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2022.02.28

電子処方箋とは?導入のメリットや懸念点は?

本記事は「電子処方箋の動向」について、クレドメディカル経営コンサルタントの神谷が医師のために記載した文書です。

より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

 

 

 

〈目次〉

  1. 電子処方箋とは?
  2. 電子処方箋のメリット
  3. 電子処方箋の懸念点
  4. 今後の展望、まとめ

 

 

1.電子処方箋とは?

 

電子処方箋とは、紙の処方箋を電子化し、オンライン上で登録、閲覧、管理ができるようにした処方箋です。

医療機関、薬局、患者さんの3者がアクセスできる仕組みとして厚生労働省が推進しており、2022年1月現在の情報では、2023年1月を目途に本格運用が予定されています。

(厚生労働省資料 電子処方箋の仕組みの構築についてより)

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000857758.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000718397.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000626722.pdf

 

特徴としては、

・データ管理は国が設置する専用サーバーで行う。

・マイナンバーカードに健康保険証としての機能を付与する「オンライン資格確認※」のシステムをそのまま電子処方箋のシステムの基盤とするため、サーバー内で健康保険証の情報と処方箋の情報が連結される。

・患者さんは、「健康保険証」もしくは「マイナンバーカード」を薬局に提示すると調剤されたお薬を受け取ることができる。

・医師、薬剤師、患者さんの3者がそれぞれサーバー上の処方箋情報にアクセス可能。

 

といった点が挙げられます。

 

※オンライン資格確認とは:患者さんが持参したマイナンバーカードにより、オンライン上で患者さんの保険資格を確認できる制度のこと。

 

 

2.電子処方箋のメリット

 

オンラインで処方箋にアクセスできるようになるとどのようなメリットがあるのか、以下に列記いたします。

 

■医療機関/薬局側のメリット■

・転職や退職で保険証の種類が変わっても、患者さんの服薬履歴を切れ目なく確認・記録できる

※患者さん側で、マイナンバーカードの健康保険証利用登録が済んでいる場合に限る

・医師の処方意図も併せて電子処方箋に記載することが可能になり、薬剤師との連携が容易になる

・薬局から医療機関への疑義照会、調剤結果のフィードバックが容易になり、医療機関側がよりよい医療を提供するための情報を集めやすくなる

・薬局側が調剤内容を誤入力することを防げる

・薬局側の処方情報入力業務を省力化できる

・処方箋の偽造や再利用を防ぐことができる

 

 

■患者さん側のメリット■

・薬局に処方箋を持参する手間が省ける

・高齢患者さんに多い過剰な服薬、重複した服用が防ぎやすくなる

・処方箋の紛失によるトラブルを防ぐことができる

・在宅医療、遠隔地医療、オンライン診療などの際、患者さんがご自宅近くの薬局で薬を受け取りやすくなる。

・災害時や事故時など緊急の手術が必要となる場合でも、オンラインで素早く搬送先の医療機関に自身の服用歴などを正確に伝えることができる。

・患者さん自身が服薬内容をいつでも把握・管理できる

・患者さんが複数の医療機関、薬局を利用している場合でも、各医療機関に処方・調剤の情報を把握してもらえる。

 

こう並べると、患者さん側のメリットの方が大きいように思えますが、

「薬局から調剤結果のフィードバックがオンライン上で容易に得られるようになる」という点は、

これまでにはなかった医療機関側のメリットとなりうるでしょう。

 

 

 

3.電子処方箋の懸念点

 

一方で、電子処方箋の導入には懸念点もあります。代表的なものを以下に列記いたします。

 

■オンライン資格確認の普及率の低さ■

 

電子処方箋はオンライン資格確認のシステムを基盤としていますが、そのオンライン資格確認の普及率が現時点ではあまり芳しくありません。運用を開始している施設(病院、医科診療所、歯科診療所、薬局)は全体の10.9%に過ぎないのです(2022年1月23日時点)。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08280.html

 

