高度難聴指導管理料
本記事では「高度難聴指導管理料」について、耳鼻咽喉科コンサルタントの山野が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
<目次>
1.高度難聴指導管理料とは
高齢化の進展や認知症患者の増加を踏まえ、難聴患者に対する生活指導等を推進する観点から、高度難聴指導管理料について令和4年診療報酬改定により要件が見直されました。
■高度難聴指導管理料の診療報酬点数
イ) 区分番号K328に掲げる人工内耳植込術を行った日から起算して
3月以内の期間に行った場合 500点ロ) イ以外の場合 420点
高度難聴指導管理料は区分番号K328に掲げる人工内耳植込術を行った患者については月1回に限り、その他の患者については年1回に限り算定可能です。
2.高度難聴指導管理料の算定対象の患者
- 区分番号「K328」人工内耳植込術を行った患者
- 伝音性難聴で両耳の聴力レベルが 60dB以上の患者
- 混合性難聴の患者
- 感音性難聴の患者
3.高度難聴指導管理料の施設基準
- 人工内耳植込術の施設基準を満たしていること。
- 5年以上の耳鼻咽喉科の診療経験を有する常勤の耳鼻咽喉科の医師が1名以上配置されていること。なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22 時間以上の勤務を行っている耳鼻咽喉科の非常勤医師(5年以上の耳鼻咽喉科の診療経験を有する医師に限る。)を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該基準を満たしていることとみなすことができる。
上記2点のいずれかに該当している必要があります。また、当該基準を満たしていれば、届け出は不要です。
一般の耳鼻咽喉科診療所であれば後者が該当し、イ以外の場合(420点)を算定するケースが主になると考えられます。
また、当該常勤又は非常勤の耳鼻咽喉科の医師は、補聴器に関する指導に係る適切な研修を修了した医師であることが望ましいという記述もあります。
4.高度難聴指導管理料の算定要件
(1) 高度難聴指導管理料は、区分番号「K328」人工内耳植込術を行った患者、伝音性難聴で両耳の聴力レベルが 60dB以上の場合、混合性難聴又は感音性難聴の患者について、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、耳鼻咽喉科の常勤医師が耳鼻咽喉科学的検査の結果に基づき療養上必要な指導を行った場合に算定する。
(2) 人工内耳植込術を行った患者については、1か月に1回を限度として、その他の患者については年1回に限って算定する。
また、年1回の期間は1月1日~12月31日までとなる。
(3) 指導内容の要点を診療録に記載する。
(4) 「注3」に規定する人工内耳機器調整加算は、耳鼻咽喉科の常勤医師又は耳鼻咽喉科の常勤医師の指示を受けた言語聴覚士が人工内耳用音声信号処理装置の機器調整を行った場合に算定する。
なお、6歳の誕生日より前に当該加算を算定した場合にあっては、6歳の誕生日以後、最初に算定する日までは6歳未満の乳幼児の算定方法の例によるものとする。
また、前回の算定年月日(初回の場合は初回である旨)を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(5) 人工内耳用音声信号処理装置の機器調整とは、人工内耳用音声信号処理装置と機器調整専用のソフトウエアが搭載されたコンピューターを接続し、人工内耳用インプラントの電気的な刺激方法及び大きさ等について装用者に適した調整を行うことをいう。
5.まとめ
令和4年度の診療報酬改定以前は区分番号K328に掲げる人工内耳植込術を行った患者については月1回に 限り、その他の患者については一生に1回に限り算定するという内容であったため、算定するケースが少なかったですが、今回その他の患者については“年”1回となったことが大きな変更点です。
また、対象患者が区分番号「K328」人工内耳植込術を行った患者、伝音性難聴で両耳の聴力レベルが 60dB以上の患者、混合性難聴の患者、感音性難聴の患者であり、混合性難聴、感音性難聴の患者においては難聴のレベルが示されておらず、対象が増加すると考えられます。
検査の結果に基づき療養上必要な指導ももれなく行いカルテに記載してください。
診療報酬改定に伴い、算定漏れの患者さんがいないか?もしくは、算定基準を満たしていないのに算定している場合がないかの確認にお役立ていただければ幸いです。