もちろん、先生方だけではなく、
スタッフのモチベーションにも
影響が出てきているクリニックも少なくないと思います。
耳鼻咽喉科の医院経営ではどのような環境下でもスタッフがモチベーションを高め、
率先して仕事に取り組める環境作りが必要です。

そこで、スタッフが自分の感情を上手くコントロールできるために
院長先生ができる工夫についてご紹介せていただきます。

そもそも、なぜ感情をコントロールできない状態が発生するのでしょうか。
その理由の一つに精神的なゆとりが影響していることが考えられます。
精神的なゆとりを持っているのとそうでないのとでは、どれくらい感情に差が出てくるのでしょうか。

これは陸上競技の100m走に例えることができます。
例えば、スタートダッシュが成功すると「最後まで走り切れる」と感じ、
気分が乗ってくるのではないでしょうか。
一方、スタートダッシュが出遅れると、挽回するために強い精神力が必要となります。
つまり、精神的にゆとりがない状態に陥る可能性が出てくるということです。
このような精神的にゆとりがない状態をいかに作らないかが感情をコントロールする上では重要です。

 

例えば、スタッフの教育で「わからないことがあればすぐに確認しなさい」と言う場面があります。

では、なぜスタッフはわからないことをすぐに確認しないのでしょうか。

もちろん、
・やる気がない ・根性が足りない
などと思っている先生方もいらっしゃると思います。

確かに、精神論も大事な話ですが、
本当は「聞きたくとも聞く余裕がなかった」と思っているスタッフも少なくないようです。
このように精神的にゆとりのない状態が続けば、自分自身が疲弊し、
感情をコントロールできなくなってしまいます。

つまり、「気合いや意志力だけで、自分の感情をコントロールしているのではない」ということです。
もちろん、仕事でストレスがゼロになることは困難でしょう。

人間は時間の経過を忘れてしまうほど何かに夢中になる、
嬉しい気持ちがあるとワクワクして行動を促しやすくなります。
一方、ストレスが溜まり、イライラしたり、落ち込んだりすると
感情のコントロールが難しくなり、何もしたくなくなります。
つまり、楽しい時にはゆとりが生じ、つらい時にはゆとりがない状態であるということ。

すなわち、仕事にすぐにできるかどうかは精神的なゆとりの有無が関係している可能性があるということです。
そのため、スタッフがゆとりを持つことができるようになることは、マネジメントで大事な点と言えるでしょう。

では、ゆとりを持つためには何をすればいいのか?

 

まずはスタッフが感情をため込まず、吐き出す習慣を身に着けてもらうことが大事です。

そのためには、業務終了後に、スタッフが一日を振り返り、
その日に感じたことを「紙に書き出す」ことが有用な対策の一つです。
これはエクスプレッシブ・ライティングと言います。

例えば、ストレスを感じ自分に余裕がない時を考えます。
ストレスのほとんどは、「自分をよく見せよう」「自分の感情を抑えよう」と思った時に起こりがちです。
毎日、仕事が終わった後や寝る前に、自分の感情を書き出すだけで、
メンタルが強くなり、ストレスを軽減する効果が期待できます。

紙に書く内容はネガティブに思っていることや不安に思っていることだけでなく、
思いついたことをそのまま書きましょう。
中には誰かに話したいという人も多いと思います。
しかし、人に話す場合、相手によく見られたいと思い、
本当のことを言わなかったり、嘘をついてしまったりします。

また、相手によって話す内容も変わるため、相談したからといって不安が消えることは期待できません。
また、書いたものは捨ててしまっても構いませんが、日付を記入しておくことをお勧めします。
それを見返すことで、本当はどうでもいいことであったり、大したことでなかったりすることも少なくありません。

私たちは不安になると、怖くなり、怒ると口が悪くなり、最悪の場合、手が出ることもあります。
このようになるのは、感情に自分が支配されているからです。感情は道具と思い、使いこなすことが大事です。

自分の頭の中にあるものを「紙に書きだす」ことで自分自身と少し距離を置き感情を見つめなおすことができます。
スタッフの感情のコントロールにお悩みになれているのなら、
一度、「紙に書く」ことを自院で取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

是非、耳鼻咽喉科の医院経営にお役立ていただけると幸いです。