医療偏在対策につながる診療報酬上の措置の検討について
本記事は「医療偏在対策につながる診療報酬上の措置の検討(財務省 持続可能な社会保障制度の構築より)」について、取締役の尾崎が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。
<目次>
1.今後の主な改革の方向性
- 病院と診療所では経営状況や費用構造等が異なることを踏まえたメリハリある改定の実施
- 地域での全人的なケアの実現に資する報酬体系の見直し
- 診療ガイドラインに基づく適切な疾病管理を踏まえた診療報酬の在り方の見直し
- 医師偏在対策につながる診療報酬上の措置の検討
- リフィル処方箋の一層の利用促進に資する診療報酬上の対応
引用:財務省 持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)
今回は医療偏在対策につながる診療報酬上の措置の検討について詳しくみていきます
2.地域別単価の導入について
診療所が集中している「診療所過剰地域」においては診療単価1点10円から引き下げる案が提示されました。
〇医師の地域間、診療科間、病院・診療所間の偏在を是正するための経済的インセンティブとして、地域別診療報酬の仕組みの活用を検討する必要がある。
〇具体的には、診療報酬点数×1点当たりの単価(10円)となっている診療報酬について、診療所不足地域と診療所過剰地域で異なる1点当たり単価を設定することが考えられる。
引用:財務省 持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)
改革の方向性としては、
〇医師偏在是正対策として、地域別診療報酬の仕組みを活用し、報酬面からも診療所過剰地域から診療所不足地域への医療資源のシフトを促していくべき。なお、当面の措置として、診療所過剰地域における1点当たり単価(10円)の引下げを先行させ、それによる公費の節減効果を活用して医師不足地域における対策を別途強化することも考えられる。
引用:財務省 持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)
とされています。
3.過剰サービスの適正化
特定診療科が集中した地域や特定過剰サービスに該当し、かつ成果や効果が良好と言えない診療所に対しても診療報酬の減算措置の導入を検討するようです。
〇医師偏在対策のための経済的インセンティブについては、新たな診療報酬改定上のディスインセンティブ措置を組み合わせることが有効。このことは、メリハリの効いた政策誘導という観点のみならず、医師少数区域への財政支援を継続的に実施していくに当たり、国民負担を軽減する観点からも重要。具体的には、客観的な基準に照らして、ある地域の特定の診療科に係る医療サービスが過剰であると判断される場合には、需要の掘り起こしが発生しているとみなし、当該医療サービスを「特定過剰サービス」として減算の対象とすることが考えられる。
〇ただし、一律の減算は必ずしも適当ではないと考えられることから、特定過剰サービスを対象とした(診療科ごとの)アウトカム指標を設定・評価した上で、当該評価においてアウトカムが良好と判定された場合には、付加価値を適正に生んでいるとみなし、当該減算措置の対象から除外するといったことも考えられる。なお、「かかりつけ医機能」やNDBデータをアウトカム指標の設定・評価に活用することも考えられる。
〇また、「特定過剰サービス」単位ごとに見た医療費について、例えば対前年度から大幅に延伸するなど、一定の「基準額」を超過した場合には、アウトカム指標を満たさない医療機関を中心に、超過額の保険償還分を精算するといった仕組みを併せて導入することも検討の余地がある。
引用:財務省 持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)
改革の方向性としましては、
〇実効性ある医師偏在対策のためには、診療報酬上のディスインセンティブ措置が不可欠。適切なアウトカム指標導入とセットで、「特定過剰サービス」に対する減算措置を導入すべき。また、「特定過剰サービス」に係る保険給付については、アウトカム指標に応じた減算措置に加え、各年度の「基準額」を超過した場合の精算措置の導入についても検討すべき。
引用:財務省 持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)
とされています。
この記事が今後の医院経営にお役立てできれば幸いでございます。
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