診療報酬・診療報酬改定

内科

2024.02.14

慢性腎臓病透析予防指導管理料とは【2024年6月更新】

本記事は「慢性腎臓病透析予防指導管理料」について、マネージャーの池田が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

〈目次〉

  1. 慢性腎臓病透析予防指導管理料とは
  2. 慢性腎臓病透析予防指導管理料の算定対象患者
  3. 慢性腎臓病透析予防指導管理料の算定要件
  4. 慢性腎臓病透析予防指導管理料の施設基準
  5. 慢性腎臓病透析予防指導管理料の算定上の注意

 

1.慢性腎臓病透析予防指導管理料とは

 

慢性腎臓病の患者に対して、透析予防診療チームを設置し、日本腎臓学会の「エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン」等に基づき、患者の病期分類、食塩制限及び蛋白制限等の食事指導、運動指導、その他生活習慣に関する指導等を必要に応じて個別に実施することを評価する管理料で、2024年度(令和6年度)の診療報酬改定で新設されました。

 

慢性腎臓病透析予防指導管理料

イ 初回の指導管理を行った日から起算して1年以内の期間に行った場合 300点
  ※情報通信機器を用いた場合は261点
ロ 初回の指導管理を行った日から起算して1年を超えた期間に行った場合 250点
  ※情報通信機器を用いた場合は218点

 

2.慢性腎臓病透析予防指導管理料の算定対象患者

 

入院中以外の慢性腎臓病の患者(糖尿病患者又は現に透析療法を行っている患者を除く。)であって、慢性腎臓病の患者のうち慢性腎臓病の重症度分類で透析のリスクが高い患者(糖尿病患者又は現に透析療法を行っている患者を除く。)に対して、透析を要する状態となることを予防するために重点的な指導管理を要する患者に算定可能です。

 

透析のリスクが高い患者とは具体的に、日本腎臓学会の「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」に記載されている尿蛋白及び糸球体濾過量で判断される慢性腎臓病の重症度分類において、CKDステージG3aA3、G3bA2-3、G4A1-3、又はG5A1-3と分類される患者が対象となります。(疑義解釈その2R6.4.12)

また、腎臓病教室に参加していない患者でも要件を満たす場合には算定可能です(疑義解釈その1 R6.3.28)

 

3.慢性腎臓病透析予防指導管理料の算定要件

 

(1)略 ※上記算定患者に関する記載のため

(2)当該指導管理料は、専任の医師、当該医師の指示を受けた専任の看護師(又は保健師)及び管理栄養士(以下「透析予防診療チーム」という。)が、(1)の患者に対し、日本腎臓学会の「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」等に基づき、患者の病期分類、食塩制限及び蛋白制限等の食事指導、運動指導、その他生活習慣に関する指導等を必要に応じて個別に実施した場合に算定する。

(3)当該指導管理料を算定すべき指導の実施に当たっては、透析予防診療チームは、慢性腎臓病のリスク要因に関する評価を行い、その結果に基づいて、指導計画を作成すること。

(4)当該管理を実施する透析予防診療チームは、慢性腎臓病のリスク要因に関する評価結果、指導計画及び実施した指導内容を診療録、療養指導記録又は栄養指導記録に添付又は記載すること。

(5)同一月又は同一日においても、「注2」に規定するもの(B001の9に掲げる外来栄養食事指導料及び区分番号B001の11に掲げる集団栄養食事指導料)を除き、第2章第1部の各区分に規定する他の医学管理等及び第2部第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料は併算定できる。

(6)当該管理料を算定する場合は、特掲診療料施設基準通知の別添2の様式13の10に基づき、1年間に当該指導管理料を算定した患者の人数、状態の変化等について報告を行うこと。

(7)本管理料を算定する患者について、保険者から保健指導を行う目的で情報提供等の協力の求めがある場合には、患者の同意を得て、必要な協力を行うこと。

(8)「注3」に規定する情報通信機器を用いた医学管理については、オンライン指針に沿って診療を行った場合に算定する。(別途「情報通信機器を用いた診療」に関する施設基準の届出が必要)

(9)「注3」に規定する点数を算定する場合には、以下の要件を満たすこと。

 

