このように、同じ内容を問いかけていても、問いかけ方が変わることで、聞き手の見方が変わり、その結果、全く逆の選択をしてしまう現象を「フレーミング効果」と言います。

1日わずか30円と言われると、お得に感じられませんが、年間で1万円以上ならお得に感じます。

 

つまり、まったく同じものを見ていても、言葉の使い方や表現方法が異なるだけで、人間は異なった判断を起こしてしまうことが多々あるということです。

 

このフレーミング効果は医院経営でも活用することができます。
耳鼻科経営のマーケティングにおいては、以下のような工夫が可能です。

「耳鼻科でも風邪の診察ができます」
「風邪をひいたら、鼻吸いもできる耳鼻科へ」

後者の文章に好印象を抱かれる人が多く、風邪を引けば、鼻も吸ってもらえる耳鼻科へ行こうと促すことが期待できます。

このフレーミング効果を広告やマーケティングに活用することでお得感を演出し、増患を見込むことができるというわけです。

 

マネジメントの面でもフレーミング効果を活用することは可能です。
例えば、院長先生がスタッフに診療の効率化を目指し、「患者さんに1人当たりにかける診察時間を30秒短縮したい」と考えているとします。

すると、スタッフに「診療時間の延長を短くし、早く帰宅できるように、患者さん1人当たりの診療時間を30秒短くしよう」と伝えても、
正直なところ、スタッフはあまり有益性を見出せないと思います。

しかし、これを次のように伝えるのはどうでしょうか。

例えば、1日あたり午前70人、午後80人で1日150人の患者さんを診察しているとします。
1人あたりの診察時間を30秒短縮するとなると、150人×30秒=4,500秒すなわち1時間以上も診療時間を短縮することになります。

1. 1人あたり30秒診察時間を短くする
2. 診療時間が1時間以上短縮され、早く帰ることができる

この2つの文章のうち、好印象を抱くのは2の文章と答える人が多いのではないでしょうか。

どちらも同じことを言っていますが、人の心理は全く逆に働き、スタッフのモチベーションの向上につなげることが可能です。

このフレーミング効果を医院経営に取り組むことでマーケティングでは増患対策に、マネジメントではスタッフに上手に動いてもらうことが可能になるというわけです。

普段、何気なく口にしている言葉やHPや広告文で用いている表現方法にフレーミング効果をご活用いただき、医院経営にお役立ていただければ幸いです。