しかし、ホームページに理念は書いてはあるものの、その理念を覚えているスタッフさんは何人いらっしゃいますか。おそらく誰もいないか、いたとしてもリーダー格のような主要なスタッフさんであったり、院長先生と比較的信頼関係が築かれているスタッフさんであり、スタッフさんにしっかりとその理念が根付いているかと問われると、自信を持ってYesと回答できるクリニックは少ないのが現状です。

一方、先生の考えや理念に共感し、患者さんのためを思い、クリニックに献身的に尽くしてくれるスタッフさんに囲まれて診療を行っているクリニックがあることも事実です。

理念が浸透しているクリニック、浸透していないクリニックにはどのような差が生まれるのでしょうか。それはスタッフさんの行動にあらわれます。理念が浸透しているクリニックというのはスタッフさんが行動する際の一本の軸として、理念を迷った時の行動選択の判断基準にします。理念に基づいて行動ができるようになれば、院長先生の判断を最低限に抑えることができ、スタッフさん自身の自主的な決断で仕事を進めることができることになります。

スタッフに理念を浸透させるために

既存のスタッフさんに理念を浸透させるためには、スタッフルームに明示したり、理念を記載したクリニック独自のクレドカードなどを作成し朝礼や終礼を利用しミーティングで一緒に読み上げたりと様々な工夫をされています。

もう一つ理念を浸透させるための答えに新卒採用の活用があります。採用時点で理念を浸透させるのではありません。応募者の“資質”を見極めるということです。例えば、院長先生が子どもを診察するよりも大人の方の診察を好まれる場合、理念もそのような内容になることでしょう。そしてホームページなどに記載されているのであれば、応募者に「なぜ当クリニックに応募したのですか?」などの質問をした時に、「小さな子どもが好きだから」など当クリニックの理念に共感できない回答を得たときに、採用を考えることができます。

採用のタイミングでどれだけ自院の理念や先生の考え方、信念を教育、浸透できやすいかによってそのスタッフさんの今後の活躍が決まると言っても過言ではありません。しっかりとクリニックの理念や、先生の考え方、信念の資質を持っているのであれば、クリニックのためを思い長期に渡って献身的に働いてくれます。理念に共感をしたスタッフさんはクリニックに対するロイヤリティを持ってくれますので、労働条件に不満を言ったりすることが少なくなります。さらには、自主的にクリニックの改善などのプラスアルファの業務を行ってくれるようなスタッフも現れることもあります。