診療報酬

整形外科

2021.04.23

令和3年度(2021年)介護報酬改定の整形外科への影響と対策

本記事は「令和3年度(2021年)介護報酬改定の整形外科への影響と対策」について、主任経営コンサルタントの中川が整形外科医院の院長先生に向けて執筆した内容になります。その他、整形外科医院に特化した情報をお知りになりたい方はこちらからお問い合わせください。

 

<目次>

  1. 令和3年度介護報酬改定の改定事項
  2. 令和3年度介護報酬改定における政府の方針
  3. 令和3年度介護報酬改定が整形外科医院に及ぼす影響
  4. 整形外科医院が介護事業で行うべきこと

 

令和3年度介護報酬改定の改定事項

 

3年に1度の介護報酬が先日4月1日より改定されました。令和3年度の介護報酬改定における改定事項について、改定率はプラス0.7%となり、前回の2018年に続いてプラス改定となりました。ただし、0.70%には、同年4~9月末までの時限措置として、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価「0.05%」(同年4~9月の時限措置として基本報酬に0.1%上乗せ)」が含まれています。
今回の改定の柱としては、次の5つが挙げられます。

(1) 感染症や災害への対応力強化
(2) 地域包括ケアシステムの推進
(3) 自立支援・重度化防止の取組の推進
(4) 介護人材の確保・介護現場の革新
(5) 制度の安定性・持続可能性の確保

(1)感染症や災害への対応力強化

まず、1つ目の柱として「感染症や災害への対応力強化」があり、これは新型コロナのような感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的且つ継続的に提供される体制を構築することが求められ、以下の取り組みが義務付けされる形となりました。

 施設系サービス:現行の委員会の開催・指針の整備・研修の実施等に加え、訓練の実施
 そのほかのサービスについて:委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練の実施等

 

(2)地域包括ケアシステムの推進
2つ目の柱である「地域包括ケアシステムの推進」では、住み慣れた地域において、利用者の尊厳を保持しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう取り組みを推進することが求められるようになり、「認知症」「看取り」「在宅サービス」などへの対応力向上に向けて加算の要件見直しや新たな加算が創設されました。

 

(3)自立支援・重度化防止の取組の推進
3つ目の柱の「自立支援・重度化防止の取組の推進」では、制度の目的に沿って、質の評価やデータを行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供を推進することが求められ、リハビリテーション・機能訓練だけでなく口腔や栄養改善も一体的となって取り組んでいくことを強化することや、VISIT・CHASEを活用した科学的介護の取り組みを推進する方向性が示されました。

 

(4)介護人材の確保・介護現場の革新
4つ目の「介護人材の確保・介護現場の革新」では、喫緊・重要な課題として、介護人材の確保・介護現場の革新に対応することを基本としており、介護職員の処遇改善やハラスメント対策の強化など職場環境の改善に向けた取組を推進させる方向性が示されています。

 

(5)制度の安定性・持続可能性の確保
5つ目は「制度の安定性・持続可能性の確保」で、必要なサービスは確保しつつ、適正化・重度化を図ることを目的として、訪問介護・訪問看護などのサービスの見直しに加えて、リハマネ加算(Ⅰ)などについてが、基本報酬に組み込まれるなど報酬体系の簡素化などが盛り込まれています。

 

 

令和3年度介護報酬改定における政府の方針

 

今回の介護報酬改定では、プラス0.7%の改定率と過去の改定率から見ても大きな改革ではないというようにも見えますが、次回の2024年診療報酬改定と介護報酬改定の同時改定で大きな改革を行う前の準備段階として、今回の改定から対応の変化を求められる内容が随所に盛り込まれています。ですので、介護事業を行う事業者は、2024年に向けて体制の整備等変化に対応していくことが求められるのです。

 

 

令和3年度介護報酬改定が整形外科医院に及ぼす影響

 

今回の介護報酬改定において、整形外科医院に関わりが大きい部分として挙げられるのは
「感染症や災害への対応力強化」と「自立支援・重度化防止の取組の推進」の部分になります。

