イブグリースが在宅自己注射指導管理料の算定対象薬剤へと追加
本記事は「イブグリースが在宅自己注射指導管理料の算定対象薬剤へと追加」について、経営コンサルタントの小﨑が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
＜目次＞
１． イブグリース(レブリキズマブ)とは
イブグリース（一般名：レブリキズマブ）は、インターロイキン-13（IL-13）を標的とする抗体医薬であり、アトピー性皮膚炎に対して使用される生物学的製剤です。
2025年10月時点でのイブグリースの種類は、皮下注250mgオートインジェクター、皮下注250mgシリンジの2種類です。
イブグリースの薬価は販売当初は1本あたり税別61,520円でしたが、2024年11月の薬価改定により、1本あたり税別50,782円に引き下げられました。3割負担の場合、患者の自己負担額は約15,200円となります。
２． 在宅自己注射指導管理料とは
在宅自己注射指導管理料は、患者が自宅で安全に注射を行えるよう医療機関が指導・管理を行う際に算定される診療報酬です。
算定点数は以下のように分類されています。
複雑な場合：1,230点
1以外の場合：
月27回以下の場合：650点
月28回以上の場合：750点
→イブグリースは「月27回以下の場合」に該当し、650点が算定されます。
３． イブグリースの投薬スケジュール
イブグリースの投与方法は皮下注射であり、初回および2回目は2本ずつ投与し、その後は2〜4週間に1回の間隔で1本を投与します。
従来は、2週間あるいは4週間ごとに、定期的な通院が必要とされる点が治療上の特徴でした。
しかし、この投薬スケジュールでは頻回な通院が必要となり、以下の負担が生じていました。
・患者への負担
身体的負担：定期的な通院による体力的な負荷
経済的負担：交通費などの通院にかかる費用
時間的負担：仕事や学業への影響
・医療機関への負担
業務負担：頻回な外来対応による医療スタッフの負担増加
運営負担：予約枠の圧迫による診療効率の低下
人的負担：限られたスタッフでの多くの患者への対応
４． イブグリースが在宅自己注射指導管理料の算定対象薬剤へと追加
患者・医療機関への負担の観点から、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会の3学会は、「イブグリースは2週間から4週間に1回の皮下投与が必要であり、頻回かつ長期の外来通院にかかる患者負担軽減等を図るべき」との要望を厚生労働省に提出し、令和6年4月9日、中央社会保険医療協議会・総会において、この要望が承認されました。
・対象薬剤
イブグリース（レブリキズマブ）250mgオートインジェクター
イブグリース（レブリキズマブ）皮下注250mgシリンジ
・変更後の投薬スケジュール
1回目、2回目：医療機関での自己注射指導
医療機関において医師または看護師によって、注射方法、保管方法、注射部位の選択および同一箇所への注射を避けたローテーションなど、自己注射に向けた指導を行います。
3回目以降：在宅での自己注射
処方されたイブグリースを患者自身が自宅で投与することが可能になります。投与間隔は症状や治療反応に応じて医師が決定し、従来通り2週間または4週間に1回のペースで継続されます。
５． まとめ
イブグリース（レブリキズマブ）は2024年11月に販売開始されたアトピー性皮膚炎治療薬で、従来は2～4週間に1回の頻回通院が必要でした。
しかし、患者の身体的・経済的・時間的負担および医療機関の業務負担軽減を図るため、日本皮膚科学会など3学会の要望により、2024年5月1日から在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加されました。
1回目・2回目は医療機関で自己注射指導を受け、3回目以降は処方されたイブグリースを自宅で投与することが可能となったことにより、患者・医療機関双方の負担の軽減が期待されています。
この記事が今後の医院経営にお役立てできれば幸いでございます。
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