このガリガリ君を取り上げたのは、このブランド自体の販売戦略が非常に興味深く、医院経営の永続性を考える上で役立つかもしれないと考えたからです。

 

そもそも、このガリガリ君、
メインはソーダ味のかき氷状のアイスキャンディーですが、味そのものも、勿論美味しくはあるのですが、唸るほどの美味しさという訳ではありません。

 

では、なぜこんなにも息の長いヒット商品となり得たのでしょうか?

 

このガリガリ君は、味の基本や価格帯はあまり変えず、様々なプロモーション(販売促進)や消費者への喚起を継続的に実施することにより、人々から忘れられることなく、今日でも消費者に選ばれるロングセラーとなったのです。

 

具体的にガリガリ君が行った過去の販売促進例をいくつかあげると、

 

  • 発売当初、販路を大手に抑えられていた為、大手がまだ力を入れていなかったコンビニに重点を置き、コンビニの隆盛と共に売上を伸ばした。
  • ソーダ味以外にも様々なフレーバーを用意し、ソーダ味を基軸にしながら販売フレーバーを変化させ、その時代に合わせ飽きられない工夫を続けている。
  • 発売開始から約20年後、売り上げが停滞した際に大規模消費者調査を実施し、ガリガリ君への消費者の抱くイメージが良いものではないことを受け止めキャラクターデザインの変更や合成着色料の使用をやめるなど、商品の抜本的なリニューアルを実施した
  • 他業種(玩具メーカーや気象予報会社)にキャラクターを貸し出したり、タイアップを行うなど積極的なブランディング展開を実施し、商品そのものを常に消費者に想起させる努力を続けている。

 

といった具合です。

 

・・・では、これが医院経営と何の関係があるのか?

 

実は医院経営とガリガリ君は似たものとして考えることができるのです。

 

ガリガリ君が40年近くもの間、アイスキャンディーという本質は変えずに様々な取り組みを経て現在があるように、医院経営も外部環境の変化に対応してゆきながらやはり様々な取り組みを行っていく必要があります。

 

ガリガリ君が行ってきた販促活動を医院経営に当てはめるなら、

 

  • 近隣には既に競合がいくつかあり、近隣からの来院が期待できなかったのでホームページに力を入れて広域からも患者さんに来て頂いた
  • 従来の診療をメインにしながらも、時代のニーズに合わせて新たに専門外来を立ち上げた。また、患者さんに楽しんで頂けるよう、毎月院内の飾り付けを変えるようにした。
  • 開業して20年、患者満足度調査を行ったところ、院長やスタッフの挨拶がそっけないという指摘が多いことがわかり、従業員一同で接遇の講習を受講し、改善を行った。
  • 地域の信頼できる他科の先生方と連携し、患者さんを紹介しあえる仕組みを作り、互いに案内しやすいように全員の顔写真やコメント、医院の所在地が記された1冊のリーフレットを共同で作成した

 

などでしょうか?

 

医療の本質を大切にしながら、自院が患者さんに忘れられないような取り組みを継続して実行するか否かで、その後の未来が大きく変わってくるはずです。

 

ガリガリ君の販促活動をそのままやっても直接的な効果は望めませんが、
これまでトップを走り続けてきたその姿勢には先生方も学べるものが多いような気が致します。