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2024.03.07

医療DX推進体制整備加算について【2024年6月更新】

本記事は「医療DX推進体制整備加算」について、経営コンサルタントの都筑が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

厚生労働省は1月26日に開催した中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、2024年度診療報酬改定案(いわゆる短冊)を提示しました。
政府が推進に取り組み、今改定でも柱の1つに位置付けられている医療DXに関しては、推進体制の整備を評価する加算の新設が盛り込まれました。

 

〈目次〉

  1. 医療DX推進体制整備加算とは
  2. 医療DX推進体制整備加算の施設基準
  3. 医療DX推進体制整備加算の疑義解釈
  4. まとめ

 

1. 医療DX推進体制整備加算とは

 

医療DX推進体制整備加算(8点)

施設基準を満たし、地方厚生局長等に届け出が必要です。
医療 DX 推進体制整備加算として初診時に月1回8点を算定できる。

 

医療DX推進体制整備加算とは、医療DXにおける体制整備の報酬として医療機関の初診などに設けられる評価のことです。

 

基本的な考え方としては、オンライン資格確認の導入による診療情報・薬剤情報の取得・活用の推進に加え、「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、利用実績に応じた評価、電子処方箋の更なる普及や電子カルテ情報共有サービスの整備を進めることとされていることを踏まえ、医療DXを推進する体制について、新たな評価を行うというものです。

 

具体的には、オンライン資格確認により取得した診療情報・薬剤情報を実際に診療に活用可能な体制を整備し、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスを導入し、質の高い医療を提供するため医療DXに対応する体制を確保している場合の評価を新設するというものです。

 

オンライン資格確認の実施体制に加え、取得した診療情報を医師が診察室、手術室、処置室などで閲覧・活用できる体制や、電子処方箋の発行体制、マイナンバーカード健康保険証の一定の利用実績、医療機関内の見やすい場所への医療DX推進体制に関する事項の掲示などが求められるようになりますが、電子処方箋の発行体制など多くの基準には、経過措置が設けられる方針です。

 

2. 医療DX推進体制整備加算の施設基準

 

医療DX推進体制整備加算における施設基準としまして、

 

●レセプトオンライン請求を行っていること
●オンライン資格確認等を行う体制を有していること
●医師が、オンライン資格確認等システムを利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室、手術室又は処置室等において、閲覧又は活用できる体制を有していること
●電子処方箋を発行できる体制を有していること(経過措置:令和7年3月 31 日まで)
●電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること(経過措置:令和7年9月 30 日まで)
●マイナ保険証の利用率が一定割合以上であること(経過措置:令和6年 10 月1日から)
●「医療DX推進体制に関する事項、質の高い診療を実施するための十分な情報を取得及び活用して診療を行う」ことを自院の見やすい場所に掲示していること
●上記掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載していること(経過措置:令和7年5月 31 日まで)
●現行の医療情報・システム基盤整備体制充実加算と同様に、小児科外来診療料、外来リハビリテーション診療料、外来放射線照射診療料、小児かかりつけ診療料、外来腫瘍化学療法診療料において包括範囲外になる

 

3.医療DX推進体制整備加算の疑義解釈

 

次に、2024年度(令和6年度)における医療DX推進体制整備加算の疑義解釈の内容をクリニック(主に無床診療所)向けにご紹介します。*注1

 

【疑義解釈(その1)より】

 

Q.「A000」初診料の注 16 に規定する医療DX推進体制整備加算(以下「医療DX推進体制整備加算」という。)の施設基準において、「オンライン資格確認等システムの活用により、患者の薬剤情報、特定健診情報等(以下この項において「診療情報等」という。)を診療を行う診察室、手術室又は処置室等(以下「診察室等」という。)において、医師等が閲覧又は活用できる体制を有していること。」とあるが、具体的にどのような体制を有していればよいか。

A.オンライン資格確認等システムを通じて取得された診療情報等について、電子カルテシステム等により医師等が閲覧又は活用できる体制あるいはその他の方法により診察室等において医師等が診療情報等を閲覧又は活用できる体制を有している必要があり、単にオンライン資格確認等システムにより診療情報等を取得できる体制のみを有している場合は該当しない。

 

