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2022.09.12

後期高齢者の医療費負担見直し クリニックへの影響とは

本記事は「後期高齢者の医療費負担見直し」について、主任経営コンサルタントの池田が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

〈目次〉

  1. 後期高齢者の医療費負担見直しとは
  2. 後期高齢者の医療費負担増加の対象者
  3. 窓口負担の増加に対する配慮措置について
  4. 想定されるクリニックへの影響
  5. まとめ

 

■後期高齢者の医療費負担見直しとは

 

少子高齢化の影響から長期的な医療費の増大が見込まれており、保険医療制度の継続のため医療費の自己負担の見直しが行われました。
令和4年10月1日以降、後期高齢者医療の被保険者のうち収入が一定以上の方の窓口での医療費負担が1割⇒2割に変更となります。

 

2022年9月時点で、後期高齢者については窓口での医療費負担が1割、現役並み所得のある場合は3割となっていますが、これらに加えて新たに2割負担の区分が新設されることとなりました。

 

 

 

■後期高齢者の医療費負担増加の対象者

 

後期高齢者の医療費負担が2割となるのは3割負担の方を除き

課税所得が28万円以上の方が世帯におり、かつ
・75歳以上の単身世帯で年金収入*+その他合計所得金額が200万円以上
または
・75歳以上の2人以上世帯で年金収入*+その他合計所得金額が320万円以上

が対象となります。
(*年金収入には遺族年金、障害年金を含まない)

 

厚生労働省によると、後期高齢者医療の被保険者のうち20%程が2割負担の対象者となる見込みです。
(参考:こちら(厚生労働省ホームページ)

 

■窓口負担の増加に対する配慮措置について

 

対象者は全体の20%程度ですが、対象の患者さんからすると毎月の医療費が倍になる事となります。
高齢者は複数の医療機関を受診していることが多いため、先生方のクリニックを受診した際の負担増加だけでなく、2~3医院すべてのクリニックでの医療費が倍となると経済的、心理的な負担が一層大きくなります。

 

ただし、令和4年10月1日から令和7年9月末までは、「増加した医療費を3000円までに抑える」配慮措置が施行されます。

 

増加した医療費(=増加負担額)とは、自己負担が1割の場合と2割の場合の差額を指します。

 例)医療費が月4万円の場合、
 自己負担1割=4000円
 自己負担2割=8000円
 増加負担額=8000円-4000円=4000円

配慮措置ではこの増加負担額を3000円に抑えるため、4000円-3000円=1000円が患者に後日払い戻されることとなります。

 

■想定されるクリニックへの影響

 

高齢者の医療費負担の増加に伴い、
・配慮措置の内容、払い戻しの方法に関する質問などの受付への問い合わせ増加
・医療費負担増加による通院回数減少
などクリニックのオペレーション、来院頻度への影響が想定されます。

 

受付での業務負担を軽減するために、院内掲示の整備を行う、説明資料を用意しておく、スタッフへの教育を行うなどの対応は最低限実施しておくべきでしょう。

 

医療費が増えると経済的な負担はもちろんですが、支出が従来の倍になると患者さんにとっては心理的な負担が大きくなり、長期処方を望まれたり、必要な検査であっても検査に否定的な感情を抱いたりする可能性が高くなります。
該当の検査の必要性を患者さんに納得いく形で説明可能な体制を今のうちに整えておくことをお勧めします。

 

■まとめ

 

・2020年10月以降、後期高齢者の医療費2割負担が新設
・世帯人数に応じて所得が一定以上に該当する場合は2割負担となる
・1割から2割になった患者さんについては配慮措置が適用される

 

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