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2024.02.29

医療情報取得加算(旧:医療情報・システム基盤整備体制充実加算)について【2024年6月更新】

本記事では「医療情報取得加算(旧:医療情報・システム基盤整備体制充実加算)」について、クレドメディカルの西山が医師の為に記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

<目次>

  1. 医療情報取得加算(旧:医療情報・システム基盤整備体制充実加算)とは
  2. 2024年度(令和6年度)診療報酬改定での見直しポイント
  3. 医療情報取得加算の算定要件(変更点)
  4. 医療情報取得加算の施設基準(変更点)
  5. 医療情報取得加算の疑義解釈
  6. まとめ

 

1. 医療情報取得加算(旧:医療情報・システム基盤整備体制充実加算)とは

 

医療情報取得加算とは診療報酬改定で医療情報・システム基盤整備体制充実加算の新たな名称です。
この名称変更は2024年度(令和6年度)診療報酬改定において行われました。

【初診時】
医療情報取得加算1・・・3点(月1回)
医療情報取得加算2・・・1点(月1回)
【再診時】
医療情報取得加算3・・・2点(3月に1回)
医療情報取得加算4・・・1点(3月に1回)

 

2. 2024年度(令和6年度)診療報酬改定での見直しポイント

 

これまでの診療報酬改定ではオンライン資格確認等システムの導入の原則義務化に向けた体制整備に係る評価が設けられていましたが、2024年度(令和6年度)診療報酬改定からはオンライン資格確認等システムの導入が原則義務化されたことを踏まえて、体制整備に係る評価から、初診時等の診療情報・薬剤情報の取得・活用にかかる評価へ、評価の在り方が見直されました。

 

3. 医療情報取得加算の算定要件(主な変更点)

 

医療情報加算の算定要件において、医療情報・システム基盤整備体制充実加算の算定要件から変更のあった箇所は以下になります(主に下線部の部分)。

 

【初診に関する算定要件】

 

旧:医療情報・システム基盤整備体制充実加算の算定要件

 

初診に係る十分な情報を取得する体制として別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して初診を行った場合は、医療情報・システム基盤整備体制充実加算1として、月1回に限り4点を所定点数に加算する。

 

ただし、健康保険法第3条第13項 に規定する電子資格確認により当該患者に係る診療情報を取得等した場合又は他の保険医療機 関から当該患者に係る診療情報等の提供を受けた場合にあっては、医療情報・システム基盤整 備体制充実加算2として、月1回に限り2点を所定点数に加算する。

 

新:医療情報取得加算の算定要件

 

別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して十分な情報を取得した上で初診を行った場合は、医療情報取得加算1として、月1回に限り3点を所定点数に加算する。
ただし、健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により当該患者に係る診療情報を取得等した場合又は他の保険医療機関から当該患者に係る診療情報等の提供を受けた場合にあっては、医療情報取得加算2として、月1回に限り1点を所定点数に加算する。

 

【再診に関する算定要件】

 

旧:医療情報・システム基盤整備体制充実加算の算定要件

 

再診に係る十分な情報を取得する体制として別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して再診を行った場合は、医療情報・システム基盤整備体制充実加算3として、月1回に限り2点を所定点数に加算する。
ただし、健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により当該患者に係る診療情報を取得等した場合又は他の保険医療機関から当該患者に係る診療情報の提供を受けた場合にあっては、この限りでない。

 

新:医療情報取得加算の算定要件

 

別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して十分な情報を取得した上で再診を行った場合は、医療情報取得加算3として、3月に1回に限り2点を所定点数に加算する。ただし、健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により当該患者に係る診療情報を取得等した場合又は他の保険医療機関から当該患者に係る診療情報の提供を受けた場合にあっては、医療情報取得加算4として、3月に1回に限り1点を所定点数に加算する。

 

医療情報取得加算では、初診・再診共にオンライン資格確認等システムによって患者の十分な情報を取得することが算定要件に明記されました。
点数に関しては、初診時は算定できる点数が医療情報・システム基盤整備体制充実加算の時よりも減点された一方で、再診時は医療情報取得加算4として1点の加算が新たに設けられました。

 

4. 医療情報取得加算の施設基準(主な変更点)

 

医療情報取得加算の施設基準については、医療情報・システム基盤整備体制充実加算から医療情報取得加算への名称が変更された以外は、既存(医療情報・システム基盤整備体制充実加算)の施設基準と変更ありません。

 

5.医療情報取得加算の疑義解釈

 

医療情報取得加算に関する疑義解釈で主にクリニック(無床診療所)に関係する内容を抜粋してご紹介します*注1。

 

【疑義解釈(その1)より】

Q. 「A000」初診料の「注 15」、「A001」再診料の注 19 及び「A002」外来診療料の注 10 に規定する医療情報取得加算(以下単に「医療情報取得加算」という。)について、健康保険法第3条第 13 項に規定する電子資格確認(以下「オンライン資格確認」という。)により患者の診療情報等の取得を試みた結果、患者の診療情報等が存在していなかった場合の算定について、どのよう考えればよいか。

A. 医療情報取得加算2又は医療情報取得加算4を算定する。

 

Q. 医療情報取得加算について、患者が診療情報等の取得に一部でも同意しなかった場合の算定について、どのように考えればよいか。
また、マイナ保険証が破損等により利用できない場合や患者の個人番号カードの利用者証明用電子証明書が失効している場合の算定は、どのようにすればよいか。

A. いずれの場合も、医療情報取得加算1又は医療情報取得加算3を算定する。

 

