それに伴い最近では、
従業員エンゲージメント」という言葉を
よく耳にするようになりました。

エンゲージメント」とは
一般的な労務関係の領域においては従業員から企業への

・愛社精神
・愛着心
・思い入れ

の意味合いで使われています。

従業員エンゲージメントが高いと、スタッフ一人ひとりが医院に愛着を持ち、
スタッフと医院が共に理解し、成長し、医院の目標に向かって
スタッフが自発的に自分の力を発揮することになります。

 

少し前までは
顧客満足度=CSの対比として従業員満足度=ESが重要だと言われていました。

従業員満足度とは

・労働環境
・上下関係を含む周囲の良好な人間関係
・福利厚生

など職場の居心地の良さ・待遇を表します。

従業員満足度が高いと、辞めにくく、長く働ける環境となりますが、
必ずしも医院の業績が伸びるわけではありません。

 

一方、従業員エンゲージメントが高いとスタッフの医院への帰属意識が高まり、
スタッフと医院の相互作用(貢献)が働き、医院の業績向上に影響を与えます。

コロナウイルス感染拡大のみではなく、働き方改革によっても
様々な働き方が認められ、終身雇用が崩れてきている現在において、
優秀な人材を雇用し、流出に歯止めをかけるためには
従業員エンゲージメント」を高める必要があります。

 

従業員エンゲージメント」は様々な項目が含まれているのですが、
対スタッフ向けでお伝えすると

・仕事に対してやりがいを感じられるか
・熱心に仕事に取り組むことができるか
・仕事を楽しみ、イキイキと働けるか など

が指標となります。

 

そしてこの従業員エンゲージメントはスタッフに試験を受けていただくことで
数値化することができますので、調査をする企業が増えています。

その調査の質問例を下記に記載します。

・職場で自分が何を期待されているのかを知っている
・この7日間のうちに、良い仕事をしたと認められたり、褒められたりした
・上司または職場の誰かが、一人の人間として気にかけてくれている

などがあります。

 

リーダーやスタッフは上記のような質問をされた時にどのような答えをするでしょうか。

 

スタッフさんからこんな声をきくことがあります。

「私が必要とされているかわかりません」
「ミーティングで意見を言っても院長先生が話を聞いてくれません」
「みんなで決めたことを院長先生はすぐに忘れたり、変えたりします」

 

このような医院では従業員エンゲージメントが高いとは言えません。
ではどのようにすれば従業員エンゲージメントを上げることができるのでしょうか。

キーワードは「褒めること、やりがい、成長」です。

 

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論を用いて簡単に説明すると、

仕事の満足感を引き起こす要因と
仕事の不満を引き起こす要因は異なり、「衛生(不満足を招く)要因」を改善して
仕事の不満を引き起こす要因を減らすことはできても
仕事の満足感を引き出すことはできない。

仕事の満足感を引き出すには「(仕事への)動機づけ要因」に
アプローチしなければならない。

ということです。

 

衛生要因とは給与や労働条件、福利厚生、人間関係などのことを指します。
これらは従業員の組織に対する不満を引き起こす要因を減らすために
改善する項目にあたります。(こちらも勿論重要です。)

 

一方で、動機づけ要因とは

<承認欲求>
自分は医院にとってかけがえのない存在だと認められる

<貢献欲求>
患者さん、医院のために役立っている

<成長欲求>
以前と比べ、できるようになった仕事がある

などの欲求を満たすことが大切です。

 

これらの欲求を満たすことで、仕事への満足感が高まり、
各個人のモチベーションがアップします。

従業員エンゲージメントを高めることで、
新型コロナウイルスなど外部環境の激しい変化、労働力人口の減少問題、
優秀な人材の採用難、離職などの問題へ少しでも立ち向かっていただければと考えます。