診療報酬・診療報酬改定

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2021.12.03

外来栄養食事指導料

本記事は「外来栄養食事指導料」について、内科経営コンサルタントの池田が医師のために記載した文書です。

令和4年度診療報酬改定について詳しく知りたい先生は小冊子セミナーもご覧ください。

 

 

 

目次

1. 外来栄養食事指導料とは
2. 外来栄養食事指導料1,2の違い
3. 外来栄養食事指導料の対象患者
4. 外来栄養食事指導料の算定は原則「月1回」
5. 外来栄養食事指導料の算定
6. まとめ

 

 

 

 

1. 外来栄養食事指導料とは

 

 

医師の指示に基づき管理栄養士が患者ごとに作成した食事計画案などに基づき指導を行った場合に算定することができます。ただし、入院中の患者には算定できません。

 

■B001_9外来栄養食事指導料の診療報酬点数

 

イ 外来栄養食事指導料1

  ( 1 ) 初回・・・・・・・・・・・・・・・260点

  ( 2 ) 2回目以降

    ①対面で行った場合・・・・・・・・200点

    ②情報通信機器を用いた場合・・・・180点

ロ 外来栄養食事指導料2

  ( 1 ) 初回・・・・・・・・・・・・・・・250点

  ( 2 ) 2回目以降・・・・・・・・・・・・190点

 

外来栄養食事指導料の算定には以下の時間指導を行うことが要件となっています。

  • 初回  ・・・・・ おおむね30分以上
  • 2回目以降・・ ・おおむね20分以上

なお、医師による指導での算定は認められていません。管理栄養士の指導に対する専門性の高さを評価する保険点数となっています。

 

 

2. 外来栄養食事指導料1,2の違い

 

 

外来栄養食事指導料1と2における違いは、指導を行う管理栄養士が当該保険医療機関に所属する否かです。

 

クリニックに置き換えて簡単にお伝えすると、

  • 外来栄養食事指導料1…クリニックで雇用している管理栄養士による指導
  • 外来栄養食事指導料2…連携医療機関など外部の管理栄養士による指導

外来栄養食事指導料2における管理栄養士は、

  • 日本栄養士会や都道府県栄養士会が運営する栄養ケア・ステーション
  • 他の保険医療機関

のいずれかに所属することが要件となります。

 

従来は、当該保険医療機関に所属する管理栄養士に限られていたためクリニックでの導入はハードルが高いものでしたが、2020年の診療報酬改定により外来栄養食事指導料1と2に分けられ一般のクリニックでも外部機関と連携をすることで算定しやすくなりました。

 

 

3. 外来栄養食事指導料の対象患者

 

 

  • 厚生労働省が定める特別食※を医師が必要と認めた患者
  • がん患者
  • 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者
  • 低栄養状態にある患者

 

※外来栄養食事指導料における特別食

引用:令和2年診療報酬点数表
https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r02_ika/r02i_ch2/r02i2_pa1/r02i21_cls1/r02i211_B001_0_9.html

 

 

4. 外来栄養食事指導料の算定は原則「月1回」

 

 

外来栄養食事指導料の算定は基本的に月1回が上限とされていますが、月2回算定可能となるケースがあります。

 

1)初回の指導を行った月ないし30日以内に2回指導を行った

2)外来化学療法を実施している悪性腫瘍の患者に対して月2回指導を行った

             のいずれかに該当

 

■月2回まで算定が可能な場合

1)については、初回の指導を行った月に2回目の指導を行った場合には、2回目の指導時に外来栄養食事指導料1(2)(200点)、または外来栄養食事指導料2(2)(190点)の算定ができます。ただし、同月内での算定は月2回までのため、3回以上行った場合には3回目以降は算定できません。

ただし、初回~2回目の指導の間隔が30日以内の場合には、初回指導の翌月に2回算定をすることも可能なため、初回指導の実施~翌月末の期間については、計3回算定できることになります(通知(8))。

また、同月内2回目の算定については、2021年11月時点ではオンライン診療システムなど通信機器を用いた指導による算定は認められておらず、クリニック内で対面での指導が必須ですのでご注意ください。

 

2)については、以下に示す厚生労働省の定める施設基準をクリアしているものとして、届け出が必要となりますが、1)とは異なり、初月に限らず月2回以上指導を行うと月2回まで算定が可能となります。

 

■外来栄養食事指導料(注2)の届出に係る施設基準

  • 管理栄養士は外来化学療法を実施する医療機関に5年以上勤務、かつ、悪性腫瘍患者に対するものを含む3年以上の栄養管理の経験がある。
  • 連携充実加算(第2章第6部 注射 の通則第7号)の届出を行っている。

 

クリニックにおいては、上記に該当する管理栄養士が採用できるか否かが課題となります。

 

 

5. 外来栄養食事指導料の算定

 

 

外来栄養食事指導料は管理栄養士が指導を行ったことを評価する点数のため、医師の診察が無い日でも算定可能です。そのため、管理栄養士が指導を行った場合には、

1)医師の診察なし:「外来栄養食事指導料」
2)医師の診察あり:「外来栄養食事指導料」+「初・再診料」+「管理料など」

のいずれかの算定になります。

 

 

6. まとめ

 

 

外来栄養食事指導料についてまとめると、

  • 対象患者に管理栄養士が20~30分以上指導することで算定可能
  • 指導開始の初月のみ月2回まで算定可能、以降は月1回のみ算定可能。
  • 外来化学療法を実施している悪性腫瘍の患者に対して月2回まで算定可能だが、その場合は施設基準を満たした上で届け出が必要

となります。

 

算定のポイントは自院での雇用または外部機関との連携を行い、管理栄養士をいかに確保するかとなります。これまではクリニックに所属することが要件となっていた外来栄養食事指導料ですが、2020年の診療報酬改定で要件が緩和されたことにより取り組みやすくなりました。

 

特に生活習慣病の治療においては、日頃の生活改善をいかに実践させるかが大事だと我々も頻繁にお伺いします。そのために医師が時間をかけて丁寧に説明する場面をお見受けし、5分、10分、15分と時間をかけていると他の患者様の診察に遅れが生じたり、待ち時間が長くなったりと患者の不満につながっていることがあります。

 

患者様に丁寧な診察を行うことはもちろんですが、そうした時間を管理栄養士に任せるだけでも状況は変わり患者様の不満が緩和されたり、時間をかけて話を聞いてくれる管理栄養士がいることで患者様の満足度向上にもつながります。患者様の納得度を高めながら、患者様をお待たせしない診察を行うためには管理栄養士のような専門家の手を借りることも必要です。ただし人件費の増加はもちろん、外部連携を行う場合には交渉も必要となるため慎重にご検討いただければと思います。

 

外来栄養食事指導料の算定の前提条件は「管理栄養士による指導」であり、内部であれば雇用が必要となり、外部であれば交渉が必要となります。実際に算定を行い、日頃の診療や通院につなげるためにはそうした人材確保や空間の確保、効果的な時間の設定など様々な課題を解決する必要があります。外来栄養食事指導料の算定、栄養士の雇用、診療科目ごとの運用についてお悩みやご不安をお持ちの場合は、ぜひご相談いただければと思います。