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2023.11.01

訪問診療と往診 在宅医療の診療報酬とは【2024年6月更新】

本記事は「訪問診療と往診の違いとそれぞれの診療報酬」について、経営コンサルタントの武田が医師のために記載した文書です。
より詳しく知りたい先生はこちらからお問い合わせください。

 

 

〈目次〉

  1. 在宅医療とは ~訪問診療と往診の違い~
  2. 在宅医療の基本の診療報酬 ~在宅患者訪問診療料と往診料~
  3. まとめ

令和5年版の高齢社会白書が内閣府から公表されました。
それによりますと、高齢化率(65歳以上の人口割合)は29.0%となり、地域別に見ると、最も低い東京都で22.8%、最も高い秋田県は38.6%とすでに3人に1人以上が65歳以上であるという結果でした。
また厚生労働省が公表した介護保険事業状況報告によりますと、要介護(要支援)認定者の数は703万人にも上り、日本では在宅医療の需要が高まってきていることが分かります。

 

1. 在宅医療とは ~訪問診療と往診の違い~

 

在宅医療である「訪問診療」と「往診」の違いは何か?という質問をよくお聞きします。

 

医療は、患者さんが医療を受ける場所・施設によって以下の3つに分けられます。
・入院医療:病院で入院をして受ける医療
・外来医療:病院やクリニックに通って受ける医療
そして今回、記載するのは
・在宅医療:自宅や施設で受ける医療

 

在宅医療の中でも医師が患者さんの自宅や施設に行き、そこで行う診療を「訪問診療」と「往診」と言います。

 

訪問診療
あらかじめ計画された日時に患者さんの所に行き、診療を行うことを訪問診療と言います。
病気や傷病のために通院が困難である患者さんに対し、毎週○○曜日の□□時というように計画を立て、1~2週間に1回の割合で、定期的に訪問を行い、診察・処置・薬の処方・相談・管理指導などを行います。
そのため治療は疾病進行の予防、維持が主となり、長期の継続的な治療を行います。

 

往診
患者さんの病状が悪化したなど、医師が必要であると判断した場合に緊急でその患者さんの所に行き、診療を行うことを往診と言います。
突発的で急用な場合に対し、救急車を呼ぶほどではない時においてかかりつけとしていつも診てもらっている医師に診療を要請するというもので、基本的には臨時の診療です。
治療も対症療法や看取りが主となり、1回ずつの短期の治療となります。

 

2. 在宅医療の基本の診療報酬① ~在宅患者訪問診療料と往診料~

 

在宅医療の診療報酬の構成は、
・基本診療料:初診料や再診料など
・在宅患者診療、指導管理料:在宅患者訪問診療料往診料、在宅患者医学総合管理料など
・薬剤料:注射や薬など
・その他:診療情報提供料・検査料・居住療養管理指導料など
に分けられます。

 

今回は在宅医療の基本の診療報酬である、在宅患者訪問診療料と往診料について記載させていただきます。

 

在宅患者訪問診療料(I)
訪問診療における診療の報酬のメインとなる点数となります。

 

在宅患者訪問診療料1
・同一建物居住者以外の場合:888点
・同一建物居住者の場合  :213点

在宅患者訪問診療料2
・同一建物居住者以外の場合:884点
・同一建物居住者の場合  :187点

※「同一建物居住者」に関して
ある医療機関がある同じ日に,同じ建物で患者を2人以上に対し訪問診療を行った際に「同一建物居住者」とされます。

 

※有料老人ホーム等に併設される保険医療機関が、当該施設に入居している患者に対して、訪問診療を行った場合には、基本的に在宅患者訪問診療料(II)150点の算定となります。

 

対象の患者さんは自分で通院ができない患者さん、また長期的な医学管理が必要な患者さんで、“計画的な訪問”が必要となります。
算定の回数は1日につき1回の算定を行い、原則は週3回までとなります。
しかし患者さんの急性増悪などにより週3回以上の訪問が必要であると判断された場合は1月に1回に限り14日間の訪問と14日を限度とした算定が可能です。
また初診料・再診料はこの在宅患者訪問診療料に包括されるため算定はできません。

 

訪問診療は長期継続的な治療を主な目的とするため、往診料にはない特徴としては
・看取り加算:訪問診療により在宅で患者を看取った場合に3000点を算定可能
・在宅ターミナルケア加算;死亡日前の14日間で2回訪問診療をした際に3500点~6500点算定可能
(※施設基準届出・患者区分により異なる)
の2つの加算があります。

 

●往診料
往診における診療の報酬のメインとなる点数となります。

 

・往診料:720点

 

対象の患者さんは在宅患者訪問診療料とは異なり身体的な条件はありません。
患者さんが往診を希望し、医師が往診を行った場合に算定することができます。
算定の回数は1回の診療につき1回の算定ができます。回数の制限はなく、1日に2回以上の算定も可能です。
また往診料は初診料・再診料も同時に算定することができます。

 

さらに
・緊急往診加算:標榜時間内であっても外来診療を止めて訪問した場合に325点~850点算定可能
・夜間・休日往診加算:午後6時~午後10時に訪問した場合に405点~1700点算定可能
・深夜往診加算:午後10時~午前6時に訪問した場合に485点~2700点算定可能
などの加算を算定することができます。

 

在宅患者訪問診療料と往診の2つに共通する条件として
・患者さんの居住地は該当する医療機関から16㎞まで
・患者さんの自宅で医師が滞在するのは1時間まで
という条件があります。

 

これを超える場合はそれぞれ
・患家診療時間加算
・離島僻地加算 などの点数が算定可能となります。
しかし半径16㎞圏を超える場合は絶対的な理由を求められ、患者さんの希望では認められない場合もあるので注意が必要となります。

 

3. まとめ

 

ここまで訪問診療と往診、在宅患者訪問診療料と往診料に関して説明させていただきました。
少しまとめさせていただきます。

・在宅医療の中で計画的に、長期継続的に行う診療が訪問診療
・在宅医療の中で臨時的に、対症療法的に行う診療が往診

・自力での通院ができず、計画的な治療必要と判断されたときに訪問での診療を行った場合に算定できる点数が在宅患者訪問診療料
・患者さんが希望し、医師が診療の必要があると判断したときに往診を行った場合に算定できる点数が往診料

冒頭でも述べました通り、今後は高齢化率が高くなり、併せて在宅医療の需要が高まります。
今後も診療報酬改定の動向を確認しつつ、1つの経営の柱としての在宅医療へのアンテナをはっておく必要があります。

 

この記事が今後の医院経営にお役立てできれば幸いでございます。

 

 

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