まず始めに考えていただきたいのは、ご自身のクリニックの教育の方法を先生方がご存じか、ということです。

 

例えばレジの締め方や、掃除の仕方など細かな業務の教育方法を把握する、という意味では無く、新人スタッフが入職した後、どのようなスケジュールでどのようなポジションの方が教育に当たるのか?

 

自院のルールを把握されているかということです。

 

もし自院で教育のルールが作成されていない場合は早急にルールを作成していただいたほうが良いでしょう。

 

『いつ』『だれが』『何を』教えるのか

 

また、どの業務を誰が教えることができるのか明確になっていないと、教育担当者に全てが委ねられることとなります。

 

そして、特定の方に教育を任せることを「属人的な教育」と呼びます。

 

属人的な教育を行うと、

  • 特定の方に負担が集中する
  • 教育担当者のやり方が医院のやり方になってしまう
  • 教育担当者が突然退職してしまうとその後の教育が滞る

といった弊害が発生します。

 

実際にベテランスタッフさんに教育を丸投げしてしまっているようなクリニックでは、教育担当者に負担がかかりすぎて退職してしまうか、権力を振りかざし、気に入らない新人スタッフに“教育”としてプレッシャーをかけ退職に追い込むケースがあるようです。

 

そうならないためにもクリニックとして明確な教育ルールを作成し、「属人的な教育」から卒業しましょう。

 

 

■「属人的な教育」から卒業するために行うべきこと

 

1.教育スケジュールの作成

新人スタッフさんが入職した後にいつまでに、どの業務をどのポジションの方が教育するのかが明確になる一覧表を作成します。

例えば、院内の掃除の仕方は1週間以内に覚えていただく、あるいは開院前の準備は2週間以内に一通りできるようになる。などです。

このようにスケジュールを明確にした上で、一覧表の端に教育した日と習得した日(先輩に確認を受けた日)を記入する欄を設ければそのスタッフさんがどの業務をできるのかあるいは、覚えが早いのかを客観的に確認することができます。

 

2.全員が教育できるようにする

スケジュールを作成しても特定の方に教育が集中するようでは意味がありません。

スタッフさん全員が教育をできるようにすることで突然の退職があった場合でも他の方が教育を続けることができます。

 

3.教育を若手に、確認をベテランに任せる

教育を若手スタッフに任せることで、若手スタッフの理解を促進することができます。

その上でベテランスタッフが習得具合を確認をすれば、新人スタッフの教育状況の確認と、若手スタッフの理解の確認を同時に行うことができます。

 

日々の業務を繰り返す内に自分なりのやり方や、独自のクセ、あるいは少し手を抜いた方法が身につくことがありますので、新人スタッフへの教育を通じてベテランスタッフが若手スタッフの理解および取り組み姿勢を確認でき、クリニックとしてスタッフさんのスキルの平準化を図ることができます。

 

以上のように、“人”に教育を任せるのでは無く、“仕組み”に任せることによって永続的な教育体制を築くことができます。

 

予備校や塾は今年の入試が終わるとすぐに来年の入試に向けて準備をされるそうです。

 

クリニックの院長たる先生方も今年の教育体制を見直し、改善点をリストアップしていただければ幸いです。