2027年3月施行:OTC類似薬に関する新制度
本記事は「OTC類似薬に関する新制度」について、経営コンサルタントの柳が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
<目次>
令和7年12月25日の社会保障審議会医療保険部会において、OTC(一般用医薬品)と類似した医療用医薬品の保険給付の見直し案が示されました。
本制度は、今後の外来診療における処方設計や患者説明に影響を与えることが予想されます。
本コラムでは、2026年2月時点で公表されている情報を整理して解説いたします。
1.OTC類似薬とは
まず、前提となる「OTC医薬品」とは、薬局やドラッグストアで処方箋なしに購入できる市販薬のことです。OTCとはOver The Counterの略で、カウンター越しに販売されることを表しています。
そして、今回の見直し対象となる「OTC類似薬」とは、このOTC医薬品(市販薬)に有効成分が似ている処方薬のことを指します。
具体的には「OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、1日最大用量が異ならない医療用医薬品」と定義されています。
つまり、患者様が自ら薬局で購入して対応できる薬剤と、効能や使い勝手が変わらない医療用医薬品を指します。
これまでは保険診療の中で提供されてきましたが、今後はセルフメディケーションとの公平性の観点から、給付の在り方が見直されることになります。
2.新制度の内容
2025年12月24日に政府が決定した新たな仕組みにより、OTC類似薬77成分・約1,100品目について、通常の自己負担とは別に保険外負担(特別の料金)を患者に求めることとなりました。
この制度は、混合診療を例外的に認める保険外併用療養費制度の中に創設されます。
<開始時期>
2027年3月より実施される予定です。
<患者負担額>
保険外負担は対象薬剤の薬剤費の4分の1とされています。
通常の自己負担(1割~3割)に加えて、この特別料金が追加で患者負担となります。
<対象となる医薬品>
現時点の案では、OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品を機械的に選定された結果、77成分(約1,100品目)がリストアップされています。
今後、専門家の意見を踏まえて対象医薬品が具体化される見込みです。
| No | 有効成分 | 用途 |
|---|---|---|
| No | 有効成分 | 用途 |
| 1 | アシクロビル | 抗ウイルス薬 |
| 2 | アシタザノラスト水和物 | 抗アレルギー薬 |
| 3 | アスコルビン酸 | ビタミン剤 |
| 4 | アンモニア水 | 鎮痛鎮痒収斂消炎剤 |
| 5 | イソコナゾール硝酸塩 | 抗真菌薬 |
| 6 | イソプロパノール | 殺菌消毒剤 |
| 7 | イトプリド塩酸塩 | 胃薬 |
| 8 | イブプロフェン | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) |
| 9 | イブプロフェンピコノール | 非ステロイド系消炎鎮痛剤 |
| 10 | インドメタシン | 鎮痛消炎剤 |
| 11 | エタノール | 殺菌消毒剤 |
| 12 | エピナスチン塩酸塩 | 抗アレルギー薬 |
| 13 | L-カルボシステイン | 去痰薬 |
| 14 | 塩酸テトラヒドロゾリン・プレドニゾロン | 点鼻用血管収縮剤 |
| 15 | オキシコナゾール硝酸塩 | 抗真菌薬 |
| 16 | オキシテトラサイクリン塩酸塩・ヒドロコルチゾン | 抗生物質、副腎皮質ホルモン配合剤 |
| 17 | オキシドール | 殺菌消毒剤 |
| 18 | オリブ油 | 皮膚保護剤 |
| 19 | 希ヨードチンキ | 殺菌消毒剤 |
| 20 | クロトリマゾール | 抗真菌薬 |
| 21 | クロラムフェニコール | 抗生物質 |
| 22 | クロラムフェニコール・フラジオマイシン硫酸塩・ プレドニゾロン | 抗生物質 |
| 23 | クロルヘキシジングルコン酸塩 | 殺菌消毒剤 |
| 24 | ケトチフェンフマル酸塩 | 抗アレルギー薬 |
| 25 | サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 | 総合感冒剤 |
| 26 | サリチル酸 | 寄生性皮膚疾患剤 |
| 27 | サリチル酸メチル・dl-カンフル・トウガラシエキス | 鎮痛消炎剤 |
| 28 | サリチル酸メチル・ メントール・dl-カンフル | 鎮痛消炎剤 |
| 29 | サリチル酸メチル・ メントール・dl-カンフル・グリチルレチン酸 | 鎮痛消炎剤 |
| 30 | 酸化マグネシウム | 制酸 緩下剤 |
| 31 | 酸化亜鉛 | 収れん・消炎・保護剤 |
| 32 | 次亜塩素酸ナトリウム | 殺菌消毒剤 |
| 33 | ジクロフェナクナトリウム | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) |
| 34 | 消毒用エタノール | 殺菌消毒剤 |
| 35 | 静脈血管叢エキス | 痔治療薬 |
| 36 | 精製水 | 溶解剤 |