また、患者さん側の現状を見てみても、オンライン資格確認に必要な「マイナンバーカード」の交付率は41.0%にとどまっています(2022年1月1日現在)。また、マイナンバーカードを持っている方のうち、健康保険証利用登録まで済んでいる方は13.3%、全国民の約5.5%に過ぎません(2022年1月23日時点)。

 

しかしこちらに関しては、「今後マイナポイント事業(第2弾)により最大で20,000円相当のポイントを受け取ることができる」という「マイナンバーカードの交付申請、および健康保険証利用登録をすることによる利用者側のメリット」がはっきりと打ち出されました。

このマイナポイント事業により、どれだけマイナンバーカードの普及が進むか、という点は電子処方箋の導入を考える上でも注視すべきポイントとなるでしょう。

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000888838.pdf

https://mynumbercard.code4japan.org/

https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/about/#anc_extension

 

 

■電子処方箋のシステムを導入していない医療機関、薬局との連携■

 

上記のオンライン資格確認の普及率の話ともつながる話題ですが、

①「電子処方箋を導入している医療機関」と「電子処方箋を導入していない薬局」の間でのやり取りはどうしたらよいのか、あるいは②その逆の場合はどうしたらよいのか、という問題は浮上することと思います。

 

①の場合

患者さんの本人確認さえできれば、電子処方箋の情報には、(電子処方箋を取り入れている)どの薬局からでもアクセスできます。したがって、たとえば医院側が電子処方箋を導入しており、いわゆる門前薬局がそれを導入していない場合ですと、患者さんはその門前薬局を使わず、電子処方箋に対応している他の薬局(ご自宅近くの薬局など)を選ぶ可能性が高くなると予想されます。

 

②の場合

逆に、電子処方箋を導入していない医院は従来通りの紙の処方箋を発行することになるかと思います。電子処方箋が本格運用されることになっても、しばらくはどの薬局も紙の処方箋を受け付けてくれると予想されますので、こちらは大きな問題につながることは少ないでしょう。

 

しかし問題は、厚生労働省の狙うような形で「患者さん側が、電子処方箋を当たり前のサービスとして認識する」日が訪れたときです。そうなった時、「当たり前のサービス」を提供できない医院/薬局からは、患者さんが緩やかに離れていってしまうこともありうるでしょう。

 

 

■薬局、医療機関側の導入コスト(システムの入れ替え、スタッフへの研修etc.)■

 

オンライン資格確認の導入に必要なシステムや顔認証付きカードリーダーは、国の補助金制度もあるため設置申込みをしている、という医院様も多いのではないでしょうか。

しかしながら、実際にオンライン資格確認を導入する際には、患者さんへの説明などで一時的に受付スタッフの業務負担が増えることが予想されます。

また、2022年1月現在では、電子処方箋に連携可能な電子カルテ・レセプトコンピュータが存在していません。効率的に電子処方箋を運用するためには、電子カルテ・レセコンメーカー側の対応を注視する必要もあるでしょう。

 

 

 

4.今後の展望、まとめ

 

 

厚生労働省が最初に「電子処方箋の運用ガイドライン」を発表した2016年当初から数回の改正を経て、この電子処方箋システムは「2023年の1月を目途に本格運用を開始する」という目標を立てています。(2022年1月現在)

 

その一方で、カギとなるマイナンバーカードの普及やオンライン資格確認の普及も含め、電子処方箋の導入を取り巻く状況はまだまだ不透明なところの多い印象がぬぐえません。ですが、厚生労働省が意図する形で本格運用が可能になれば、数年後には電子処方箋の存在が当たり前のものになる可能性も大いにあります。

 

「患者さん側が、電子処方箋を当たり前のサービスとして認識する」日が訪れたとき、その「当たり前のサービス」を提供できない医院/薬局からは、患者さんが緩やかに離れていってしまうこともあるでしょう。

 

突然対応に追われることのないように、「いつでも電子処方箋の利用を開始できる状態にしておく」という意識でいることが重要かと思われます。

 

 

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