しかし、大事なことは医院にとって「無駄」な経費を削減し、削減した分を「価値のある」経費に費やすことです。

「価値のある」経費とは医療機器の購入やリフォームといった設備投資や意味のある人件費、研修費などを挙げることができます。
一方、医院でよく見ることができる「無駄」な経費とは以下のようなものが代表的です。
・電気代
・印刷代
・備品代

これは一概に全てを0にするのではなく、上手に削減することが適正な医院経営において必要不可欠です。

順に紹介していきますと、
(1)電気代
大前提ではありますが、診療時間中における院長室やスタッフルームの蛍光灯は必ず消してください。
(冷暖房は時期にもよりますので、各医院さんにお任せいたします。)

電気代を削減するポイントとしては2種類あります。
まず、これからの時期に重要なこととして、冷房の基準です。
6月上旬になれば冷房をいれるといった、時期で設定している医院さんも多いことでしょう。
しかし、これは外気温で調整するようにした方が良いでしょう。
天気予報の最高気温が27度以上の日には冷房をつけるといったルールづけです。

設定温度は地域やレイアウトによって、微妙に異なりますが、冷房の理想的な設定温度は
「25度~27度」を推奨しております。
また冷暖房はON・OFFのタイミングに膨大な電力を消費しますので、スタッフルームなどでは「23度」の冷房を30分ほどつけて、後は消すといった対応をとっている医院さんもあるかもしれませんが、「27度」でつけっぱなしにした方が省エネであり、電気代もカットできます。

電気代のポイントはまとめると
・冷暖房使用の基準と使用ルールの定義づけ
・「使用時間」ではなく「設定温度」
となります。

(2)印刷代
リーフレットなどを定期的に配っている医院さんでは印刷代も軽視することはできません。
大前提ではありますが、院内のプリンターで印刷する場合にスタッフ個々の方がカラーやモノクロを意識せずにカラーで印刷する風土がある医院さんは大至急見直した方が良いです。

その上で院内の印刷代を意識していただくと、紙代やトナー代といった経費に加え、印刷をするスタッフの人件費がかかってきます。
モノクロであれば、院内で内製化した方が圧倒的に安いケースが大多数ですが、印刷部数などを考慮すると、外注した方が良い場合もあります。

カラーの場合は印刷部数にもよりますが、大多数がインターネット上の専門業者に外注した方が安いでしょう。
特に対応した方が良い例は1日に必要となる枚数は少ないものの、定期的に配る必要のあるものです。

このような場合、無くなった時点で診察時間中や終了後にスタッフが必要最低部数を印刷していることがよくあります。

こういった対応を行っている医院さんであれば、1,000部以上を目安に外部に発注してしまった方が良いでしょう。
スタッフの手間も軽減できます。

印刷業者によっては、二つ折りや小冊子加工なども行ってくれる業者さんがあります。
「閑散期だから暇だし、リーフレットなどを折る暇もあるだろう」というお考えであれば、シフトの人数を少なめにして、休みを増やしてあげた方が良いでしょう。

一度内製化している自院の配布物における印刷代が気になる院長先生は外注することをお勧めいたします。

印刷代のポイントをまとめると
・院内での印刷は紙代やトナー代に加え人件費もある
・外注による印刷はスタッフの負担軽減になる
となります。

(3)備品代
備品代とは前述した紙代やトナー代も含みますが、ここで述べたいよくある無駄な備品代は「文房具」です。

文房具に関しては率直に申し上げると、金額は他の項目に比べると微々たる金額であることが多いと思います。

ただ、文房具の見直しは金額以上に重要な効果があります。
それは「受付業務」の無駄削減です。

文房具が多く眠っている場所は「受付」です。
この受付には色んな無駄や不必要が発生しています。
「使用頻度の低いファイルが受付の大事なスペースを占拠している」
「診察券が見当たらない」
「保険証が一元管理できない」
「ボールペンがあったはずなんだけど・・・」

このような小さな無駄や不必要があるにも関わらず、
院長先生も「何が必要かはスタッフに任せているから」ということで「受付の問題」が置き去りにされているケースも少なくありません。

実際「使用頻度の低いファイルを洗い出して、使用頻度の高いファイルを手前に置いてください。」と言えば、1~2ヶ月でレイアウトは変えられるでしょう。

但し、これでは本質的な考え方は変えられません。
なぜなら、「整理する」考えを持って行動するクセ付けができていないからです。

この考えを持つためにできること、それは受付のテーブルに置くものを最低限にしてしまうことです。

元々多くの医院さんの受付には物を置きすぎている傾向にあります。
物が多いと以下のようなデメリットが生まれます。
(1)似たような用途のペンが詰まったペン立てからは目的の用品を探し出す手間がかかる
(2)何がなくなったのかわかりにくい(もしくはわからない)
(3)文房具用品の補充コストが必要以上にかかる

つまり、最低限にしてしまうことで
「探す手間を大幅にカット」し、「なくなりそうなものをすぐに判断」することができ、「必要最低限の用品」を購入することができるのです。

備品代のポイントをまとめると
・「受付」にある文房具の見直しが受付業務の見直しにつながる
・経費削減だけでなく、整理整頓の意識づけにもつながる
となります。

 

上記の内容は基本的かつ代表的な内容であり、「これは実施している」と思われた内容も多いことでしょう。
もしくは「昔は実践していたけど・・・」と思われる医院さんもいらっしゃると思います。
重要なことは「無駄」を全て無くすことです。
健全な医院経営を行う為には「無駄」な経費を削減し、削減した分を「価値のある」経費に費やすことです。

 

そして、今回ご紹介した3つの経費は院長先生でなくても、削減することができる経費ばかりです。
むしろ削減を実行するのはスタッフでなければなりません。

 

スタッフに任せることで責任感を持たせて、自主性を高めてあげてください。
医院全体が一丸となることで、一つでも多くの目標を成し遂げていきましょう。