| 37 | 炭酸水素ナトリウム | 胃腸薬 |
| 38 | 沈降炭酸カルシウム・コレカルシフェロール・ 炭酸マグネシウム | カルシウム配合剤 |
| 39 | チンク油 | 消炎薬 |
| 40 | デキサメタゾン | ステロイド |
| 41 | テルビナフィン塩酸塩 | 抗真菌薬 |
| 42 | トコフェロール酢酸エステル | ビタミン剤 |
| 43 | トリアムシノロンアセトニド | 口内炎・舌炎薬 |
| 44 | 尿素 | 皮膚軟化剤 |
| 45 | 白色ワセリン | 軟膏基剤 |
| 46 | ハチミツ | 矯味剤 |
| 47 | ピコスルファートナトリウム水和物 | 緩下剤 |
| 48 | ビサコジル | 便秘薬 |
| 49 | ビダラピン | 抗ウイルス薬 |
| 50 | ヒドロコルチゾン酪酸エステル | ステロイド |
| 51 | フェキソフェナジン塩酸塩 | 抗アレルギー薬 |
| 52 | フェキソフェナジン塩酸塩・塩酸プソイドエフェド リン | 抗アレルギー薬 |
| 53 | フェルビナク | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) |
| 54 | ブテナフィン塩酸塩 | 抗真菌薬 |
| 55 | 複方ヨード・グリセリン | 口腔用殺菌消毒剤 |
| 56 | ブドウ酒 | 滋養強壮薬 |
| 57 | フラボキサート塩酸塩 | 頻尿・残尿感薬 |
| 58 | フルチカゾンプロピオン酸エステル | ステロイド |
| 59 | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル | ステロイド |
| 60 | ベタメタゾン吉草酸エステル | ステロイド |
| 61 | ベタメタゾン吉草酸エステル・フラジオマイシン 硫酸塩 | ステロイド |
| 62 | ヘパリン類似物質 | 血行促進・皮膚保湿剤 |
| 63 | ベポタスチンベシル酸塩 | 抗アレルギー薬 |
| 64 | ベミロラストカリウム | 抗アレルギー薬 |
| 65 | ベルベリン塩化物水和物・ゲンノショウコエキス | 止瀉剤 |
| 66 | ベンザルコニウム塩化物 | 殺菌消毒剤 |
| 67 | ホウ砂 | 眼科用剤 |
| 68 | ホウ酸 | 眼洗浄・消毒薬 |
| 69 | ポビドンヨード | 殺菌消毒剤 |
| 70 | ポリエンホスファチジルコリン | 高脂血症薬 |
| 71 | マルツエキス | 乳幼児用便秘薬 |
| 72 | ミコナゾール硝酸塩 | 抗真菌薬 |
| 73 | 無水エタノール | 殺菌消毒剤 |
| 74 | モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物 | アレルギー性鼻炎治療薬 |
| 75 | ヨウ素 | 殺菌消毒剤 |
| 76 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | 解熱消炎鎮痛剤 |
| 77 | ロラタジン | 抗アレルギー薬 |
引用元:第209回社会保障審議会医療保険部会 第9回高額療養費制度の在り方に関する専門委員会(ペーパーレス)合同開催 資料 【参考資料3】特別料金の対象となる医薬品の成分一覧(案)
<対象となる患者>
すべての患者に一律に適用されるわけではなく、社会的・医学的な観点から「特別の料金」を求めない「配慮が必要な者」が設定される見込みです。
検討されている対象は以下の通りです。
- こども
- がん患者や難病患者など、配慮が必要な慢性疾患を抱えている方
- 低所得者
- 入院患者
- 医師が対象医療品の長期使用等が医療上必要と考える方
3.新制度の背景
政府がこの制度を推進する背景には、主に2つの趣旨があります。
①公平性の確保
現役世代の多くは、平日の診療時間中に受診することが困難なため、自費でOTC医薬品を購入して対応しています。
一方で、医療機関を受診して処方を受ける患者は、保険料負担により安価に薬剤を入手できるため、この負担の不公平感を解消することが狙いです。
②現役世代の保険料負担の軽減
少子高齢化が進む中、社会保障制度を維持するために現役世代の保険料負担を抑制する必要があります。
また、国はセルフメディケーションに関する国民の理解や、OTC医薬品に関する医師・薬剤師の理解を深めるための環境整備を進めるとしています。
令和9年度以降には、対象範囲を医療用医薬品の相当部分にまで拡大することや、特別の料金の割合を引き上げることについても検討することが明言されており、今回の改正はその第一段階と位置づけられています。
4.まとめ
今回の改正は、2027年3月から施行される「OTC類似薬の保険外負担」というインパクトの強い内容です。
対象となる1,100品目には、クリニックで日常的に処方されるアレルギー薬、解熱鎮痛剤、保湿剤などが数多く含まれており、窓口での患者負担額が増加するケースが出てくるでしょう。
クリニック単位で頻用薬のチェック、運用ルールの検討、患者説明の備えを行っておかれることを推奨いたします。
本コラムが、日々の診療およびクリニック経営の一助となれば幸いです。
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