そこで今回は、患者さんが「体感する」待ち時間を
短くするための方法をご紹介いたします。

そもそも患者さんが体感する待ち時間を「長い」と感じる場合は
「待ち時間を不快に感じている」場合です。では、どのような時に「不快」に感じるのか?
それは以下の3パターンです。

(1)受付から診療開始までの時間が長い(目安:30分以上)
(2)待ち時間が手持ち無沙汰である
(3)診察終了後から会計までの時間が長い(目安:10分以上)

この3パターンに対しての解決方法をそれぞれお伝えしてまいります。

 

(1)受付から診療開始までの時間が長い(目安:30分以上)

こちらに該当する医院の多くは「予約システム」を導入していない医院でしょう。
予約システムを導入していない医院は近年導入する医院が増えておりますので、
早期の導入を推奨いたします。

一方、予約システムを導入していても、この悩みが発生している医院では
予約システムの利用率が50%を下回っている場合でしょう。
自院での利用率がまずはどの程度なのかを各システム会社にお問い合わせの上、把握してください。
その上で目標予約率を設定し、受付時・会計時において患者さんに予約システムの長所を訴求して、
予約システムの利用をPRするべきです。

 

(2)待ち時間が手持ち無沙汰である

ここ数年は待ち時間にスマートフォンを操作して待ち時間を過ごしている方が目立ちますが、
医院側としても準備できるものは準備しておいた方が良いでしょう。
具体的に紹介いたしますと、2つあります。

◇ 情報発信

こちらはモニターを使用しての院内動画やお役立ち情報の院内掲示等が良いでしょう。
院内動画であれば、自院の治療方針はもちろん、予約システムの使用方法、
小さいお子様の介助方法など発信できる情報は多岐に渡ります。
ただ、モニターを待合室に設置されていない医院であれば、院内掲示になりますが、
その場合は発信する情報を厳選することをお勧めいたします。

掲示する情報としては「患者さんからよく聞かれる質問」として

  • 予約システムの使用方法
  • 小さいお子様の予防接種の可否
  • 入浴方法について

といった診察室中でふと聞かれる内容をポスター形式で掲示しておくことで
患者さんへ安心感を訴求しながら、診察時の効率化を図ることができます。

◇ 雑誌の設置

定期的な入れ替えや衛生面の課題から雑誌の設置に関しては先生のご方針によるところかと存じます。
雑誌を設置する方針を取られている場合ですと、お子様が多い医院であれば、
お子様の読み物(絵本etc.)はもちろん保護者であるお母様が読みやすい雑誌も設置しておくべきです。

女性向け雑誌は年齢別に幅広く発刊されていますので、20代前半・20代後半、30代前半・30代後半、
40代以上と上記の5つの年齢別に応じた雑誌は設置しておくことをお勧めしております。
特に20代~30代のお母様にはお子様との着回しコーディネイトなどが特集されている雑誌の人気が高いです。

ここで多くの院長先生から「水は設置した方が良いですか?」と聞かれることがありますので、
その点について触れますと、回答は「どちらでも良いです。」とお答えしております。
ウォーターサーバーの設置に関しては、患者さんからのご要望は多いので満足度は上がりますが、
それを以てリピート率の向上や増患に直結することはほぼございません。
また、水の補充や管理といった衛生面の対応が求められるので、
「院長先生がかなり前向きな場合」を除いて、特にお勧めはしておりません。

 

(3)診察終了後から会計までの時間が長い(目安:10分以上)

今回お伝えしたポイントの中でも「会計待ち時間」に関しては、最も患者さんが不快に感じる待ち時間です。
(1)や(2)は「医師の診療」を待つ時間ですので、患者さんはまだ待つことができます。
ただ、(3)に関しては患者さんにとって「帰宅すること」を待つ時間です。
その為、会計速度が遅い医院では解決すべきミッションとして、最優先に着手すべき課題です。

会計が遅くなる原因として診療現場でよく見受けられることは下記の2点です。

・診察室から会計スペースへのカルテ運搬が遅い
この場合、手すきになりやすいメンバーがカルテを運搬することを最優先に考えていただく事でしょう。

・会計スペースに未処理のカルテが溜まっている
この場合、手すきになりやすいメンバーが会計を救援することが良いでしょう。

手すきになりやすいメンバーはクリニックによって異なりますので、
スタッフと一度しっかり話し合って、どのポジションが最適かを話し合うことが良いでしょう。
尚、会計の救援に関しては、“5枚以上たまった場合は救援をメンバーに求める”といった
数値を含んだ具体的ルールも設けておいた方が良いでしょう。

 

自院が今、どのような状況かを客観的に把握していただくことで、
取り組めていないものを1つでも多く取り組んでいただければ幸いです。