【1】治療の品質と患者負担額のバランス

患者さんの医院を選択する条件は「しっかりと治してくれるのか」が大前提となりますが、
「自分自身が診療に納得した上で治療を進めてもらうこと」です。

“納得した上で”というところがポイントです。

耳鼻咽喉科では、多くの患者さんを診なければならないという特性があります。

その為、ついつい「治療(検査、投薬)の説明を短めにしてしまう」ということはよくある状況です。

説明を長くし過ぎると診察終了時間に影響する、短くし過ぎると患者さんの不満につながる
というバランス感覚が極めて重要ですが、
【過不足のない説明】で患者さんに納得してもらう診療体制の構築が必要です。

 

またこれらの体制を充実させた上で患者負担額へのアンテナも重要です。

診断に必要だからといって、安易に検査を増やしてしまうと、患者さんの負担が多くなり、
「あそこのクリニックは高い」といった口コミが起きてしまいます。

また説明も淡泊だった場合も
「検査をしたが、あまり説明してくれない。ちょっと高いのでは?」
という疑心暗鬼に陥ってしまいます。

 

患者さんのニーズを正確にくみ取りながら、“納得してもらえる”治療を提供する為にも
治療の品質と患者負担額のバランスを意識していただくことが重要です。

 

【2】少ない待ち時間

待ち時間は大きく分けると2種類あります。

・「診療開始までの診療を待つ時間」

・「診療終了後からの会計を待つ時間」

 

「診療開始までの診療を待つ時間」に関しては、目安時間は30分以内です。

この目安時間を超えてしまうと「待ち時間が長い医院」のイメージを持たれてしまいます。

 

ただ、待ち時間に関しては「診療終了後からの会計を待つ時間」の方が重要と考えております。

なぜなら、診察開始までは「医師の診療開始」を待っているので少々待ち時間が長くとも待つことができますが、
診察終了後は「帰宅すること」を待っているからです。

その為、限りなく待ち時間を短くすることが必要です。

目安時間は3分以内です。

この時間短縮は診察終了後にカルテを会計担当に如何にスムーズに伝達するかがポイントです。

 

閑散期には患者さん役となって、スタッフに自院を受診していただき、
実際の待ち時間を把握してもらうとより具体的な解決策を立てることができるでしょう。

新型コロナウイルス感染症に伴い、より一層、待ち時間への意識が高くなっています。

極力待ち時間を減らしていけるよう、患者さん目線に立って短縮に取り組んでいくことが大切です。

 

【3】患者さんの要求に応えた通院回数

まずは自院の平均通院回数は把握してください。

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<平均通院回数の算出方法>

実人数(延べ人数)÷レセプト枚数

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耳鼻咽喉科業界の平均通院回数は約1.5回~2.0回です。

 

全体の平均通院回数が2.5回以上の医院さんは注意が必要です。

通院回数が多くなりすぎると、「あそこの医院はすぐ通わせる」という
マイナスの口コミが発生する可能性があるためです。

 

【4】立地

まず、前述しました【1】【2】【3】の条件を既に満たしており、
更に患者さんを増やすための対策として、立地の再考をお考えになるのが良いと思います。

 

立地を再考するにあたっては、

・駅から徒歩圏内である

・生活幹線道路沿いにある

・地域住民の方が頻回に利用する

・中小規模の商業施設が近隣にある

このような条件を参考にご検討していただくとよいでしょう。

立地や医院のキャパシティーで悩んでいる医院さんは
「自院は果たして通院しやすい条件を有した医院であるか?」を意識していただくことが重要です。

 

今回お伝えしました4つの条件は、花粉の飛散状況や競合の台頭など
外部環境に左右されにくい医院づくりに必要不可欠な要素です。

患者さんの数が落ち着き始める閑散期に戦略構築のための時間を確保して、
盤石な医院経営を築き上げていただければ幸いです。