診療報酬・診療報酬改定

耳鼻咽喉科

内科

2026.03.24

2026年度(令和8年度)診療報酬改定|在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の見直し

本記事は「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の見直し」について、チーフ経営コンサルタントの百合草が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

<目次>

  1. 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料とは
  2. 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1・2の対象患者
  3. 2026年度(令和8年度)の改定内容
  4. 2026年度(令和8年度)の改定内容
  5. 新設:持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の概要
  6. まとめ

1.在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料とは

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料は、在宅でCPAP/ASV等を使用している患者に対し、医師が継続的な指導・管理を行った場合に算定する診療報酬で、「1」と「2」に区分されています。


・指導管理料1:主に心不全に伴う中枢性睡眠時無呼吸に対するASV療法など、重症・高リスク症例を対象

・指導管理料2:閉塞性睡眠時無呼吸を含む、より広い在宅CPAP/ASV療法を対象


令和8年度(2026年度)の診療報酬改定においては、「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の減額」および「持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の新設」等の見直しが行われております。

【在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1の対象患者】

指導管理料1は、心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸を主な対象とし、次のいずれかに該当する症例です。


1.慢性心不全患者で、

・医師の判断により NYHA III度以上

・睡眠中にチェーンストークス呼吸を認める

・無呼吸低呼吸指数(AHI:1時間あたりの無呼吸+低呼吸)が20以上であることが、睡眠ポリグラフィー(PSG)で確認されている


2.CPAP療法を実施しても AHI が15以下まで改善しない症例に対して、ASV療法を実施している場合

心不全重症度(NYHA III以上)とチェーンストークス呼吸、PSGでのAHIが重要な判断要素となります。


【在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の対象患者】

指導管理料2は、より広範な睡眠時無呼吸症候群を対象としており、以下のいずれかに該当する症例です。


1.慢性心不全患者のうち、

・医師の診断で NYHA III度以上

・睡眠時チェーンストークス呼吸を認める

・PSG において AHI 20以上を確認しつつ、指導管理料1の対象には該当しないが、ASV療法を実施している場合


2.心不全症例のうち、日本循環器学会・日本心不全学会の「ASV適正使用に関するステートメント」に留意しつつ、ASV療法の継続がやむを得ないと判断される場合


3.次の(イ)〜(ハ)をすべて満たす患者

※AHIが40以上の症例では、(ロ)の要件を満たせば対象となる。

(イ)AHI(1時間あたりの無呼吸+低呼吸)が20以上

(ロ)日中の過度の眠気、起床時頭痛などの自覚症状が強く、日常生活に支障をきたしている

(ハ)PSG上、頻回の睡眠時無呼吸により

・睡眠の分断化

・深睡眠の著しい減少または欠如を認めるが、持続陽圧呼吸療法導入により、

・睡眠分断が消失

・深睡眠が出現

・睡眠段階が正常化

することが確認される症例

重症OSAで、CPAP導入によりPSG上明確な改善が得られる症例が典型的な対象です。


【重要】2026年度(令和8年度)診療報酬改定に伴う無呼吸低呼吸指数の基準の見直し

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の算定要件(3)ウにおける無呼吸低呼吸指数の基準は、改定により以下の通り見直されています。

区分改定前改定後
(イ)無呼吸低呼吸指数の下限20以上15以上
ただし書きの閾値AHI 40以上で(ロ)を満たせば対象AHI 30以上で(ロ)を満たせば対象

3.在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の算定要件

指導管理料1・2に共通する主な算定要件は次の通りです。


1.機器の貸与

持続陽圧呼吸療法装置は、算定を行う保険医療機関が患者に貸与すること。


2.継続算定のための評価

指導管理開始後1~2か月間の治療状況を評価し、

・装着時間

・AHI の改善状況

・自覚症状の変化

などから、当該療法の継続が適切であると認められる症例のみ、引き続き算定対象とする。


【新設】指導管理料2:1日平均使用時間が1時間未満の場合の算定不可

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の算定要件として、次が追加されております。

(3)のウの要件に該当する患者であって、CPAP療法を実施している睡眠時無呼吸症候群の診断が得られている入院中の患者以外の患者については、使用時間等の着用状況、無呼吸低呼吸指数等がモニタリング可能な機器を活用した上で、当該指導管理を実施する月の前月から数えて3月の間、すべての月で1月当たりの1日平均使用時間が1時間未満である場合には、当該指導管理料を算定しないこと。

なお、この場合であっても、在宅療養指導管理材料加算は算定できる。

4.2026年度(令和8年度)の改定内容

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料について、以下のような見直しが行われました。


【改定後の点数】

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1:2,250点

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2:240点

改定のポイントは次の2点です。


・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の減額

旧:250点 → 新:240点

モニタリング体制などの整備がない場合は、単純に「10点の減額」となります。


・新設の加算による再評価

後述する「持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算」(15点)が新設され、体制を整えた医療機関では、240点+15点=255点 と、改定前(250点)を上回る評価が可能となりました。

5.新設:持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の概要

2026年度(令和8年度)改定で新設されたのが、「持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算」です。これは、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2を算定する医療機関のうち、一定のモニタリング体制を備え、適切な指導管理を行っている場合に評価する加算です。

告示上の規定は次のような内容です。

「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2 240点」

「2について、別に厚生労働大臣が定める基準を満たす場合は、持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算として15点を所定点数に加算する。」


【点数】

・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2:240点

・持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算:15点(指導管理料2に加算)


したがって、施設基準を満たす場合、

240点 + 15点 = 255点

として評価されることになります。


加算の算定要件

持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の算定に当たっては、当該保険医療機関においてCPAP療法の指導管理を実施している入院中の患者以外の全ての患者について、使用時間等の着用状況、無呼吸低呼吸指数等をモニタリングした上で、CPAP療法の1日平均使用時間を診療録に記載すること。


加算の施設基準

(六の四の三 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の施設基準)のうち、本加算に関する部分は次の通りです。                                   

(1) 当該保険医療機関においてCPAP療法の指導管理を実施している入院中の患者以外の全ての患者について、使用時間等の着用状況、無呼吸低呼吸指数等がモニタリング可能な機器を活用して、定期的なモニタリングを行っていること。
 
(2) 当該月の直近3月以内において、当該保険医療機関がCPAP療法の指導管理を行う入院中の患者以外の患者の延べ管理月数に占める、CPAP療法の1日使用時間が4時間以上の日が20日以上である管理月数の割合が4割以上であること。
(厚生労働省 通知より一部抜粋)


要約すると、

・CPAP/ASV機器の使用時間等をモニタリング可能な体制を有すること

・取得した情報をもとに、適切な指導管理(装着指導、生活指導、設定見直し等)を行っていることが、本加算の必須条件となります。

6.まとめ

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定前後での評価の違いとして、

改定前(指導管理料2のみ):250点

改定後では

・モニタリング体制未整備:240点(10点減)

・モニタリング体制整備+加算算定:240点+15点=255点(5点増)

となります。


・体制を整えない場合:そのまま減額

・体制を整えた場合:減額を上回る加算で「実質的な評価アップ」

という二極化が生じる設計になっていますので、現状、「持続陽圧呼吸療法機器の使用時間等をモニタリング可能な体制」を十分に整えていない医療機関に対しては、早期の体制構築を推奨します。


また、「今後はデータに基づく在宅管理を標準化すべきである」というメッセージでもあります。
CPAP患者を一定数以上抱える医療機関ほど、今回の加算を契機に、モニタリング体制の整備を前向きに検討されることをお勧めします。


この記事が今後の医院経営にお役立てできれば幸いです。

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