ア 透析予防診療チームが、情報通信機器を用いた診療による計画的な療養上の医学管理を行う月において、(1)の患者に対し、ビデオ通話が可能な情報通信機器を活用して、日本腎臓学会の「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」等に基づき、患者の病期分類、食塩制限及び蛋白制限等の食事指導、運動指導、その他生活習慣に関する指導等を必要に応じて個別に実施する。なお、情報通信機器を用いた診療による計画的な療養上の医学管理を行う月にあっては、医師又は当該医師の指示を受けた看護師(又は保健師)若しくは管理栄養士による指導等について、各職種が当該月の別日に指導等を実施した場合においても算定できる。

イ 当該指導等の実施に当たっては、透析予防診療チームは、事前に、対面による指導と情報通信機器を用いた診療による指導を組み合わせた指導計画を作成し、当該計画に基づいて指導を実施する。

ウ 透析予防診療チームは、情報通信機器を用いた診療により実施した指導内容、指導実施時間等を診療録、療養指導記録又は栄養指導記録に記載する。

 

4.慢性腎臓病透析予防指導管理料の施設基準

 

慢性腎臓病透析予防指導管理料を算定するには、以下の施設基準を満たしたうえで、厚生局への届け出が必要となります。

(1) 当該保険医療機関内に、以下から構成される慢性腎臓病透析予防診療チームが設置されていること。
ア 慢性腎臓病指導の経験を有する専任の医師
イ 慢性腎臓病指導の経験を有する専任の看護師又は保健師
ウ 慢性腎臓病指導の経験を有する専任の管理栄養士
(2) 1 のアに掲げる医師は、慢性腎臓病の予防指導に従事した経験を5年以上有する者であること。
(3) 1 のイに掲げる看護師は、慢性腎臓病の予防指導に従事した経験を3年以上有する者であること。
(4) 1 のイに掲げる保健師は、慢性腎臓病の予防指導に従事した経験を2年以上有する者であること。
(5) 1 のウに掲げる管理栄養士は、慢性腎臓病の栄養指導に従事した経験を3年以上有する者であること。

※(1)~(5)の経験は複数の施設を合算しての経験年数を満たしている場合でも届出可能です。(疑義解釈その1 R6.3.28)

(6) 1 ア、イ及びウに掲げる慢性腎臓病透析予防診療チームに所属する者のいずれかは、慢性腎臓病の予防指導に係る適切な研修を修了した者であることが望ましいこと。
(7) 2 から 4 までに規定する医師、看護師又は保健師のうち、少なくとも1名以上は常勤であること。
(8) 2 から 5 までに規定する医師、看護師又は保健師及び管理栄養士のほか、薬剤師、理学療法士が配置されていることが望ましいこと。
(9) 腎臓病教室を定期的に実施すること等により、腎臓病について患者及びその家族に対して説明が行われていること。ただし、当該教室は区分番号B001「 26 」糖尿病透析予防指導管理料に規定する糖尿病教室の実施により代えることとしても差し支えない。ただし、腎臓病についての内容が含まれる場合に限る。
(10)慢性腎臓病透析予防指導管理料を算定する場合は、様式を用いて、患者の人数、状態の変化等について、報告を行うこと。
(11)慢性腎臓病透析予防指導管理料を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行う場合に係る厚生労働大臣が定める施設基準情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていること。

クリニックにおいては、(1)の人員に基づく基準を満たすことがハードルが高いものになりますが、腎臓病、透析予防に関する細やかな対応を目指すのであれば、算定を検討したい管理料となります。

 

5.慢性腎臓病透析予防指導管理料の算定上の注意

 

慢性腎臓病透析予防診療チームの医師、看護師又は保険師及び管理栄養士それぞれが同日に指導した際に算定が可能です。
なお、必ずしも同席して指導する必要はありません。
ただし、腎臓病教室などで複数の患者に同時に指導を行った場合には算定できません。
(疑義解釈その1 R6.3.28)

 

また、B001の9に掲げる外来栄養食事指導料及び区分番号B001の11に掲げる集団栄養食事指導料は、慢性腎臓病透析予防指導管理料に含まれ、併算定はできません。

 

 

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