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コラム

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医療法人化はしたほうが良い?医療法人化の流れやそのメリットとデメリットを解説

<目次>

  1. 医療法人とは?
  2. 医療法人設立のメリットとデメリット
  3. 医療法人の設立条件と手続き

医療法人の定義と特徴

医療法人は、医療法に基づき設立される法人で、診療所や病院を運営し、医療を提供することを主たる目的としています。
日本の場合は、診療所や病院の経営形態として、個人経営または法人経営の選択肢があります。
医療法人の最大の特徴は、経営主体が法人化されることで、組織としての安定性や継続性が向上する点です。
法人格を持つため、契約や所有資産が法人名義となり、後継者へのスムーズな引き継ぎが可能となります。

また、医療法人には「社団法人」と「財団法人」の2種類がありますが、一般的には、複数の医師や専門職が共同で運営する社団法人形式が主流です。
一方で、財団法人形式の医療法人は、設立に多額の寄附財産が必要となるため新設のハードルが非常に高く、実際にはほとんどが社団法人形式で設立されています。
現在、全医療法人の99%以上が社団法人形式です。

個人経営との違い

医療法人と個人経営の違いを理解することは、法人化を検討するうえで非常に重要です。

・責任の範囲
個人経営では経営者がすべての責任を負う一方、法人化すると法人そのものが法的主体となり、経営リスクが分散されます。

・税務上の違い
個人経営では所得税が累進課税方式で課されるため、収入が多いほど税負担が重くなります。一方、医療法人では法人税が適用されます。
法人税は累進課税ではなく一定の税率が適用されるため、高所得の場合には節税効果が期待できます。ただし、具体的な節税効果は経営状況によりますので、専門家に相談することをおすすめします。

・経営の継続性
個人経営では経営者の引退や死亡により事業が停止するリスクがありますが、法人化することでそのリスクを軽減できます。

医療法人設立の背景には、地域医療の安定化、事業承継の円滑化、そして税務や財務上のメリットの活用といった目的があります。
診療所を法人化することで経営基盤を強化し、地域医療への貢献を長期的に可能にするだけでなく、後継者への引き継ぎをスムーズに進められるようになります。
また、経費計上の範囲拡大や所得税・相続税の負担軽減といった税務面での利点も医療法人化を選ぶ理由の一つです。

出資持分について

なお、2007年(平成19年)の医療法改正により、現在新設できる医療法人社団は「出資持分なし」の形態のみとなっています。
改正前に設立された「出資持分あり」の医療法人は経過措置として存続していますが、新規設立はできません。

一人医師医療法人について

医療法人というと大規模な組織をイメージされるかもしれませんが、実際には常勤医師が1〜2名の「一人医師医療法人」が全体の約80%を占めています。
小規模なクリニックでも法人化は一般的な選択肢です。

メリット

節税効果
医療法人では、役員報酬として給与を支払うことが可能です。
これにより、法人利益を調整し、個人所得と分散することで、所得税と法人税の両面で節税効果を得られます。
さらに、退職金の積み立てや医療法人の福利厚生費など、税務上認められる経費の範囲が広がります。ただし、役員報酬を過大に設定したりすると税務署から問題視される可能性があるため、適正な範囲での設定が必要です。

資金調達の柔軟性
法人化することで金融機関からの信用度が上がり、融資を受けやすくなります。
特に大規模な診療所や医療機器の導入を検討している場合、法人化は資金調達の観点からも有利です。

組織運営の安定化
法人化により、経営者個人の資産と法人の資産が分離されるため、経営の透明性が向上します。
また、法人としてのガバナンスが強化され、職員間での責任分担が明確になります。

デメリット

法人運営に必要な管理コスト
医療法人は、法人税の申告や定款の変更手続き、理事会の開催など、個人経営にはない管理業務が必要となります。
また、専門家(税理士や会計士)に依頼するコストも発生します。

法律・規制など
医療法人には、医療法や税法に基づく規制が適用されるため、これらに適切に対応するための知識と体制が必要です。違反があれば行政指導を受けるリスクもあります。

医療法人設立の基本要件

診療所または病院の運営実績があること
一般的には、個人診療所として一定期間の運営実績を経てから法人化するケースが多いです。
ただし、新規開業と同時に医療法人を設立することも制度上は可能です。
具体的な要件は自治体によって異なりますので、事前に所轄の都道府県窓口に確認することをおすすめします。

地域医療への貢献計画を明示すること
申請にあたっては、事業計画書の提出が求められます。
自治体によっては地域医療への貢献に関する方針を記載するよう指導される場合もありますが、その内容や重要度は自治体ごとに異なります。
詳細は所轄の都道府県担当部署にご確認ください。

理事・監事の設置
医療法人では、3名以上の理事と1名以上の監事を設置することが求められます。
理事会は法人運営の意思決定機関としての役割を果たすため、医療専門職や経営、財務の専門家など、ランスの取れた人選により多様な視点を取り入れることが重要です。

設立に必要な書類と手続きの流れ

定款の作成
定款は医療法人の運営方針や目的を明文化したもので、法人の基本ルールを示す重要な書類です。

設立認可申請
所轄の自治体(都道府県)に対して設立認可申請を行います。この際、診療所の運営状況や地域医療への貢献計画を詳細に記載します。

法務局への登記
設立認可を受けた後、法務局に法人登記を行うことで、正式に医療法人として活動を開始できます。

税務署などへの届出
税務署や社会保険事務所への届出を忘れずに行い、税務申告や社会保険手続きがスムーズに進むように準備します。

設立にかかる時間と費用

時間
設立準備から正式な法人登記まで、通常は約4~6カ月程度が目安ですが、自治体や申請内容によってはさらに時間がかかる場合があります。

費用
事務手続きや専門家への依頼費用、登記費用などを含め、数十万円〜数百万円程度が目安です。
費用は診療所の規模や依頼する専門家によって大きく異なりますので、事前に見積もりを取ることをおすすめします。

認可申請の時期について
医療法人の設立認可申請は、多くの自治体で年2回の受付期間が設けられています。
株式会社のように任意のタイミングで設立できるわけではないため、希望する法人設立時期から逆算して早めに準備を進める必要があります。

医療法人の設立には、さまざまな手続きや法的な要件があり、どうしても時間や手間がかかるものです。
そこで、早い段階で税理士や行政書士と相談しながら進めることをおすすめします。
税理士は設立後の税務や財務管理についてのアドバイスをしてくれるだけでなく、設立時の資金計画や節税の方法についても心強いサポートを提供してくれます。
また、行政書士は申請に必要な書類の作成や提出を代行してくれるので、手続きがぐっとスムーズになります。

さらに、医療法人の設立要件は自治体ごとに少しずつ異なる場合があります。
たとえば、地域医療への貢献計画や必要な書類の内容が自治体によって違うこともあるため、早めに所轄の自治体窓口に相談して具体的な要件を確認しておくと安心です。
これを怠ると、申請に時間がかかってしまったり、再提出が必要になることもあるので注意が必要です。

専門家の力を借りながら、自治体とも事前に相談しておくことで、手間を減らしつつスムーズに設立を進めることができます。焦らず、計画的に進めていきましょう。

本記事では「医療法人化のメリットとデメリット」について詳しく解説しました。
医療法人化を検討している方や、さらに詳しい情報をご希望の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。