 

感染症や災害への対応力強化
こちらにおいては、全介護サービス事業者に求められることになりますので、介護事業を行う整形外科医院においても、委員会の開催・指針の整備・研修や訓練の実施などの対応が求められてきます。

 

自立支援・重度化防止の取組の推進

< 診療報酬 ~リハビリテーションマネジメント加算~ >

改定前
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)230単位/月 ⇒廃止(基本報酬に組み込み)
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)280単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅲ)320単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)420単位/月 ⇒廃止(加算(B)ロに組み換え)

 

改定後
リハビリテーションマネジメント加算(A)イ 180単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ 213単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(B)イ 450単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(B)ロ 483単位/月

 

まずは、診療報酬の部分として、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)が廃止され、基本報酬に組み込まれる形となり、リハビリ計画の定期的な進捗評価や他事業所への日常生活上の留意点の伝達などの算定要件は、基本サービスの要件とされることになりました。
そして、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)も廃止され、(B)ロに組み換えされていて、結果的には(Ⅱ)(Ⅲ)が(A)のイ・ロ、(B)のイ・ロに細分化されたというイメージです。
これは、下記でも説明しますが、『LIFE』にデータを提出し得たフィードバックを介護に活用すれば、各加算の(ロ)、つまり加算がアップするという形です。

 

< 科学的介護の推進 >
科学的に自立支援等の効果が裏付けられた介護の実現を図るため、利用者の状態やサービスの内容等の幅広い情報を集める『CHASE』とリハビリの情報に特化した『VISIT』へのデータ提出とフィードバックの活用によりPDCAサイクルの推進とケアの質の向上を図る取り組みとして『CHASE』と『VISIT』を統合し、新たに『LIFE』に名称が統一されまました。そして、『LIFE』を通してデータを提出してフィードバックを受け、それに基づいて利用者のケアプランや計画への反映、事業所単位でのPDCAサイクルの推進の取り組みを評価する形で、新たに科学的介護推進体制加算が新設されることになりました。

 

 

整形外科医院が介護事業で行うべきこと

 

感染症や災害への対応力強化
こちらについては、委員会をどのように設置し、訓練や研修を実施していくかということが焦点となります。まず構成メンバーを選定するところから始めるのが良いでしょう。院長先生は、診療・医院経営に集中していただく必要があるので、専任の管理責任者を決めてからメンバーを選定しつつ役割分担を明確にしていくという形です。
その後、開催頻度・活動内容について決めていくという流れがよいでしょう。

 

自立支援・重度化防止の取組の推進
リハビリテーションマネジメント加算については、医師がリハビリ会議に参加すること、加えてLIFEにデータを提出するということが加算をする上で重要となっています。この科学的介護の推進という点では、次回の介護報酬改定がある2024年に向けて、体制を整えておく必要があるというメッセージが込められているとも考えられます。
いきなり体制を変えるとなると、費用面やスタッフの教育面で障壁が高くなるので、少しずつ体制を整備していっていただければと思います。例えば、まずは記録の電子化・オンライン会議の実施などが挙げられます。これらは、介護事業だけでなく、一般の保険診療にも汎用できますので、今回の介護改定に合わせてというよりも今後効率化・生産性向上を図るうえでは大切なことになってきますので、徐々に導入をしていっていただければと思います。

 

 


 

 

今回は、介護報酬改定について記述致しました。今後、2025年にかけて介護人口は急速に増加傾向にあります。整形外科医院においても、通所リハビリや介護リハビリなどの介護事業は益々重要度が増してきているとも言えます。
その中で、今回の介護報酬改定は次回2024年の大きな改革への準備期間として設計されている部分が多くございます。次回介護報酬改定の内容は、2023年末には明らかになってくることも多く、そのタイミングで院内の体制整備に慌てなくてもいいように、遅くとも2023年の前半には今回の報酬改定に合わせた対応を実行していただくことが望ましいでしょう。