さんも少なくないです。
つまり、患者さん本位ではなく、もしかするとクリニック本位の考え方かもしれません。

 

「患者さんは感染リスクを恐れている」ことに関心を持ってスリッパに焦点をあてれば、「スリッパに接触したくないはずだから、接触しないためには何が必要だろう?」と仮説を立てることができます。

 

この関心を持ち仮説を立てることで、

  • スリッパの使用を止める
  • 患者さんの使用毎にスリッパを消毒する
  • スリッパカバーを使用してスリッパと肌を接触しないようにする

といった行動案を見つけることができ、患者さんのニーズに応えることができます。

 

スリッパは些細な例の一つではありますが、クリニック全体の患者満足度は小さな満足度が集合することで形成されます。

 

スリッパのような小さいことでも、「患者さんが何を求めているか?」と関心を持つことで患者さんのニーズを探りやすくなり、患者満足度向上に繋がっていくかと思います。

 

ぜひ患者さんが求めるであろう「判断基準」を用いて物事に焦点を当てるようにしていただきたいと思います。