リハビリテーション実施計画書とは?リハビリテーション総合実施計画書との違いを解説
本記事は「リハビリテーション実施計画書」について、主任経営コンサルタントの石田が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
〈目次〉
1.リハビリテーション実施計画書とは
整形外科医院で働くセラピストにとって、「リハビリテーション実施計画書」は業務の基盤となる重要書類です。
この書類はリハビリ提供の根拠となり、治療方針を明確化する役割を持ちます。
医師は患者のリハビリ開始から7日以内(最大でも14日まで)に作成し、3ヵ月に一回以上の頻度で作成することが義務付けられています。
作成後は必ず患者本人かその代理人に内容を説明し、同意署名を得た上で手渡す流れが定められています。
書式については厚労省指定の「様式21」または「様式21の5」に準拠することが求められます。
診療報酬制度上の必須書類であるため、不備や紛失は医療機関の経営にも直接影響します。
2.リハビリテーション総合実施計画書との違い
現場では「リハビリテーション総合実施計画書」との区別が難しいケースがあります。
両者の主な違いは以下の点にあります。
・リハビリテーション総合計画書は多職種チーム(医師・看護師・PT・OT・ST等)による共同作成
・月に一度の算定(300点または240点)が可能
・リハビリテーション総合計画書があれば通常のリハビリテーション実施計画書は包括可能
・「様式23」または同等書式を使用
リハビリテーション総合計画書は記載事項が多く作成の手間はありますが、診療報酬上のメリットから月次で作成する医院も少なくありません。
医院の方針に合わせた適切な書類管理が求められます。
3.リハビリテーション実施計画書に記載する主な内容
リハビリテーション実施計画書には以下の要素を明記する必要があります。
(1)患者基本情報と現状評価
・診断名と発症経過
・身体・認知機能の評価結果
・日常生活動作の自立度
(2)過去の治療経過
・いつから何をどのように実施してきたか具体的に記述
・抽象的な表現は避け、実施内容を明確に
(3)前回評価からの変化
・前回計画時(通常3ヶ月前)との機能比較
・改善点と課題点を客観的に記録
(4)目標設定と介入計画
・期間を明示した短期・長期目標
・目標達成のための具体的アプローチ法
(5)客観的評価指標
・FIMやBIなどの標準化された評価尺度の結果
・特に長期リハビリ継続例では毎月のFIM測定が必須
令和2年度改定では特に2〜5の詳細が記載されています。
4.リハビリテーション実施計画書に関する注意点
リハビリテーション計画書管理において特に注意すべき点は以下の通りです。
・更新スケジュール管理
3ヶ月ごとの定期更新を確実に行うための仕組み作りが重要です。電子カルテのリマインド機能活用やリハビリ室での更新日チェックリスト運用などが効果的です。
・署名プロセス
リハビリテーション実施計画書の説明は医師が行い、その証明として医師の自署が必要です。
代理署名は認められないため、医師の関与を確実に記録しましょう。
・同意取得の代替方法
患者自身の署名が困難で家族の来院も難しい場合、初回以外であれば遠隔での説明と口頭同意も認められています。
ただしその場合、
▸説明内容と同意取得の経緯を診療録に詳細記載
▸同意取得方法(電話など)の明記
▸計画書の郵送など確実な交付手段の確保
が必須となります。
5.まとめ
整形外科医院経営において、リハビリテーション実施計画書の作成は単なる事務手続きではなく、質の高いリハビリ提供と適正な診療報酬請求の両面で欠かせない書類です。
期限管理と記載内容の質、患者への説明プロセスを確実に実施することで、適切なリハビリテーション運営が可能となります。
この記事が今後の医院経営にお役立てできれば幸いです。
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