Q. 医療情報取得加算について、情報通信機器を用いた診療を行う場合であっても算定できるのか。

A. 居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムを活用することで、当該加算を算定できる。
なお、情報通信機器を用いた診療において、オンライン資格確認を行うに際しては、事前準備として、次の点について留意すること。
・ あらかじめ、保険医療機関又は保険薬局において、オンライン資格確認等システムにおいて「マイナ在宅受付 Web」の URL 又は二次元コードを生成・取得すること等が必要であること。
・ 患者において、自らのモバイル端末等を用いて二次元コード等から「マイナ在宅受付 Web」へアクセスし、マイナンバーカードによる本人確認を行うことで、オンライン資格確認が可能となり、薬剤情報等の提供について、同意を登録すること可能となること。

 

(参考)「訪問診療等におけるオンライン資格確認の仕組み(居宅同意取得型)の実施上
の留意事項について」(令和6年3月 21 日保連発 0321 第1号・保医発 0321 第9号)
https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0010235

 

Q. 「A000」初診料の注 15 に規定する医療情報取得加算1又は2について、別紙様式 54 を参考とした初診時問診票は、「A000」初診料を算定する初診において用いることでよいか。

A. よい。その他小児科外来診療料、外来リハビリテーション診療料、外来放射線照射診療料、小児かかりつけ診療料及び外来腫瘍化学療法診療料を算定する診療においても、医療情報取得加算1又は2を算定するときには、別紙様式 54 を参考とした初診時問診票を用いること。

 

Q. 医療情報取得加算1又は2について、初診時問診票の項目について別紙様式 54 を参考とするとあるが、当該様式と同一の表現であることが必要か。また、当該様式にない項目を問診票に追加してもよいか。

A. 別紙様式 54 は初診時の標準的な問診票(紙・タブレット等媒体を問わない。以下「問診票」という。)の項目等を定めたものであり、必ずしも当該様式と同一の表現であることを要さず、同様の内容が問診票に含まれていればよい。
また、必要に応じて、当該様式にない項目を問診票に追加することも差し支えない。
なお、患者情報の取得の効率化の観点から、オンライン資格確認により情報を取得等した場合、当該方法で取得可能な情報については問診票の記載・入力を求めない等の配慮を行うこと。

 

Q. 医療情報取得加算1又は2について、初診時問診票の項目について別紙様式 54 を参考とするとあるが、令和6年6月1日より新たな問診票を作成し使用する必要があるか。

A. 必ずしも新たな問診票を作成することは要しないが、別紙様式 54 に示された問診票の項目等が、医療機関において既に使用している問診票に不足している場合は、不足している内容について別紙として作成し、既に使用している問診票とあわせて使用すること。

 

Q. 「A001」再診料の注 19 及び「A002」外来診療料の注 10 に規定する医療情報取得加算3及び4について、「算定に当たっては、他院における処方を含めた薬剤情報や必要に応じて健診情報等を問診等により確認する。」とあるが、再診時にすべての項目について問診を必ず行う必要があるのか。

A. オンライン資格確認により情報が得られた項目については、省略して差し支えない。

 

【疑義解釈(その2)より】

Q. 「A001」再診料の注 19 及び「A002」外来診療料の注 10 に規定する医療情報取得加算3及び4について、「A000」初診料の注 15 に規定する医療情報取得加算1又は2を算定した月に、再診を行った場合について、算定できるか。
また、医療情報取得加算1又は2について、医療情報取得加算3及び4を算定した月に、他の疾患で初診を行った場合について、算定できるか。

A. いずれも算定不可。

 

Q. 医療情報取得加算1及び2について、同一の保険医療機関において、同一月に、同一の患者について、他の疾患で初診料を2回算定した場合について、医療情報取得加算1又は2を2回算定できるか。

A. 算定不可。

 

Q. 医療情報取得加算3及び4について、それぞれ、3月に1回に限り所定点数に加算することとされているが、同加算3を算定する患者につい、3月以内に同加算4は算定可能か。
また、同加算4を算定する患者について、3月以内に同加算3は算定可能か。

A. いずれも算定不可。医療情報取得加算3又は医療情報取得加算4のいずれかを3月に1回に限り算定できる。

 

※注1:医療情報取得加算の内容は令和6年6月20日時点「疑義解釈(その9)」までの情報となります。
疑義解釈その3~9には主にクリニックに関する医療情報取得加算の記載がなかったため、本コラムに記載しておりません。
疑義解釈資料の最新情報は以下のURLよりご確認いただけます。
参考資料:厚生労働省HP「令和6年度診療報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html

 

 

6.まとめ

 

2024年度(令和6年度)診療報酬改定において名称が変更された「医療情報取得加算」について、これまでの「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」から変更があった部分に焦点を当てて解説をいたしました。

 

医療情報取得加算は、オンライン資格確認等システムを導入していることを前提に初診時等の診療情報・薬剤情報の取得・活用にかかる評価を目的に、既存の医療情報・システム基盤整備体制充実加算の内容が見直され、名称が変更された算定項目です。
医療情報・システム基盤整備体制充実加算では患者の情報を収集する体制が整備していることで算定可能でしたが、医療情報取得加算では患者の情報を十分に取得していることが算定要件になっておりますのでご注意ください。

 

診療報酬改定で変更がなかった算定要件や施設基準については、下記のリンクより過去のコラムをご参照頂けますと幸いです。
https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/10020/

 

 

本コラムが少しでもお役に立ちましたら幸いです。

 

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