クリニックにおけるWEB問診のメリット、デメリット
本記事は「WEB問診」について、主任経営コンサルタントの山野が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
<目次>
- WEB問診とは
- WEB問診導入におけるクリニック側のメリット
- WEB問診導入におけるクリニック側のデメリット
- WEB問診導入における患者側のメリット・デメリット
- WEB問診導入時のチェックポイント
- まとめ
1. WEB問診とは?
WEB問診とは、患者さんに対する問診を事前にオンライン上で記入してもらうことができるシステムのことです。
医療機関受診時に、初診の場合簡易的な問診票を紙で渡されていましたが、同様の内容をWEB上で行えるようになるということです。
患者さんは来院前に自宅等でパソコンやスマートフォンからWEB問診に記入後来院します。
事前にWEB問診に記入がない場合でも、来院後にご自身のスマートフォンやクリニック側が用意したタブレットで記入いただくことも可能です。
2.WEB問診導入におけるクリニック側のメリット
(1)診察効率化
紙の問診票を利用する場合、内容を受付や診察室でヒアリングし転記しているケースがありますが、転記作業、ヒアリング時間がなくなり、受付、診察室共に診察の効率化につながります。
(2)受付業務効率改善
患者さんが事前に問診票を入力していることで問診票記入時間や受付スタッフが患者さんの住所や電話番号の確認、入力する時間が短縮されることで業務の効率化となります。
(3)感染予防
新型コロナ感染拡大以降クリニック内でも業務自動化が急速に進んでいますが、WEB問診を導入することで待合室での滞在時間の減少、ペンや記入用バインダー等に触れることなく問診が完了することで、感染防止対策になります。
(4)資源削減
紙の削減、ペンの利用削減、印刷代の削減、印刷する時間の削減等資源の削減につながります。
3.WEB問診導入におけるクリニック側のデメリット
(1)質問される等の手間が発生
基本的には効率化につながるWEB問診ですが、高齢者やITリテラシーが低い患者さんにとっては不慣れな点が多く受付スタッフへ質問が来て対応に時間がかかるケースが発生するかもしれません。
スマートフォンを持っていない患者さんや、WEB問診の操作に不安がある患者さん用に、一部紙問診を併用する対策等が必要となるでしょう。
また、一部WEB問診入力の時点で予約もできていると勘違いする患者さんがいらっしゃるため注意喚起を促すコメントや事前アラートの設定等の対策もあった方がいいでしょう。
(2)情報量が増えすぎる場合がある
WEB問診は各クリニックで内容をカスタマイズできることが利点であり、各疾患に対して深堀した内容を事前に確認できることはメリットですが、情報量が増えすぎて読む労力がかかりすぎるというケースには注意が必要です。
WEB問診で確認する内容と、クリニックで確認する内容のバランスを調整することが必要になります。
(3)コスト
WEB問診システムの導入、運用にはコストが発生します。
また、場合によってはクリニックHPにWEB問診への導線を作成したり、電子カルテや予約システムと連動させることに時間やお金がかかってくることも考慮する必要があります。
4.WEB問診導入における患者側のメリット
(1)院内滞在時間が短くなる
問診票を書くために早めに来院したり、問診票を記入する時間が削減されるため患者さんにとっては院内に滞在する時間が短くなり、待ち時間が短かったという満足感を得ることにつながります。
(2)自宅で問診を行える
例えば小さなお子様を兄弟で受診させたい親御さんの場合、お子様の面倒を見ながら複数名分の紙問診を書くことは非常に負担ですが、自宅であれば落ち着いて入力が可能です。
他には、お母さんが他の兄弟の面倒を見るため自宅で留守番をし、お父さんが1人のお子様を受診させるような場合にWEB問診が役立ちます。
例えば、お子様の症状や経過の詳細までお父さんがよく理解していないというケースがありますが、お母さんがWEB問診である程度詳細を記載しておくことで理解の不足をWEB問診活用でカバーできるでしょう。
5.WEB問診導入時のチェックポイント
(1)サポートの手厚さと迅速性
WEB問診は導入後もクリニックとして使いやすいようブラッシュアップしていくことで問診の精度が上がっていき、より効率化につながります。
しかしながら全てをクリニック側で対応することは忙しい診療の中では難しい場合が多いでしょう。
訪問でのサポートやレクチャー、チャット機能を活用してのサポートなど迅速に対応してもらえるかもチェックしておくとよいでしょう。
(2)操作性と画面の見やすさ
日々多くの診療を行っている医師にとって、必要な情報を素早くストレスなくピックアップすることは重要です。
スタッフ側の操作がしやすいかどうか、反映された内容が見やすいかどうかなど、診察時間を想定して確認できるとよいでしょう。
6.まとめ
クリニックにおけるWEB問診のメリット・デメリットについてお伝えいたしました。
オペレーション上のメリット・デメリットもありますが、何よりも時代の流れとしてクリニックDXの重要性はますます高まってきており、“あったら便利”という立ち位置から“あって当たり前”というラインにたどり着くまでのスピードは年々早まっているように感じます。
WEB問診に限らず時流に合わせてシステム導入検討を進めてみてはいかがでしょうか。
本コラムが少しでもお役に立てれば幸いです。