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2022.02.28

【2023年4月更新】電子処方箋とは?導入のメリットや懸念点は?

本記事は「電子処方箋の動向」について、クレドメディカル経営コンサルタントの百合草が医師のために記載した文書です。

より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

 

 

〈目次〉

  1. 電子処方箋とは?
  2. 電子処方箋のメリット
  3. 電子処方箋の懸念点
  4. 今後の展望、まとめ

 

 

1.電子処方箋とは?

 

電子処方箋とは、紙の処方箋を電子化し、オンライン上で登録、閲覧、管理ができるようにした処方箋です。

医療機関、薬局、患者さんの3者がアクセスできる仕組みとして厚生労働省が推進しており、2023年1月26日より運用が開始されました。

 

(厚生労働省資料 電子処方箋の仕組みの構築についてより)

 

特徴としては、

・データ管理は国が設置する専用サーバーで行う。

・マイナンバーカードに健康保険証としての機能を付与する「オンライン資格確認※」のシステムをそのまま電子処方箋のシステムの基盤とするため、サーバー内で健康保険証の情報と処方箋の情報が連結される。

・患者さんは、「健康保険証」もしくは「マイナンバーカード」を薬局に提示すると調剤されたお薬を受け取ることができる。

・医師、薬剤師、患者さんの3者がそれぞれサーバー上の処方箋情報にアクセス可能。

 

といった点が挙げられます。

 

※オンライン資格確認とは:患者さんが持参したマイナンバーカードにより、オンライン上で患者さんの保険資格を確認できる制度のこと。

 

 

2.電子処方箋のメリット

 

オンラインで処方箋にアクセスできるようになるとどのようなメリットがあるのか、以下に列記いたします。

 

■医療機関/薬局側のメリット■

・転職や退職で保険証の種類が変わっても、患者さんの服薬履歴を切れ目なく確認・記録できる

※患者さん側で、マイナンバーカードの健康保険証利用登録が済んでいる場合に限る

・医師の処方意図も併せて電子処方箋に記載することが可能になり、薬剤師との連携が容易になる

・薬局から医療機関への疑義照会、調剤結果のフィードバックが容易になり、医療機関側がよりよい医療を提供するための情報を集めやすくなる

・薬局側が調剤内容を誤入力することを防げる

・薬局側の処方情報入力業務を省力化できる

・処方箋の偽造や再利用を防ぐことができる

 

■患者さん側のメリット■

・薬局に処方箋を持参する手間が省ける

・高齢患者さんに多い過剰な服薬、重複した服用が防ぎやすくなる

・処方箋の紛失によるトラブルを防ぐことができる

・在宅医療、遠隔地医療、オンライン診療などの際、患者さんがご自宅近くの薬局で薬を受け取りやすくなる。

・災害時や事故時など緊急の手術が必要となる場合でも、オンラインで素早く搬送先の医療機関に自身の服用歴などを正確に伝えることができる。

・患者さん自身が服薬内容をいつでも把握・管理できる

・患者さんが複数の医療機関、薬局を利用している場合でも、各医療機関に処方・調剤の情報を把握してもらえる。

 

こう並べると、患者さん側のメリットの方が大きいように思えますが、

「薬局から調剤結果のフィードバックがオンライン上で容易に得られるようになる」という点は、

これまでにはなかった医療機関側のメリットとなりうるでしょう。

 

 

3.電子処方箋の懸念点

 

一方で、電子処方箋の導入には懸念点もあります。

 

■マイナ保険証の利用率の低さ■

電子処方箋はオンライン資格確認のシステムを基盤としていますので、医療機関・薬局側でのオンライン資格確認の導入と、患者側でのマイナンバーカードの健康保険証利用登録が必要となります。

 

2023年4月からのオンライン資格確認の原則義務化に伴い、医療機関・薬局側におけるオンライン資格確認の申込率は92.1%と高い水準となっています。
また、マイナポイント事業の影響もあり、マイナンバーカードの申請率は76.4%、マイナンバーカードを保険証として登録している人は6割ほどのようです。(2023年4月2日時点)

 

一方、「マイナンバーカードを持ち歩きたくない」といった理由からマイナ保険証として利用されている患者さんはいまだ少ないのが現状です。

 

<厚生労働省/オンライン資格確認の都道府県別導入状況について>

<総務省/マイナンバーカードの申請状況>

 

 

■薬局、医療機関側の導入コスト(システムの入れ替え、スタッフへの研修etc.)■

オンライン資格確認の導入に必要なシステムや顔認証付きカードリーダーは、国の補助金制度もあるため設置申込みをしている、という医院様も多いのではないでしょうか。

 

しかしながら、実際にオンライン資格確認を導入する際には、患者さんへの説明などで一時的に受付スタッフの業務負担が増えることが予想されます。

 

電子カルテ・レセプトコンピュータにおいても電子処方箋との連携が進んでいます。
効率的に電子処方箋を運用するためには、電子カルテ・レセコンメーカー側の対応を注視する必要もあるでしょう。

 

また、令和5年度に電子処方箋管理サービスを導入した場合、補助金の申請が可能です。
<医療機関等向けポータルサイト/電子処方箋管理サービス等関係補助金の申請について>

 

 

4.今後の展望、まとめ

 

2023年4月時点では、マイナ保険証を保持している方は増えつつありますが、医療機関で利用する方は少ないのが現状です。

 

しかし、2023年4月~12月において時限的に「オンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置」が適用され、また、現在使われている健康保険証を2024年秋に廃止する方針を発表するなど、今後もマイナ保険証・電子処方箋の利用率を上げていくための施策が予想されます。

 

「患者さん側が、電子処方箋を当たり前のサービスとして認識する」日が訪れたとき、その「当たり前のサービス」を提供できない医院/薬局からは、患者さんが緩やかに離れていってしまうこともあるでしょう。

 

突然対応に追われることのないように、「いつでも電子処方箋の利用を開始できる状態にしておく」という意識でいることが重要です。

 

 

個別具体的なご相談につきましてはこちら「無料経営相談お申込み」から承っております。

どうぞお気軽にご利用くださいませ。

 

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