Q.医療DX推進体制整備加算の施設基準において、「「電子処方箋管理サービスの運用について」(令和4年 10 月 28 日付け薬生発 1028 第1号医政発1028 第1号保発 1028 第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長・医政局長・保険局長通知。)に基づく電子処方箋により処方箋を発行できる体制を有していること。」とされているが、電子処方箋の機能が拡張された場合について、どのように考えればよいか。

A.現時点では、令和5年1月 26 日に稼働した基本機能(電子処方箋の発行・応需(処方・調剤情報の登録を含む。)、処方・調剤情報の閲覧、重複投与・併用禁忌のチェック)に対応した電子処方箋を発行できる体制を有していればよい。

 

 

Q.医療DX推進体制整備加算の施設基準において、「医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得・活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。」とされており、アからウまでの事項が示されているが、アからウまでの事項は別々に掲示する必要があるか。また、掲示内容について、参考にするものはあるか。

A.まとめて掲示しても差し支えない。また、掲示内容については、以下のURL に示す様式を参考にされたい。

 

 

◎オンライン資格確認に関する周知素材について

周知素材について(これらのポスターは医療 DX 推進体制整備加算の掲示に関する施設基準を満たします。)

https://www.mhlw.go.jp/stf/index_16745.html

 

Q.医療DX推進体制整備加算の施設基準において、「マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる保険医療機関であること。」を当該保険医療機関の見やすい場所に掲示することとしているが、「マイナ保険証を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいる」については、具体的にどのような取組を行い、また、どのような掲示を行えばよいか。

A.保険医療機関において「マイナ保険証をお出しください」等、マイナ保険証の提示を求める案内や掲示(問 17 に示す掲示の例を含む。)を行う必要があり、「保険証をお出しください」等、単に従来の保険証の提示のみを求める案内や掲示を行うことは該当しない。

 

【疑義解釈(その2)より】

 

Q.「A000」初診料の注 16 に規定する医療DX推進体制整備加算(以下「医療DX推進体制整備加算」という。)の施設基準において、「国等が提供する電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制を有していること。」とされており、また、当該施設基準については令和7年9月 30 日までの間は経過措置が設けられているが、電子カルテ情報共有サービスについて、届出時点で具体的な導入予定等が不明であっても、当該加算は算定可能か。

A.経過措置が設けられている令和7年9月 30 日までの間は、算定可能。なお、電子カルテ情報共有サービスの導入等の具体については、当該サービスが実装可能となった時期に疑義解釈を示す予定である。

 

Q.医療DX推進体制整備加算の施設基準において、「「電子処方箋管理サービスの運用について」(令和4年 10 月 28 日付け薬生発 1028 第1号医政発1028 第1号保発 1028 第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長・医政局長・保険局長通知。)に基づく電子処方箋により処方箋を発行できる体制を有していること。」とされており、また、当該施設基準については、令和7年3月 31 日までの間は経過措置が設けられているが、電子処方箋について、届出時点で未導入であっても、当該加算は算定可能か。

A.経過措置が設けられている令和7年3月 31 日までの間は、算定可能。なお、施設基準通知の別添7の様式1の6において、導入予定時期を記載することとなっているが、未定又は空欄であっても差し支えない。

 

Q. 医療DX推進体制整備加算の施設基準で求められている電子処方箋により処方箋を発行できる体制について、経過措置期間終了後も電子処方箋を未導入であった場合、届出後から算定した当該加算についてどのように考えればよいか。

A. 協定指定医療機関の指定を受けた後であれば、届出可能。

 

※注1:疑義解釈の内容は令和6年6月20日時点「疑義解釈(その9)」までの情報となります。

疑義解釈その3~9には主にクリニックに関する医療DX推進体制整備加算の記載がなかったため、本コラムに記載しておりません。疑義解釈資料の最新情報は以下のURLよりご確認いただけます。

 

参考資料:厚生労働省HP「令和6年度診療報酬改定について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html

 

4.まとめ

 

医療DX推進体制整備加算は2024年度(令和6年度)診療報酬改定で、質の高い医療を提供するために、オンライン資格確認や電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスの体制を確保する目的で新設されました。

 

この記事が今後の医院経営にお役立てできれば幸いでございます。

 

 

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