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【整形外科医院メルマガ2021年8月号】最低賃金引上げについて

最低賃金引上げについて

 

 

皆さんこんにちは
クレドメディカルの中川です。

 

新型コロナワクチンの接種が進む一方で
今週から緊急事態宣言発令地域が
6都府県から13都府県に拡大、
まん延防止等重点措置発令地域が
6道県から16道県に拡大と、
まだまだ収束の気配を
見せない状況が続いています。

 

また、新型コロナワクチンの接種が
高齢者から開始されたこともあり、
個別接種を実施されている
整形外科医院においては、
春先から忙しい状態が続いているところが
多かったように見受けられます。

 

そういった医院の中には、
臨時でスタッフを雇用する、
あるいはパートのスタッフに
臨時で出勤してもらうといった医院も
あったようです。

 

そのような中、
2021年度の最低賃金を
大幅に引き上げると発表がありました。

 

中央最低賃金審議会の小委員会は、
2021年度の最低賃金を全国平均で
28円を目安に引き上げ、
時給930円とするとしました。

 

28円の引き上げ額は、
02年度に最低賃金を時給で示す
現在の方式となってから
過去最大となっております。

 

こちらは、日本商工会議所など
経営者側からの反発があり
それぞれの都道府県で動きは変わってくる
可能性もございますが、
経営者である院長先生方は、
一度自院の給与を再確認されることを
お勧めします。

 

そこで、自院の給与をご確認いただくうえで
気を付けていただきたいことは、
給与が月給制の方たちです。

 

最低賃金は時間給で定められているので、
月給の場合は月給を
1カ月の平均所定労働時間で割り、
時間給を明らかにする必要があります。

 

その算出した時間給が最低賃金以上であれば
問題はありません。

 

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  月給÷1カ月の平均所定労働時間≧最低賃金

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厚生労働省の
「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
をもとに、さらに詳しく
時間給の算出方法をご紹介しますと

 

<最低賃金が850円の○○県で働く医療事務Aさんの場合>

 
◆Aさん給与詳細
  • 基本給…120,000円
  • 職務手当…30,000円
  • 通勤手当…5,000円
  • 時間外手当…35,000円
  • 支給合計…190,000円

※労働時間/日=8時間
※年間労働日数=250日

 

上記と仮定した場合、
通勤手当と時間外手当は
最低賃金の対象となりませんので、
基本給(120,000円)と職務手当(30,000円)を
合わせた150,000円が基礎額となります。

 

Aさんのクリニックでは、
年間労働日数が250日・1日労働時間が
8時間と仮定して
この基礎額を基に時間給を計算していきます。

 

月給150,000円を年換算すると
150,000円×12=1,800,000円となり、
実際に働く時間は
250日×8時間=2,000時間となります。

 

従って、
1,800,000円÷2000時間=900円となり、
最低賃金850円を上回りますので、
Aさんの給与は
問題がないということになります。

 

また、月給制給与を時給に換算するにあたり
以下の項目は最低賃金から
除外されるものですので注意が必要です。

1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
2. 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、
     通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
6. 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

 

このように、時給スタッフだけでなく
月給スタッフの給与も
今一度ご確認いただくことをお勧めします。

 

また、ここからは最低賃金を
別の観点から見たものになりますが、
業務生産性の向上を目的とした
事業所の最低賃金引き上げを行えば、
その生産性向上に関わる設備投資に掛かった
費用を一部助成してくれる
『業務改善助成金』の申請が可能です。

 

こちらは、
申請コースごとに定める引上げ額以上、
事業場内最低賃金を引き上げた場合、
生産性向上のための
設備投資等にかかった費用に
助成率を乗じて算出した額が
助成されるものになります。

 

▼ 業務改善助成金概要 ▼

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000591257.pdf

 

◆支給要件

1. 賃金引上計画を策定すること事業場内最低賃金を
 一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)

2. 引上げ後の賃金額を支払うこと

3. 生産性向上に資する機器・設備などを
 導入することにより業務改善を行い、
 その費用を支払うこと
  (1) 単なる経費削減のための経費
  (2) 職場環境を改善するための経費
  (3) 通常の事業活動に伴う経費などは除く

4. 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと 

 

▼ 医療機関活用事例 ▼

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000621428.pdf

 

こちらは、医療機関でも対象となる制度で、
自動精算機なども対象となるとされています。

 

そして、この助成金の要件でもある
事業場内の最低賃金引上げについては、
10月に予定されている都道府県ごとの
最低賃金引上げ前に
実行をして、申請をすれば
引き上げ前の額をもとに
申請が可能となります。

 

つまり、業務改善助成金の
「30円コース」の場合、
大阪府であれば、

 

<最低賃金引上げ前>
964円が対象となり、30円引き上げで
事業場内の最低賃金を994円にするのであれば
申請が可能

 

<最低賃金引き上げ後>
28円上がると仮定すると、
992円が対象となり、30円引き上げで
事業場内の最低賃金を1012円に
上げていないと申請ができない

 

というかたちになります。

 

そのため、
もともと最低賃金のベースを
上げる予定をしている、
または改定に伴い
事業場内の最低賃金を
上げなければいけない場合は、
こちらの助成金のことについても
頭の片隅みに置いておいて
いただければと思います。

 

尚、こちらの助成金については
管轄が「各都道府県の
労働局雇用環境・均等部」に
なりますので、詳しくは
こちらにお問合せいただければと思います。

 

▼ 都道府県労働局一覧 ▼

https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index.html

 

 


今月も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本内容が先生方のお役に立てば幸いです。
それでは次回以降の配信をお楽しみに!