先生の主観のみで、「この人は明るいから患者さんにも丁寧に接してくれそうだ。」とか「この人はハキハキ喋るから頭の回転がよさそうだ。」といった理由で採用を続けることは、前述の例を使って話を進めると、種を蒔く場所が砂漠か肥沃な土地かの判断を見ただけで判断しているのと同じことです。
土地の良し悪しは見ただけでわかることもありますが、人間の資質を見抜くのはそう簡単ではありません。ですので、採用にあたっては客観的な事実に基づいた絶対評価で合否を決めて頂きたいと思います。

中途採用の戦力化

中途採用したスタッフを戦力化するには、教育担当者任せにしないことが大切です。
どういうことかと言いますと、教育する内容や時期、項目を教育担当者に決めさせずに、クリニックとして画一的な教育スケジュールとマニュアルを作成し、それに従って教育をしてもらうことが大切だということです。

勿論、採用したスタッフさんの成長に対して教育担当者に責任感を持ってもらうことは、教育担当者の成長の観点から重要なことです。
しかし、教育内容や、時期まで教育担当者に任せてしまうと、どのスタッフの教育を受けたかによって成長にばらつきが出てしまいます。
そうなると先生が各スタッフさん個別に可能業務を正確に把握する必要がでてきてしまい、シフトを組む時に先生の負担が大きくなってしまいます。
さらにスタッフさんの成長具合や成長スピードを正確に測れなくなりますので、人事評価や今後の教育計画の立案が難しくなります。

具体的な教育手法

大前提として、先生は勿論、教育担当となるスタッフさんにも認識して欲しいことがあります。
それは、「相手が覚えていない(もしくはできない)のは、教えた側の責任である。」ということです。

詳しく説明しますと、人にものを教える目的は、教えられた側の人が教えられたことを一人で自由に実施できるようになることが目的です。説明したり、やって見せたりということはあくまでも手段に過ぎないので、誤解を恐れずに言えば教えるという行為に意味はありません。教えられた側ができるようになって初めて意味を持つのです。

では、具体的に教育の手法について考えてみましょう。
中途採用の戦力化の項目でも述べましたが、画一的な教育スケジュールとマニュアル=教育プログラムを作成しましょう。
下に教育スケジュールの一例を公開します。

上の表のように“いつまで”に“どの”業務ができるようになるかを明示することが大切です。
このように細かく決めることで、誰が教育担当になっても画一的な教育ができます。
教育プログラムが完成した後は教育ステップを確立しましょう。

教え方の4STEP
1. 習得する理由、目的を伝える
2. 手順を説明し、「やってみせる」
3. 「やらせてみる」
4. 結果をチェックする。できていたら承認(ほめる)

以上のステップが教育をスムーズに行うためのステップです。