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2025.12.25

高額療養費の所得区分と自己負担額について

 本記事は「高額療養費の所得区分と自己負担額」について、経営コンサルタントの小﨑が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 <目次>

  1. 高額療養費とは
  2. 高額療養費における所得区分と自己負担額について
  3. 多数回該当について
  4. まとめ

1.高額療養費とは

高額療養費は、1か月間(毎月1日から末日まで)に医療機関で支払った自己負担分が、あらかじめ定められた上限金額を上回った際に、超過分の払い戻しを受けられる制度です。
尚、医療費の計算は月単位で行われるため、診療期間が複数の月にわたる場合は、各月ごとに分けて自己負担額を算出する必要があります。

具体的なケースとしては、8月15日から9月15日まで診療を受けた場合に、8月15日から8月31日までの期間と、9月1日から9月15日の期間の自己負担額はそれぞれ別個に算出され、自己負担の限度額を超えた分がそれぞれ払い戻しされることとなります。

2.高額療養費における所得区分と自己負担額について

高額療養費は、被保険者の所得と年齢によって自己負担額の上限が異なります。

また、下記の区分は2025年12月時点のものとなっており、今後の情勢によっては変更となる可能性もございます。
高額療養費における所得区分と自己負担額の詳細については、全国保険協会の情報も併せてご参照ください。

■70歳未満の方の区分

被保険者の所得区分自己負担限度額多数該当
① 区分ア
(標準報酬月額83万円以上の方)
(報酬月額81万円以上の方)
252,600円+
(総医療費※1-842,000円)×1%
140,100円
② 区分イ
(標準報酬月額53万〜79万円の方)
(報酬月額51万5千円以上〜81万円未満の方)
167,400円+
(総医療費※1-558,000円)×1%
93,000円
③ 区分ウ
(標準報酬月額28万〜50万円の方)
(報酬月額27万円以上〜51万5千円未満の方)

80,100円+
(総医療費※1-267,000円)×1%
44,400円
④ 区分エ
(標準報酬月額26万円以下の方)
(報酬月額27万円未満の方)
57,600円44,400円
⑤ 区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
35,400円24,600円
※1総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)です。

■70歳以上75歳未満の方の区分


被保険者の所得区分
自己負担額
外来(個人ごと) 外来・入院(世帯)
①現役並み所得者


現役並みⅢ

(標準報酬月額83万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方)

252,600円+
(総医療費-842,000円)×1%

[多数該当:140,100円]

現役並みⅡ

(標準報酬月額53万〜79万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方)

167,400円+
(総医療費-558,000円)×1%
[多数該当:93,000円]

現役並みⅠ

(標準報酬月額28万〜50万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方)

80,100円+
(総医療費-267,000円)×1%
[多数該当:44,400円]

②一般所得者
(①および③以外の方)

18,000
(年間上限14.4万円)

57,600円
[多数該当:44,400円]

③低所得者 Ⅱ(※2) 

8,000円

 

24,600円

Ⅰ(※3)

15,000円

※2被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合です。
※3被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合です。

■70歳以上の外来診療にかかる年間の高額療養費

所得区分が現役並みでない方については、一般所得区分または低所得区分であった月の外来診療の自己負担額の合計が144,400円を超えた額が払い戻しされます。
※平成29年8月診療分からが対象となります。

3.多数回該当について

長期にわたり高額な医療費の支払いが続く場合、さらなる経済的支援を受けられる制度として、「多数該当高額療養費」と呼ばれる仕組みがあります。

制度の概要としては、高額療養費により払い戻しがあった月が直近12カ月で3月以上あった場合は、4月目から自己負担限度額がさらに引き下げられるというものです。

尚、70歳以上75歳未満の方の多数回該当については、通院の限度額の適用により高額療養費が適用された回数は考慮しないとされているため、注意が必要です。

4.まとめ

高額療養費は、月ごとに医療機関へ支払った療養費が、年齢や所得区分によって定められた自己負担限度額を超過した場合、払い戻しを受けられる制度です。
また、70歳未満の方が高額療養費を直近1年間で3回以上受領した場合、4回目以降は更に限度額が引き下げられます。

高額医療費の具体的な申請の手続きは、自治体によっても異なるため、各自治体へ確認することを推奨いたします。


この記事が今後の医院経営にお役立てできれば幸いでございます。

 

 

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