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2021.12.06

クリニックと薬局の関係

本記事では「クリニックと薬局の関係」について、コンサルタント(クレドメディカル取締役)の尾崎が医師のために記載した文書です。より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

<目次>

1.クリニックと薬局の関係とは
2.経済的、機能的な独立とは
3.構造的な独立とは
4.患者紹介料の禁止

 

 

1. クリニックと薬局の関係とは

 

日々のクリニック運営において薬局との関係に疑問を持たれている先生方がおられますので、クリニックと薬局の関係について経営上の観点からお伝えします。まずは平成5年4月30日に「薬局業務運営ガイドライン」が発出され、そこに医療機関と薬局との関係が記載されています。

 

薬局業務運営ガイドラインはかなりの長文であり、クリニックと薬局の関係は下記の3つが重要と考えています。

  1. 薬局は医療機関から経済的、機能的、構造的に独立していなければならない。
  2. 薬局は医療機関と処方せんの斡旋について約束を取り交してはならない。
  3. 薬局は医療機関に対し処方せんの斡旋の見返りに、方法のいかんを問わず、金銭、物品、便益、労務、供応その他経済上の利益の提供を行ってはならない。

 

今回主にこの3つについて説明致します。

 

 

2.経済的、機能的な独立とは

 

医療機関は特定の薬局に処方箋を斡旋するような約束を取り交わさない等、医薬分業の趣旨や薬局の基本理念より機能的に独立している必要があります。また経済的な独立のためにも薬局と一体的な経営を行うことは認められていません。『一体的な経営を行う』とは、医療機関と薬局が一定の近接的な位置関係にあり、かつ次の01~04までに規定するような経営主体の実質的同一性が認められる場合又は機能上医療機関とのつながりが強いとみなされます。

 

  1. 薬局の開設者(法人たる薬局の役員を含む。)が医療機関の開設者(法人の場合にあっては、当該法人の役員を含む。)又は開設者と同居又は生計を一にする近親者であるもの
  2. 薬局の開設者と医療機関の開設者の間の資本関係が実質的に同一であるもの(法人の場合にあっては当該法人の役員が経営するものを含む。)
  3. 職員の勤務体制、医薬品の購入管理、調剤報酬の請求事務、患者の一部負担金の徴収に係る経理事務等が医療機関と明確に区分されていないもの
  4. 特定の医療機関との間で、いわゆる約束処方、患者誘導等が行われているもの

 

 

3.構造的な独立とは

 

医療機関は薬局と一体的な構造としてはいけません。一体的な構造とは次の3つを指します。

  1. 医療機関の建物内にあるものであって、当該医療機関の調剤所と同様とみられるもの
  2. 医療機関の建物と専用通路等で接続されているもの
  3. 医療機関と同一敷地内であって薬局の存在や出入口を公道等から容易に確認できないもの

 

このようにクリニックと薬局が専用通路でつながってはいけない、お互いの出入口は公道等に面していなければなりませんでしたが、2016年10月に医療機関と薬局の敷地内併設が可能と規制が緩和されました。規制が緩和された理由はクリニックを受診し、一度公道に出て薬局に向かうことは身体が不自由な人、車いすを利用する人、子供連れ、高齢者にとっては不便であり、医薬分業の機能とは関係がないのではないかという議論が起こったからです。

 

 

4.患者紹介料の禁止

 

これまでは医療機関と薬局のうち、薬局からの視点で記載をしてきました。薬局は医療機関からの処方箋を受け取るために医療機関に処方箋の発行を増やしたり、特定の薬局に斡旋したりなど何かしらの働きかけをしないようにという目的です。反対に医療機関も薬局などから患者さんを紹介してもらい、見返りに紹介料などを支払うことを禁止しています。他業界において紹介ビジネスが成り立っているのに医療業界で紹介ビジネスが禁止されている理由は、診療報酬の一部が公的資金を使用しているためです。

 

最後に「クリニックと薬局の関係」のおさらいです。

  • クリニックは薬局と経済的、機能的、構造的に独立していなければなりません。
  • 構造的な独立においては規制緩和があり、クリニックと薬局の敷地内併設が可能となりました。
  • クリニックと薬局は処方箋や患者さんの紹介や斡旋することは禁止されています。

 

どうしてもクリニックの経営上、会計後の患者さんのことを考えると、近くの薬局と協力関係を築きたくなりますが、一つの薬局に処方箋を斡旋したり、患者さんの紹介を求めるなど医療機関へのフリーアクセスを超えるような協力関係は控えられた方がよいでしょう。

 

この記事が今後の医院経営のお役に立てれば幸いです。